第一話 新生物
小説のマナー知ってから書き直し多いので所々おかしいところもあるかもしれませんがどうぞ最後までよろしくお願いしますm(_ _)m
西暦2095年、日本の最南端の有人島である波照間島で新種の生命体が観測された。
言うにそれは素早く、言うにそれは奇抜な形であり、言うにそれは確実に未知であった。
多くの科学者達は新たな生物、知識との出会いを求め、その発表があって1日と置かずにその島へ行き保護を試みたが、その生命体は発見されなかった。
しかし、その翌年からだった。
──大量の未知の生物によって人々が悪夢を見るはめになったのは。
「これから上官になる風越竜影だ。よろしく頼む」
蝉の声が五月蝿い真夏のただでさえ暑い日差しの中、暑苦しそうな上官の自己紹介が始まった。まだ整列したばかりだというのにこの場にいる人のほとんどが汗をかいていた。
見るからに筋骨隆々、というわけではないがベテランの兵士の中でも鍛えている方なのだろうことが十分に伺える。
彼は爽やかな笑顔を向けて自己紹介を続けた。
「階級は少尉だがそんなに堅くならなくてもいい。お前達とは腹を割って話せる仲になりたいからな。さて、何か質問はないか?」
確かにそのガタイのいい体とは対照的に話しやすそうな雰囲気を纏っている。
それゆえか、
「はい!」
「なんだ、佐々新兵」
「奥さんは美人ですか~?」
一瞬凍りつくような空気が支配した。それは聞いてしまった者の汗が引いてしまうほどに。
横並びになっている新兵の中には無礼な発言に対し、自分のことでもないのに焦っ者もいた。
だがその青年の言葉に不快を感じ、止めようとする者もまたおらず、寧ろ緊張でこわばっている新兵達の体の筋肉を少し緩ませた。
青年はいかにも“若者”といったふうに口元がにやけていた。
「ああ、世界一可愛いぞ。娘もいる」
「マジっすか!」
ふざけているとしか思えない質問にも、風越は躊躇なく答える。何年も教官というものをやっていてこの手の輩には慣れているのだ。
ただ先刻からの青年の態度を注意しないことから規則等といったものには疎いらしい。
佐々の言葉を口切りに様々な質問が風越に投げかけられた。
だがそこは新兵。5つ程の質問が終わるとそれ以上は質問も尽き、新兵達が黙り込んだあたりで風越が話を進めた。
「では次はお前たちが自己紹介する番だ。じゃあ、一番左にいるお前から」
風越に指を差された人が応答する。
「はい!自分は──」
かくして列の左から順に大きな声での自己紹介が始まった。今ここにいる人達は入隊したばかりで、階級は言うまでもなく二等兵なので、特に言う事もなく名前を言うだけで坦々と進んでいき、そしてとうとう紹介をすべき新兵は残り1人となった。
「翠葉春士です。よろしくお願いします」
「よろしく。翠葉で最後だな。では各自先程伝えた寮の部屋へ行き荷物を置いてこい。今日は入隊初日ということもあり、施設の説明をしてまわる。十五分後にここに集合だ。では解散!」
鬱蒼としていた蝉の鳴き声を跳ね返すように風越の声が遠く響き渡った。
西暦2100年、21世紀最後の年だが、波照間島まで赴いた科学者達はとうとうこの年になるまで新生物を見つけることが出来なかった。
しかしこの年の初頭、突然異常な量の新種の生命体が発見された。
...…と思われた。
何種類もの新種とみなされたそれらは、実はたった一種の生命体だった。
──何故か
その生命体は変化するからだ。私達が見たことのあるもの、見たことのないもの、様々なものへと変わる。
科学者達はそのことから生命体の名を生物名「Alterable Creature」、通称「アルター」と名付けた。
2095年に観測された生物はなんと木々や雑草などの景観に溶け込み、信じられないほど急速に繁殖していたと言うのだ。とはいえ、それだけならまだなんということは無い。
……アルターの最も厄介な点はその凶暴性だった。
アルターは波照間島を支配したのち、沖縄、次に九州へと、障害となるものは人ですら喰らい侵略の足を進めた。急なことで日本政府も対応が間に合わず、当時あった大規模な飛行機事故と時期が重なったこともあり、飛行機の数が圧倒的に足らず、沖縄の人々は避難が間に合わないでほとんど死亡。九州地方は人の避難は間に合ったもののわずか10年もしない内にアルターの巣窟となってしまった。
だが、その10年の間に日本政府も対策を練ることができた。
そうして、アルター対策の本拠地が置かれたのは防衛の最前線であり、日本政府の「ここから先は絶対に行かせない」という意志が反映された、広島だった。
今この広島基地にいるのは、主には自衛隊所属の人達だが、九州を追い出されてしまった若者達の中で希望して入隊した人もいる。
だが一方で日本政府はアルター対策に際して人員が欲しく、命をかけることも加味して報酬が良いこともあり、それが目当てで入隊する人も中にはいる。
そういうわけで、自衛隊の全隊員がいるわけでもないというのに関わらず、基地の人口はそれに匹敵するものになっていた。
上記の理由もあり、春士達の寮は四人一部屋というかなり狭いものだった。
「同じ部屋になったな、よろしく」
「誰だお前」
荷物を置いて少し整理していた春士に唐突に声がかけられる。
「さっき自己紹介しただろ!?聞いてなかったのかよ……」
「ああ」
あの終始ふざけてた奴か
と春士の脳裏に先程までの映像が浮かぶ。
「まあいいや、もう一回紹介しとくぜ。俺は佐々瑛斗、もう忘れんなよ」
「分かったよ、よろしく」
「おいお前ら、のんびりしてると遅れるぞ、十五分っていうのは案外、短いもんだからな」
「ああすぐ行くよ。高色、藤瓦」
同室となった他の二人に返事をする。春士は続けて、
「佐々も早く来いよ」
そう言い残して春士は走っていった。
「なんで俺だけ覚えてないんだよ!」
そんな声が無機質な固い廊下に響いたのだった。
更新は一週間に1回やっていけたらな〜と思います。
アニメやラノベ大好きです。
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