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脳味噌模様の帽子

 山田博士の勢いに再度乗せられてしまう太郎であった。

「わ、わかりました。山田博士の言うことを信じて5万年間冷凍保存されることにします」

「うむ、それでは冷凍保存室に案内しよう」

「お願いします。枕元に置く1億円は私が持っていきます」

 山田博士と太郎はエレベーターに乗って、最上階にある冷凍保存室に向かった。

「ここが冷凍保存室じゃ。『長期コース』の場合は個室となっておる」

「意外と狭いですね。それに窓もなく、薄暗いし...」

「冷凍保存されるのに広い部屋や明るい部屋は必要なかろう。窓があって日光が入ってくると冷却効率も低下してしまうのじゃ」

「なるほど」

「まあ、もし窓があれば向かいのシェラスチンホテルが見えたりして、それなりに夜景も綺麗なのじゃが」

「これが冷凍保存用のカプセルですね。私が入るには十分余裕のある大きさですね」

「そうじゃ。大柄のお客様でも窮屈ではないように設計しておる」

「このサイズだったら、枕元に1億円を置いても余裕ですね。ところで、5万年後に現在の紙幣が通用しますでしょうか?金などの貴金属や宝石に換えた方が良いのでは?」

「5万年後では、たいていの貴金属や宝石は安価に製造できるようになってしまっておる、、、はずじゃ。それよりも、いつの時代でも古い貨幣の方がそれなりの価値を持っているものじゃよ。安心したまえ」

「山田博士、私が冷凍保存された後に枕元の1億円をくすねたりしないでしょうね。5万年後に目が覚めたら枕元が『すっからかーん』なんてイヤですよ」

「、、、。うーん、心配のベクトルが少しずれているような気がしないでもないが...ワシがそんな怪しい人間に見えるか?」

「博士論文が白紙に近かったり、話すことの論理が時々飛躍したり...それに、初対面の時から気になっていたのですが、その奇妙な模様の帽子、、、脳味噌の模様ですか?薄暗い部屋で見ると余計に不気味なんですけど。それは、ハゲ、、、じゃなくって毛髪の量にハンディキャップを抱えていることを隠すためのものですか?」

「、、、。余計なお世話じゃ。太郎君用に同じ模様の帽子を用意してある。今は理由を言えぬが、冷凍保存の際に被ってもらうぞ」

「あんまり被りたくないなぁー。でもまあ、何かしらの理由で必要なのですね。了解しました」

 山田博士の助手と思われるスタッフが帽子と何か薬を持って来て、帽子を太郎に被せ、薬を太郎に渡した。

「この薬は冷凍保存導入剤じゃ。飲むと直ぐに眠くなる。冷凍時と解凍時の違和感や不快感を防ぐ目的もある。飲みなさい。我々は君をカプセルに寝かせたら直ぐにここを去る」

 太郎は素直にその薬を飲んだ。

お っ、

や っぱり、

す ぐに

み んな

な かから

さ って

い った


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