卒業式
とうとう高校生最後の日
推し活卒業してから色々有りすぎた。
すごい1年を過ごした。正直もうイヤだ!
これが懐かしくなる日が来るのか?
夏希は頭を抱える。
でも、ヒロと久々遊べたりマリアちゃんみたいな可愛い女の子と仲良くなった。
何より楊世と3年の始業式に会って同居して、こんな風になるとは夢にも思ってなかった。
しかし…どのタイミングで付き合ったのか?記憶にない。だいたい最初は半年年上だから先輩風吹かしていたが、あっという間に追い越された気がする。
「日高さん、とうとう卒業式も来なかったね。」誰かが囁いている。
「東大も試験日に駅階段で突き飛ばされて脳震盪で受けれなかったって、不幸過ぎない?」
「でもK大受かったんでしょ?良いじゃん〜」
「私、街中であったよ!マスクしてたけどすごい発疹でビックリした!」
「身体悪くしたんじゃないかなあ〜?知らんけど。」口々に話してるが、もう夏希は心を閉じて聞かないようにした。
卒業式が終わると楊世が走って来た。
夏希にベッタリしだしてから、女の子が激減した。
味をしめた楊世は片時も離れない。イラついてた親衛隊も自然消滅したようだ。
ヒロとサキはとっくに帰った。
ヒロはデート、サキは最終メンバーが決まるらしい。忙しいのだ。
「卒業おめでとう」楊世が夏希と手を繋ぎながら頬にキスした。「楊世こそ、卒業おめでとう」キスし返そうとしたが…無理だった。顔が茹でダコになってしまった。
「さっ、早く帰ろ!」楊世がニコニコしてる。
「この日をどれだけ待ちわびたか!
朝まで離さないからね!」夏希を一目もはばからず抱きしめる。
「う、うん」夏希は意味不明だが、月島商店街を早足で帰る。
「わっ、ラスボス!」楊世がつぶやいた先には黒い巨人が立っていた。
「僕だって彼女が欲しいよ!夏からこっちずっと君らのイチャイチャ見せられてるだけじゃん!
腹立つ!」王麗明が行く手を阻もうとするが、学生が大量で流れに逆らう巨人はうまく動けない。
脇をすり抜けて地下鉄に辿り着いた。
「そっちはそっちで頑張って!僕のもんに手を出すな!じゃ!」楊世は夏希をほとんど抱えて連れ帰った。
すぐ着替えさせられて、家周りでは1番高い建物に向かって楊世がズンズン進む。
「待って!聞いてないよ!ホテル行くの?」夏希が臆する。
「話してないからね。だって、話したら絶対なんだかんだうるさいし。」楊世は夏希を引っ張ってフロントでチェックインを済ます。
「絶対逃げたらダメだからね!一生言い続けるよ!」
そのクギはツラい。
離れたくないから、本当にずっと言われる。
「でも〜良いのかなあ〜私やり方分かんないし。
臭いかもよ〜え〜脇処理大丈夫かな?
歯も朝しか磨いてないし!…」ネガティブが呪文みたいに溢れる。
もう、口が止まらない。
「絶対そうなると思ったんだよ!その上、また寝れないとか苦しみそうだし!」鍵を受け取った楊世がまた夏希を引っ張って部屋に向かった。
エレベーターが閉じると夏希に口づけた、深いキスだ。
夏希は舌が入って来て面食らう。
「なっ、なっ、なっ!!!」後退ろうとしたが腰をしっかり抱えられてる。
「同じ家の中でどんだけ我慢したか?分かる?
僕だって男だからね!もう、遠慮しないから!」
楊世から今まで見たことないオーラが出てる。
気圧されて夏希が黙った。いや、観念した。
どうせ楊世以外考えられなかったし。
「分かった!もう好きにして!煮るなり焼くなり、お任せします!」なぜか腰に手を当て天を仰いだ。
「了解!」楊世に引っ張られてホテルの部屋へ入った。