ゲームオーバー
「あ〜あ、失敗かあ〜」事務室のモニターを見ながら上野もとい王麗明がガッカリしてる。
「僕に似てると思ったんだけどなあ〜
コンプラ犯す時は、警戒しないと。
脇が甘い子はイヤだなぁ〜無策はヒドいわ、バカじゃん!」イスをクルクル回しながらため息をつく。
「あの男どうしますか?」黒服の男が聞く。
「海コンクリかあ〜ゴミ回収車かなあ〜
でも、さっきから身体掻いてるのが気になるんだよ。ラウンジでも。まだ、トイレいるんだろ?
ズームしてみて?」モニターに指示する。
トイレはラウンジと違って照明が明るい。男の開襟シャツの胸元に赤い発疹が!
よく見ると首元も!
「ゲ〜ッ、コイツ梅毒じゃん!
もう、あの子近寄れないよ〜タクシー呼んで。あの子に誰か言付けて。」と言いながら携帯から日高明奈をブロックし削除した。
「一体なんなのよ!失礼じゃない!」明奈は自宅でタクシーから降ろされた。
急に黒服が来て帰れとタクシーに乗せられたのだ。
上野に携帯で連絡したが、繋がらない。
家に帰ると父に怒鳴りつけられた。
「お前は何をやってるんだ!
上野さんの弁護士から婚約不履行で訴えられたぞ!」
温厚で明奈に甘い父に頰を打たれた。
「ちがう!上野さんが私をラウンジに放ったらかすからトイレ行ったら犯されたのよ!
私は悪くない!」
母がパソコンを持ってきた。
そこにはラウンジから男にエスコートされて席を立つ明奈が映ってた。
そして、明るいステージの様なトイレで男とやってる所も360°撮影されてた。
色んな方向から媚声をあげる明奈が映ってた。
震えながら母が床に座り込む。
「クラブは上野さんの持ち物なんだ!防犯カメラがそこら中にあるのは分かるだろう?
お前は何を学んできたんだ?」父の目にうっすら涙が見える。
「イヤああああああい〜っ!」明奈の悲鳴が響いた。
「え〜っ、日高さんはしばらくお休みするそうです。
体調が悪いそうで…」臨時教員が話す。
「もう最後の追い込みかあ〜学校で勉強してたら東大追いつかないもんな!」「学校見捨てられたね」皆が口々囁いている。
しかし、日高さんらしくない気がするが。
まあ、この頃の日高さんは良く分からなくなってたので関係ないか!
夏希は心のフタを閉じた。
人と共感性が人一倍強いらしいので、そばに置く人間を厳選しないと!
心と身体がもたない。