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選択1

「夏希、帰るよ!」楊世が授業が終わると迎えに来る。サキやヒロも帰るみたいだ。皆、夏希の様子を見に来た。

教室がザワつくが、あまりに楊世が毅然と声掛けするので女の子達も近づいて来ない。

もう、家庭科控室は先生にお返しした。

先生はホッとしてた。

学年主任と同伴はしてたが、ドライな関係らしい。

コスプレヤーは金が掛かるのだ。遠征もあるし。

4人で駅までの短い10分の時間をだべり歩き、地下鉄の駅でそれぞれ散る。

ヒロは渋谷へ。

マリアとデートだ。マリアは目黒の大手事務所に入ったので卒業後は恋愛禁止で忙しくなるらしい。

今の内しかデートできないのだ。

「俺も大学入ったら寮生活だしな。サッカーバカを貫くよ。」手を挙げて人混みに消えた。

サキも今から中目黒のダンス事務所だ。

「全然デビューの話なんか無いけどね!

とにかく練習だよ〜」と笑いながら消えた。

夏希と楊世はしっかり手を繋いで家に帰る。

楊世は信号で止まる度に腰を抱く。エスカレーターは夏希を前に立たす。

もうハーネスも首輪も要らないのだ。


家庭教師の上野先生が日高明奈の家に来た。

元は中国人だったらしいがもう帰化してる。

東大在学中だが、すでにアプリ会社の社外取締役であり不動産業も海外物件まで取り扱ってるやり手だ。

明奈の父は実は楊世の父親の会社の重役である。

なので手紙にもそれを書いて仲良くなろうと思ったが失敗した。

体育祭でやっと直接話せて、父の事も話したが、楊世は全く父親の仕事に興味がないようで綺麗にスルーされた。

未来の社長夫人の夢はついえた。

それに話してみると、とにかく物静かなのに頭が回るし、いつの間にか指図されてる。

考えて動くタイプの人間としては、判断が早い。

まあ、あの動物みたいな仲間の中では遅すぎて置いていかれていたので気付かなかった。

サキは黒柳徹子みたいに弾丸喋りだし、ヒロは気付いたら全然別の場所で飛び回ってるし、夏希も喋るし動くし一瞬もジッとしてないイメージがある。

そして何よりクラスを一瞬で沈黙に陥れる「本質突き」が皆を白けさせる。

空気の読めない子なのだ。

唯一人間に見えてた楊世も、普通の人間の中だといかにも社長タイプの人間だった。

仕切られ部下扱いされて明奈はカチーンと来てしまった。

その上でリベラルでコンプラへの配慮も完璧。

全く嫌いで鼻につく人物だった。

上野先生は、柔らかく明奈の話をジッと聞いてくれる。特に質問も意見もしてこない。

海外の人なので、もっとガンガン意見を言うのかと思ってたが、そんな風ではない。

何を考えているか分からない…と言えば怪しいが、身元はシッカリしてるし金持ちだし、仕切ってこないし、明奈には問題ない人柄だ。

過去問の答案を返される。

「完璧だよ。ただ毎年何かしら時事を取り入れた思考問題を出してくるから、君らしく意見を返せれば良いんじゃないかな?」

「東大は、理数でも論文解答を求められるから、それがしんどいんですよね〜」明奈が苦笑いする。

「そう、結論だけじゃダメだから。

そこに至る過程を出題者は見たいんだよ。」

ニコッと上野先生は微笑んだ。

「どうだい?今夜僕が買ったクラブで食事しない?」上野が手を握ってきた。

上野はキスがさりげなくて上手い。

しかし、なぜかそれ以上は手を出さない。

まだ高校生だからか?

だが、明奈はすでに男は良く知ってる。教師と隠れて付き合っていたし。

良い身体をしてたし上手かったが、とにかく手当たり次第な男だった。

他の女を孕ませて結婚した時は、本当に頭に来た。

「先生は、本当に私の事好きなんですか?」明奈からさりげなく誘ってみる。

「好きだよ。すごくシンパシー感じてる。

君をもっとヒドくしたのが僕なんじゃないかな?」

今日は饒舌だ。これはもしかしたら…

「母に聞いてみます。夜のお店なので心配されたら困るし。」明奈が返事する。

「じゃ、出直して車でまた迎えに来るよ。帰りも送らせてもらうから。」アメリカ式なのだろうか?

心配する親への配慮も完璧だ。






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