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第4話  記録にない記憶

【魔導史に載っていない出来事】


次の日、エリナは図書塔の一角から厚い本を何冊も抱えて現れた。

その表情はいつになく真剣だ。


「“グレイ”という名について、いくつか記録があったわ。

でも不思議なの。王族の系譜に名前があるのに、どれも途中で消されてるの」


「……消されてる?」


「そう。まるで“なかったこと”にされたような書き方で。

他の記録と違って、空白が多すぎる」


それは、記録が残されていないというより、意図的に消された――そんな印象を受けた。


「つまり、僕の家って……本当に王族と関係があるかもしれないってこと?」


「関係が“あった”のか、あるのか、までは分からないけれど……。

少なくとも、あなたが虹の魔法を使えたのは偶然じゃないと思う」



【鍵は“始まりの場所”にある】


その日の夕方。

僕は一人で学園の敷地裏、もう誰も使っていない旧礼拝堂に立っていた。


ペンダントに導かれるように、足が勝手にここを選んだ。


小さな扉を押し開けたその瞬間――

空気が変わった。魔力の密度が違う。


床に描かれた円形の紋章。

それは、僕があの日、虹色の魔法を放った時に出現した魔法陣とよく似ていた。


「……やっぱり、ここが“始まり”なんだ」


手の中のペンダントが、ふっと温かく光る。


その光に包まれて、僕の頭の中にまた映像が流れ込んできた。


今度は、はっきりと見えた。


自分の幼い姿。

その隣にいたのは、微笑む女性――王家の紋章を刺繍されたローブを着ていた。


そして、その女性が言った。


「アレン。この力は“お守り”よ。けっして見つからないように」


目が覚めたように僕は立ち上がった。


(誰だったんだろう。あの人――)


その瞬間、後ろから足音が聞こえた。


「やっぱり、ここにいたのね」


エリナの声だった。


「……僕、何か思い出した気がする。けど、全部じゃない」


「大丈夫。思い出すタイミングは、ちゃんと訪れるものよ。

でも、時間があまりないかもしれない」


エリナの表情が、かすかに曇った気がした。

第4話、今回も読んでくださってありがとうございます!


虹の魔法にまつわる記憶や、消された記録。少しずつ物語の中心に近づいてきました。


アレンくんの過去、そして学園に眠る謎も、そろそろ動き出しそうです。


次回も、どうぞゆっくり読みにきてくださいね♪

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― 新着の感想 ―
4話まで、なかなか楽しい進み方です。 はて? これからですね。
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