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第2話 僕の知らない僕の話し

【封印された魔法と、王族の令嬢】


「……あの魔法、いったい何だったの?」


模擬戦が終わったあと、エリナが僕に話しかけてきた。


教室ではなく、今は図書塔の中。

しかも、関係者しか入れない“記録室”のさらに奥だ。


「いや……僕にも、よくわからないんだけど……」


「七色に輝く魔法。あれは、王族にしか扱えないとされている“虹の系統”だわ」


「え、まって。それって本当?」


「本当よ。昔の記録に少しだけ載っていたの」


エリナが差し出したのは、分厚い書物。

表紙には古代語で《魔導史断章・王権編》と書かれている。


「ここに、似たような記述があったの。“虹の指先”という言葉、まさにそれよ」


僕は震える指でページをめくった。


そこには、確かにあった。


『虹の指先を持つ者は、王家の血を引きし者なり』


「ちょ、ちょっと待って! 僕は、普通の家の出身だし! 王族の血なんて、あるわけが……」


「でも、事実としてあなたはその魔法を使った。現に、さっき模擬戦で放ったわ」


「……そんな……」


「アレン・グレイ。あなた、本当に自分の出自を知らないの?」


「そ、そんなの……知るわけが……」


エリナの目は真剣だった。

僕の中の、今まで無視してきた“何か”が、じわりと音を立てて動き出すのがわかった。



【記録室の奥、そして禁じられた魔法】


僕とエリナは、記録室のさらに奥へと足を踏み入れた。

そこは、古い魔導具と厚い埃に包まれた空間だった。


「ここ、本当に入っていいの?」


「正確には……よくない場所。けれど、今のあなたには必要なはず」


エリナの声は静かだった。


壁一面に本棚が並び、その中のひとつだけ、まるで異物のように鎖で封じられた本があった。


「……あれ?」


「《虹の書》、完全版よ。あなたが拾ったのは、その写しの一部だったのかもしれないわ」


僕はごくりと唾を飲み込んだ。


「この鎖、外していいの?」


「触れれば反応するかもしれない。それは、あなたが“持っているかどうか”を試す鍵」


僕は手を伸ばした。

すると、カチャリ、と音を立てて鎖がほどけた。


エリナが息をのむ。


「やっぱり……あなたは、“それ”を開ける資格がある」


僕は表紙を開いた。


古代語で綴られた呪文の数々。

その中に、見覚えのある言葉があった。


『虹閃』

『光七裂』

『王権継承の証』


「……これ、どういうこと?」


「アレン・グレイ。もしかしたらあなたの家系――“グレイ”という名には、王家に連なる何かがあるのかもしれない」


頭の中がぐるぐると回る。


僕はただ、地味に、目立たず、静かに過ごしたかっただけなのに――。

今回もお読みいただき、ありがとうございました♪


アレンくんの正体、少しずつ謎が深まってきましたね。

でも本人は、平穏に過ごしたいだけなんです…たぶん。


記録室での発見、これからの展開にもつながっていきますので、

のんびりお付き合いいただけたら嬉しいです。


よろしければ感想などもぜひ…ではまた次回で!

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― 新着の感想 ―
ハリーポッターを、子ども達と先を競って読んだ日々が懐かしい。 今後の展開を楽しみにしています。
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