01-地球サーバー ログイン
目を開けた瞬間、俺は真っ白な空間に立っていた。
どこまでも続く、何もない世界。空気の匂いも、足元の感触もない。
──ログイン完了。
──サーバー名:【EARTH β版】
──メーカー:【XenoWorld Studio】
──仕様:オープンワールド / PvE / PvP / クラフト要素あり / ストーリーシナリオ進行型
目の前に浮かぶシステムウィンドウ。
β版ってマジか。俺たち、まさかのテストプレイヤーかよ。
俺は深呼吸してみた。
すると、さっきまで無機質だった世界に、色と温度が満ち始める。
青い空。緑の大地。吹き抜ける風。
少し先には、いくつもの山並みが連なっていた。
──初期種族:Human(標準モデル)
──出身星系:【Lyra-04】
──開始地点:JPNブロック(アジア東域エリア)
──初期スキル:言語【日本語Lv1】
どうやらこのサーバー、出身惑星ごとに初期配置エリアが割り振られているらしい。
俺が降り立ったのは「Lyra-04」系の文明イメージが反映された日本エリア。
他にも、
•砂漠を駆ける民族がアフリカブロックに、
•石造りの街並みを誇る民がヨーロッパブロックに、
それぞれ”惑星イメージ”に合わせてスタートしている。
つまり、文化も言語も、最初からバラバラってことだ。
でも、全員「人間」という共通仕様だけは揃っている。
──アナウンス:
「このワールドでは、交流・発展・戦争・協力、すべてプレイヤーの自由意志に委ねられます。」
自由だ。
好きに生きろってわけだ。
……最高じゃねぇか!
俺は期待に胸を膨らませながら、勢いよく一歩踏み出した。
そして、気づいた。
⸻
義務教育。
受験戦争。
就職活動。
社畜ロード。
なんだこれ、全部一本道じゃねぇか!!!
聞いてねぇよ!!!自由どこ行った!!!
⸻
降り立った瞬間に、
見えない鉄のレールに乗せられた俺の人生。
それでも、
それでも俺は──
この自由の皮をかぶった牢獄みたいな世界で、
本物の”自由”を探してみせる。
生き延びるか、潰れるか。
選ぶのは、俺だ。
地球サーバー。
開始──。