表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺の異世界物語  作者: 夜つ七
刹那とディアナの世界旅行
53/65

村を出て

地下室から戻ったら、即座にディアナが後ろ回し蹴りを脛に当てて来た

かなり痛かったが、まあ今回は俺が悪いので甘んじて受けておく



「次からは私も混ぜろ! 凄く怖いけど頑張るから!」

「いや、正直邪魔だったか、痛っ! 噛むな、歯形付くだろ?!」

「……おい。ずっと逃げずに待ってるんだが、漫才やらずにコッチを気にしてくれ」



あ、傭兵A忘れてた。というか逃げなかったんだ。感心感心



「という訳で」

「お、おい、何故いきなり後ろから抱き付」

「投げっぱなしジャーマン!」

「ぎゃああぁッ?!」



盛大に顔面から落ちたが……まあ大事だろう。どうせ敵だし気にしたら負けだよな



「さて、何故投げられたか分かるかね明智くん?」

「誰だそれは?! 俺は「傭兵A」だ! って被すな!」

「早く質問に答えないと死にたくなるような怖い話を聞かせてやろう」

「ア、アイツを殺したからか?」

「不正解!」



とりあえず本気で蹴り飛ばす。飛距離は1mといったところか



「だから何しやがる?! というか今のはノリだな? 絶対にノリだな?!」

「だったらどうした?」

「開き直りやがった!」

「まあノリかどうかはこの際捨て置け。さっきの答えだ。ほら」



刹那は何かがギッシリ詰まった袋を投げた。傭兵Aは上手くキャッチ出来た事に安心した。もし取れなかったら鼻の骨が折れていただろう



「コレがなんだっていうだよ」

「開ければ分かる」



疑問に思いながら開けると……金貨がギッシリと入っていた



「……は?」

「いや、実は俺は見るだけで相手の事がある程度分かる能力を持ってるんだよ。まあつまり……さっさと村に帰れ。そんで良い医者呼んでやりなよ」

「……何でだ?」

「ん?」

「さっきまで殺し合ってたんだぞ? 俺は、アイツの親父を殺したんだぞ? 何で助けるんだ」

「ああ、誤解のないように言っておく。まず、許したつもりも助けたつもりもない。……その金は」



刹那は恥ずかしそうに頬を掻いた



「よ、傭兵のアンタに依頼だ。依頼の内容は……もう二度とあんな事しないでくれ。そ、その金は報酬だ。 も、もう払ったから取り消し不可能だからな! な、なんか文句あるか?!」



シンとした。それが逆に刹那を追い詰めるが、誰も気付かなかった



「あ、ありがとう」

「依頼の報酬だ! お礼言う暇あるならさっさと帰れ!」

「あ、ああ! ありがとう! 本当にありがとう!」



=  =  =  =




「で、どういう意味なんだ?」

「何が?」

「だから、金貨をやった理由だ。り・ゆ・う!」

「あ、ああ、アレね。依頼の」

「建て前はいいから」

「うぐっ…」



もはやディアナにすらバレバレである。バレていないのはトラ



『刹那ってー、優しいんだなー♪』



……にすらバレていた



「あ、アイツは悪いことしてたけど、悪いことした理由が他の奴と全然違ったんだよ」

「違った?」

「ああ、アイツは、家族を助けたかったんだ。でも、少しの間にお金が貯まる仕事もないから……」

「あんな事をしたのか」

「うん。許せないし、凄くむかつくけど……家族は、守りたいもんなぁ」



実際に守れない時があったから、それがどれだけ辛い事かはよく分かる

まあ、家族と言っても俺が守れなかったのは猫なんだが


「うん、ところで刹那。あの渡したお金が全財産なわけないよな?」

「ああ、金貨三枚は残しといた。さて、とりあえずもうこの村出ようぜ? 領主は後で地味キングに連絡しとけばいいだろうし……」

「そうだな。じゃあ、トラ」

『なんだー姫ー?』


いつの間に仲良くなったんだろうか?

というか、いつ自己紹介した? 意思の疎通できないんじゃないの?


「ラストに落とされる前に布団代わりにしてたんだ。で、タイガードラゴンって呼びにくいからトラってあだ名付けてみたんだ」

『いつの間にか近くにいたー♪ なんとなくお姫様みたいだから姫って呼ぶことにしたー♪』

「え? コレってツッコミ待ちなん? ディアナはまだいいよ? 俺が名前言ってたかもしれないし。でもね? トラ、何その奇跡の正解率は?」

「何の話だ?」

『分かんないぞー♪』



いや、分かれよ。いくら何でもトラ凄ぇだろ。ディアナの何処が姫なんだよ?

わがままだろ? 金銭感覚おかしいだろ? 見た目可愛らしいけど中身は狂暴だろ? 世間知らずここに極まれだぞ? 


何処に姫の要素がある。せいぜい……わがまま程度だろ



「今、物凄くバカにされた気が……」

「気のせいだ。よし、ディアナ。リュックの中に入れ。歩くと流石に1週間近く掛かるから自転車(チャリ)で行く」

『トラに乗ればー♪』

「それは速すぎて俺が追い付けない」

『ならトラもその中入るかー?』

「おう」



という訳で2人に入ってもらい(ディアナは嫌がったが)チャリをリュックから取り出して出発する事にする



「さて、出発しますか」





=  =  =  =




現在、魔物に囲まれている。可愛いのから気持ち悪いの、弱そうなのから強そうなの。理由は簡単だ



なつかれた




「邪魔だお前等!」

『言葉分かるぞ! 珍しい珍しい』

『肉食うか? 取り立てだ』

『野菜くう?』

『遊ぼーぜ』

「急いでるんだー!」

『『『落ち着け』』』

「お前等が言うか?!」



結局かなり足止めされ、森の近くで野宿する事に



「刹那、お前本当に生き物か?」

「少なくとも人間だ。魔族とか獣人とか龍人ではないのは確かだ」

「人間? ……まあ何でもいいや。で、何でお前の後ろに大量の、それもかなり珍しい魔物と、会うのが難しい魔獣がゴロゴロいるんだ?」

「なつかれた」



後ろの奴等から貰った卵や野菜、謎の肉を食べながらそんな話をしている。ちなみにディアナには何も言ってない。五月蝿(うるさ)そうだし



「オムレツおかわり」

「ねぇよ」

『刹那ー、野菜もうないー?』

「ないよ」

「『えー」』

「文句言わない。俺なんて2人の半分も食ってないんだぞ。ちなみにお前等も獲りにいかんでいい」

『『『えー』』』




あのね、今日初めて会った(まあ正確には襲われていつの間にかなつかれたんだが)お前等にこれ以上パシらせる程俺は酷い奴じゃないからな?




「とりあえず今日はもう寝るぞ」

「早ッ?!」

『あいー♪』

『もっと話そーぜ』

『人との話面白い』

『というか初めて』

「また明日な」

『『『うん。分かった』』』



とりあえず帰ってもらう。え? ちゃんと明日も話すよ? 夜逃げとかしませんよ? ただ朝が早いから会わない可能性があるだけだよ?



「さて、ディアナリュックに」

「あんな場所で寝れるか阿呆」

「なら、テントでも立てるか」

「よし私も手伝うぞ」



結局、全く、全然、これっぽっちも役にたたなかったので俺一人で準備した


=  =  =  =



「で、何でこうなったし……」

「……zzz」




現在、テントの中で「2人仲良く同じ布団」で寝てたりする

何故こんな事になったのか簡単に説明しよう




テント完成→よし寝よう→せまいからディアナだけ入れ→お前が寒いだろ!→無理矢理布団に眠らされる→何故かディアナも入ってくる→俺動揺、ディアナ爆睡



こんな感じである

もうね、俺絶対男として見られてないよね? 保護者扱いだよね? 

いや、襲う気もないから問題はないが。ただね、女の子が男と簡単に寝るというのはいかがなものか?



「……せつなー」

「はい?!」

「オムラ……スー」

「あの……夢でも俺コック扱いですか? というか、またオムライス? 夢の俺にぐらいたまにはバリエーション出させてくれない? 卵高いからさ」





このまま、結局寝れずに朝まで過ごす事になる



……俺って、コック以外の価値は無いんだろうか?




=  =  =  =



で、魔物達にまた遊びに来る約束をし(まさかのトラの寝坊によって計画が狂った)、村に向かって移動を開始する



何の邪魔もなかったので割りとすぐについた。と言っても目的地ではなく、近くの村だ。ここで2〜3日程買い物と骨休みをするつもりだ。……何故か、休めない気がするが



「じゃ、宿に行こうぜ」

「……zzz」

『姫トラの上で寝てるよー♪』

「……楽でいいなコイツ」




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ