村を助ける? まさか、俺は俺がしたい事をするだけだ(前編)
半年近く更新しなくてすいませんでした。ようやく仕事に余裕が出来たので少しずつ更新出来そうです
目標の敵を見つたのはいい
問題は……アレは流石に倒すの無理、精神的に無理
だって、だって……
つぶらな瞳で見つめてくるし、なんかリスみたいだから触ってみたいし、なんというか凄く飼いたい
というか我慢とかもう無理
「せ、刹那? 落ちつてるか? ほ、ほら、水でも飲んで、あ、こら、アレは倒す魔物だぞ?! 勝手な行動するなと言った本人がするな?!」
「…………触りたい。撫でたい。なにより愛でたい!」
「ほ、ほらアメやるから我慢!」
「……むぅ」
くっ、しょうがない。アメを舐める間だけ我慢しよう
うん、無理
「隙あ、ぐがふっ?!」
「ふう、足に縄付けといてよかった」
← ← ← ← 一時間前 ← ← ← ←
まあ、森に来たのはいいんだ
ただ問題がさ、一つあるんだよ
よく考えたら、俺達魔物の姿知らない
「で、ワンコ。どうすんだ?」
「ワンコ言うな!」
「痛ッ?! だから蹴るな。で、なんか情報あるの?」
「子供に聞いたらなんか小さくて可愛い奴だったそうだぞ?」
「わー、そうなのかー」
「棒読みは止めろ」
まあ、情報少ないなら魔物片っ端から解析して探せば良い
問題は、……さっき見えた龍と虎を混ぜたような魔物には出会わないようにしないとな。守りながら戦うには面倒な相手だ。だってほら、疲れるし
「で、ディアナ。何処に行くつもりなんだ? この森、確か結構広かった筈なんだが?」
「……あっちからあの町の飼料と同じ匂いがする」
「……なあ、お前以外の奴もそんなに鼻良いの?」
「いや、私ぐらいだぞ?」
それ先祖返りってやつじゃないの?
もう名前ワンコに改名しない?
「今なんか変な事考えなかったか?」
「いや、全然。それより早く行こうぜ? あと、見つけても勝手な行動はしないように」
「……分かった」
→ → 戻る → →
で、現在にいたる
一つだけ言わせてもらう。俺は変態ではない。たんに可愛い物が好きなだけだ
前のオークのせいで精神的ダメージを癒してくれそうなのがいたので愛でたくなっただけ。それは分かって欲しい
「分からないからな」
「分かれよ! とにかく動物好きなんだよ! そこに可愛い動物がいたら愛でる! それでいいじゃんか!」
というかこの世界に可愛い奴少ないんだよ
魔物は基本的にグロい形だし、人は見てもつまらんし、本は歴史書とか教科書とかしかないし
「という訳でアレを愛でる。別に問題などないだろう」
「あるに決まってるだろう!」
「大丈夫! 俺動物にすぐなつかれるから!」
「そういう問題じゃないだろ?!」
2人はヒートアップし、徐々に声が大きくなっていく。まあそんな大声でケンカしたら勿論
『きゅー!』
気付かれるに決まっている
「げ、バレた!」
「お、お前のせいだお前の!」
「う、うるさい!」
とりあえず逃走を試みるが、時既に遅し
回り込まれ、退路を絶たれた
「魔物頭良いな」
「感心してる場合か! ど、どうにか逃げるぞ」
「え? 何で? 話してみてからにしようぜ?」
「通じてたまるか!」
能力使えば簡単に通じるんだが……まあとりあえず話してみるか
「あーあーテステス。聞こる?」
『うん』『聞こえる』『あれ話せる?』『せるせる』『なんで』『でー?』『不思議』『なんで?』『遊ぼー』『ぼー』『何する?』『なになに?』『お腹空いた』『ご飯?』『ドングリ』『グリ』『グリコ』
「……よし、何一つ分からない」
『分からない』『ない』『いないいない』『何が?』『がー?』『がー』『がおー』『おー』
「せめて意味が分かるように言ってくれ……」
「私にはきゅーとしか聞こえないんだが」
まあ俺も能力で話せるようにしなきゃそういう風にしか聞こえんがな
とりあえず、話しは出来るみたいだしなんで盗んだのか質問するか
「なぁ、なんで村から餌盗んだんだ?」
『盗んだ?』『なになに?』『あれあれ』『どれどれ?』『木の実木の実』『あー』『とらちゃん』『ペコペコ』『かわいそー』『そー』『お父さん』『捕まった』『売る』『『かわいそー!』』『人悪い』『ペコペコ』『死んじゃう』『友達』
「ごめん、断片的過ぎてわかんない」
『とらちゃん』『お父さん』『捕まった』『かわいそー』『ご飯』『食べれない』『れない』『ないー』『ないない』『人悪い』『ご飯』『探した』『たー』
えっと……つまり?
「ディアナ、この森に毛皮が高い魔物っているのか?」
「タイガードラゴンがこの辺りに生息してるって聞いた事があるぞ。毛皮はだいたい……一匹辺り金貨100枚はくだらないんじゃないか?」
「そのタイガードラゴンって肉食か?」
「いや、草食だ。草とかドングリを食うんだぞ」
だいたい予想出来た。なんで確信を得るために行動せねば
「なぁとらちゃん呼べるか?」
「とらちゃん?」
「すまん今は黙って。で、呼べるか?」
『呼べる』『べる』『とらちゃん』『とらちゃん!』『来てー』『てー』『聞こえる?』『るー』
不意にガサッという音が真後ろから……あれ? この位置は何かヤバい気が?
『呼んだ〜♪』
そして、妙に明るい声と共に2mくらいの白い影が
「い、グガッ?!」
『来たー』『たー』『とらちゃん』『うがー』
『うがー♪』
「…………」
「刹那生きてるか?」
「し、死にそう」
とりあえず降りてもらい、話をしてみる事に
『おー、人だー。父さん元気かー♪』
「……いや密猟か何かされたんじゃないの?」
『おー、よくわかんないー♪』
「わかんないって……」
目の前にいるホワイトタイ……じゃなくてタイガードラゴンに聞き始めるが、第一声から不安である
にしても……めちゃモフモフ出来そうだな
『人、父さん村で何してるー♪』
「いや知らん」
『一週間帰って来ないからー、向かえに行くー♪ でも道わかんないー♪』
「前途多難だな」
『だなー♪ 連れってって-♪』
コイツと話してると、予想が違う気がして来るから不思議だな。というか会話がかみ合ってるのかかみ合ってないのか分からん
でも、可愛いからいいや
「あとで抱っこさせて」
『別にいいぞー♪』
「交渉成立だな。と言う訳で、村行くぞ」
「待て。泥棒の犯人が分かってないだろ」
「それはこのチビ供がやった。理由はこの……とらちゃんのお父さんが人に連れてかれてご飯を食べれなくなってたのを見たので人から貰ったんだとよ。以上。よし、村に行くぞ!」
= = = =
と言う訳で戻ってきた。が……もちろんこんなデカい(といっても2mくらいだが)ホワイトタイ、じゃなくてタイガードラゴンを連れて来た時点で追い返されそうになった
なので、権力という楯を使わせていただきました
「お前人に命令するの慣れてないか?」
「まあ昔から人にあれこれ言う立場に居たしな」
生徒会の庶務なのに会長が全く仕事しないせいで実質俺会長だったしな
「それより、何処にいるか分かる?」
『トラに聞いてるのかー? 臭いなら、……アッチだぞー♪』
トラちゃんが指(……いや爪?)を指した方向には、昨日見た豚が、オーク顔の領主の城(家とは言わさない)があった
「おい、どういう事だ? 何で領主の家に向かってるんだ?」
「魔理亜から受け取ったレイ○ボーをこんなに早く使うとは思わなかったぜ」
「待て、今の物騒な発言はいったい……!」
後ろでディアナが叫んでいるが今は無視し、領主の家に邪魔をする
「こっちだな?」
『こっちだぞー♪』
「待て窓から入るな、これ不法侵にゅ、うぐっ!」
騒がれるとまずいので、色欲を使い前回修行で使った部屋に押し込めておいた
その後、トラちゃんの鼻を頼りに屋敷を彷徨いていたが、ある部屋でトラちゃんが動かない
『臭い消えたー』
「さて、じゃあこっからは俺の出番かね」
とてつもなく久しぶりだが……能力を作成するとしよう
■■■
解析で屋敷全体像は把握済み、何処にいるのかも分かっている。だが、そこに至るまでの道がない。おそらく転移魔法による移動なのだろう
なら俺が創るのはもう決まっている。今必要なのは移動手段だ
つまり、俺が創るのは『道』だ
■■■
「能力発動『理想の道』」
能力が発動した瞬間、俺の目の前には……何故かエレベーターがあった
「……は?」
自分でもビックリだ
道を創る筈だったのに何故かエレベーターが出来ている
おそらく地下にある部屋に行くのでエレベーターなんだろうが……色々な意味で大丈夫なのか?
「ま、まあいい。トラちゃんとりあえず乗るよ」
『分かったー♪』
トラちゃんと俺が乗った時、無機質なアナウンスが流れる
【最下層までワープします】
「形意味ねぇ?!」
ツッコミが虚しく木霊する中、扉が開く
そこに広がっていたのは───