聖職者を名乗る下衆と『慈悲無き者』と“うまう〜”
「は〜れほ〜れうまう〜!」
アホですね
前回
フラウ、安らかに永眠(眠れ)…
・・・ま、死んでないけどね?
―アリアサイド―
誰だって無条件で嫌いになる奴はいるだろう?
私にもいる…もちろん嫌いな理由がある。
・・・確かに最初の問いと違うな。だがね、そんな事は些細な事だ。
今1番大切なのは私が彼女(仮にAと呼ぼう)の事が嫌いだと言うことだ。
Aはいつも黒い服(本人は尼僧服だと言っていた…)を着ている。いつも何か(本人はヘッドフォンだと言っていた…)を耳に付けている。戦う時は仮面(本人は狐のお面だと言っていた…どれも私が知らない物ばかりだ)を着けて戦っている
だが何より奇抜なのは…その髪だった
黒い髪……伝承の中にしか無い異常な魔力を現している恐ろしい色だ
神から見放された悪魔の色を持っている…だから軍人であり聖職者である私はAが嫌いだ
「おい…たまには働けこの出不精が!」
「ふん。何を勘違いしているんだ君は?私の仕事は魔獣の殲滅だけだ。他の仕事は別料金に決まってるだろう?」
あんな大金を払ったのにまだ欲しがるか悪魔風情が……!
「この守銭奴が…」
「当たり前だろう?金がなければ人生を楽しめないじゃないか?それとも何か?君は質素な生活を善しとするタイプか?」
「当たり前だ!私は神に使える者だぞ!?」
「だったらそんなに怒鳴るな…憤怒は大罪の一つだぞ?」
「ぐぅ…!」
「それはそうと、私に仕事をさせたいなら金を出すか、私を動かせるような素敵に楽しい情報を持ってこい」
「お前は…クソッ!」
「どうした?聖職者がそんな事を言ったらお前が大好きな神様が悲しむぞ?」
悪魔が神の名を…!
そんな時、いきなりドアが叩かれた
「誰だ?」
「アリア将軍!大変です!城内に賊が侵入しました!」
「なんだと!?見張りは何をやっている!?」
「それが…全員気絶させられてます」
「賊は、賊は何人だ!?」「ひ、1人です…」
「・・・ははっ!ははははは、ははははははははは!!!!!!」
いきなり、この女が笑いだした
「なんだ!?何が可笑しい!?」
「くっくっく…いやすまないね。まさか私もこんな面白いアクシデントがあるなんて思わなかったんでね」「・・・それは、いったいどういう意味だ?返答次第では…」
「ん?…ああ、すまん。別に悪いとは言ってないよ。ただ楽しくなってきたと思っただけさ…もしこれで侵入者が私の思い人だとしたら、楽しすぎて壊れてしまいそうだ」
そう言いながらまた狂ったように悪魔は笑いだした…
* * * * * * * *
『慈悲無き者』サイド
「おいおい、いくらなんでもあり得ないだろコレは…?まさか『平和〇静雄』が来たのか?」
部屋から出ると何人かの雑魚兵が壁に突き刺さっていた…そしてその中心辺りに見覚えのある仮面を着けた少女(?)がいた…この少女(?)がこの惨劇の張本人だとしたら恐ろしいな…
そして少女(?)の手には何も握られてはいない…つまり素手でこの雑魚兵を壁に突き刺したという事だ
「ふむ…君は誰だ?」
「・・・ただの斉藤さ」
「ぶっ!!!」
ぷっ…ぷぷっ、この状況でその言葉が出るとは…
「で、では斉藤。何故こんな場所にいるんだ?」
「そこに城があるからさ」「君はどこの登山家だ?」
まぁ…この会話だけで目的は果たす事が出来た
この少女(?)は確実に『こちら』の人間だ!
「斉藤…君は何をしに来たんだ?」
「・・・まぁ、アリア将軍閣下に挨拶に来ただけだったんだが…何故か通してくれなかったんでな、実力行使をしただけだ」
「ふむ……なら勝手に会えばいい。私は止めない」
「・・・?なんでお前は止めないんだ?」
「私は傭兵でね、金にならない事はやらない主義なんだ」
「凄く良い主義だな」
「自分でもよく思う」
斉藤とは以外に気が合うかもしれないな
* * * * * * * *
「・・・と言うわけだ。話ぐらいしてやれ」
「・・・神よ、この悪魔を葬りたまえ」
「お前悪魔なのか?…ええっと、なんて名前だ?」
「ん?ああ、私は『慈悲無き者』とでも呼んでくれ」「へ〜、技名みたいな二つ名だな」
「そうだろう…結構気に入ってるんだ♪」
「人が真剣に悩んでる時に何をほのぼのと話してるんだ貴様等!!!」
まったく、無粋な男だな君は…
可愛い者がいたら他の事はすべて無視しなければならないんだよ、私的に…
「まぁアレだ、君は少し落ち着け…あと落ち着いたら話を聞いてやれ。迷える子羊の相談にのってやるぐらい、神父なら出来るだろう?」
「お前は……良いだろう。では私になんの用なんだサイトウ?」
「じゃあ聞くぞ?姫様どうした?」
「君は……知らないかもしれないが、姫様はシルディアに拐われたんだ」
・・・聖職者なのに嘘は良いのか?自分にだけは寛大な神様だな?
「そんな最近の事は知ってる。俺が聞きたいのはその前、アンタが姫様に『何をしたのか』だけだ」
「!?」
・・・なんの話だ?
「わ、私が…姫様に?いったいなんの話しかな?」
「しらばっくれんなよ?この蛆虫風情が…」
斉藤…いきなり声が冷たくなったよ
しかも殺気が半端じゃないな
「手前がワンコを牢屋に閉じ込めてたのは知ってんだよ!!」
「ワ、ワンコ?」
「・・・あ、もしかしてディアナちゃんか?」
「ああそうだ!とにかく言わせてもらうぞ!
今ワンコはシルディアで保護している状態だ…そこに戦争を仕掛けるんだ、ワン、いやディアナ姫を潰すつまりだったんだな?前々から邪魔だったシルディアをともに…」
・・・君はそんな事までしてたのか?
というか斉藤、良くそこまで調べたね?
っと、それどころじゃないな
「KOOLになれ!斉藤!今は燃え上がる時じゃない!」「・・・なんか若干ムカツクんだが…まぁ確かにその通りだな。ありがとな『慈悲無き者』」
「うむ、気にするな♪その仮面を外して『お姉ちゃん大好き!』とか言ってくれるだけで良い」
「ざ・け・ん・な♪」
むぅ…真剣に言ったんだが
「とにかくだな…俺の家に手を出すなら殺される覚悟ぐらい…いや、『生き続ける』覚悟ぐらいしてから来い。忠告はしたぜ?あばよ」
謎の言葉を残し、斉藤は消えた…と思ったら窓の外から『トミノの地獄』が聞こえてきた…歌詞無いのによく歌えるな?
「クソッ…いったいなんだったんだアイツは?」
「君の大好きな神様じゃないかい?」
「ふざけた事を言うな…」「ふざけてないよ?ほら、『死神』だって神だろう?」
ああ、それにしても可愛い子だったな♪
戦争に参加したらまた会えるのかな?
「という訳で…戦争に参加してやる」