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シューーーーーー
帰り道、何かを踏んだ。
足裏を見ると、赤い斑点に濡れている。
振り返って地面を見ると、小さな血溜まり。
しゃがんで覗き込むと、黒猫が倒れていた。
極小の黒猫。
黒猫からは今もなお血が流れ出ている。
こんな小さな猫は初めて見た。
そこにいたとは知らず、
踏んづけて絶命させてしまった。
規格外の小ささなので年齢は分からないが、
自分に踏まれなければ
きっと思うままに生きていたのだろう。
それなのに自分の不注意で、
一つの命の運命を絶ってしまった。
もしかしたら気づいていないだけで、
極小の犬や兎もいて、
知らぬ内に傷つけてしまっていたのだろうか。
今ここに立てる墓を戒めとして、
これからを生きよう。
帰宅すると、視界の端に素早く動く黒い物体。
『うわっ!ゴキブリ!』
『シューーーーーーー』