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翔太郎のおじいさんの家は、山の中腹にあるらしい。と言っても、そこまでの道路は整備されているので、登山の必要は無いけど。
「問題は、どうやってそこまで行くかね。」
「俺のターボレッグがあれば問題ない。俺があやかを背負っていく。」
翔太郎の軽口はいつも通り無視するとして、車がないと厳しい。そこまで徒歩ではとても行けないし、鬼に見つかる危険性はできるだけ避けたい。
「翔太郎、免許持ってる?」
「ああ。車で行くのか。」
「ええ。でも肝心の車がないわ。どこかで借りるか何かしないと。」
レンタカーショップはこの辺にないし。車を持っている知り合いは全員郊外に住んでいる。
「ちょっと待ってろ。」
「え?ちょっと、どこ行くのよ!」
翔太郎が人混みの中へ入ってしまったので、1人で待つ。10分程して、翔太郎は戻ってきた。手に車の鍵を持って。
「へへっ。すごいだろ?褒めてくれてもいいんだぜ。」
そう言って、鍵を見せびらかしてくる。いつもなら流すところだけど。
「ほんとにすごいわ。どうやってやったの?」
心の底から感心する。
「見ての通りかなり混んでるだろ?つまり、待ち時間もものすごく長い。だから待ち時間長そうな人を見つけて、すぐ返すからって車を借りてきたんだよ。」
「すごい。あんたにそんな交渉術があったなんて。」
関心していると、
「なんてな。」
「え?」
「母さんの姿が見えたから借りてきただけだよ。他人に車貸すやつなんて居ないだろ?」
おどけた笑顔でそうネタばらしされる。
「ふざけんじゃないわよ!本気ですごいと思ったのに!」
「ごめんごめん。でも、車は手に入ったんだしいいだろ?」
納得できないけど、車が手に入ったのは事実。その点に置いては翔太郎に功がある。これ以上の追及は無駄だと思い直す。
「車は手に入った訳だし、今回は許すわ。おじいさんの所まで行きましょ。」
「ははあっ。ありがたやー。」
翔太郎が何か言ってるけど、これには反応しない。
翔太郎のおじいさんの家は金華山の中腹にある。昔はちょっとした集落だったらしいが、時代の流れと共に人が減り、今ではおじいさんの家しか残っていない。
「よし。着いたぞ」
「どこにも見当たらないわよ。間違いじゃない?」
周りには林しかない。家なんて見当たらない。
「いや、ここで合ってる。着いてきてくれ。」
翔太郎は車を道の端に止め、林の中の道無き道を進んでいく。5分ほど歩いただろうか。いきなり1軒の家が現れた。
「ここがじいちゃん家だ。」
土壁に茅葺き屋根。向かって右には玄関、左には縁側があった。江戸時代の家と言われて浮かべる姿そのままだ。
「じいちゃーん!」
翔太郎が大声で呼びかけると、しばらくして玄関から老人が姿を見せた。翔太郎に似て整った顔をしている。そして、とても身長が高い。2メートルくらいあるのではないだろうか。また、歳だというのに全く背筋が曲がっていない。
「翔。よう来たなあ。そちらのお嬢さんは?」
「あやかだよ。この前言ってたシェアハウスしてる女の子。」
「ご紹介にあずかりました、遠藤あやかです。よろしくお願いします。」
「これはこれは。石川雄之助です。いつも翔がお世話になってるねえ。」
優しく私に微笑みかけてくれる。高い身長だけど、威圧感は全くない。
「いえ、滅相もないです。」
「あやか、いつもの口調でいいんだぜ。」
「お前が言うな。おじいさんが決めることでしょ!」
「はっはっ。あやかさん、いつもの口調でいいんだよ。」
「すみません。」
翔太郎とのやり取りを見られてしまって、赤面する。
「とりあえず、中に入りなよ。」
おじいさんに促されて、
家の中に入る。見た目とは裏腹に、中はイノベーションされているのか、とても綺麗だった。
「それで、今日はなんの用だい?」
「そうだ。大変な事になってるんだよ。ことわざがホントになっちゃってるんだ。」
「うん?」
翔太郎と私は、これまでのことを全て説明する。特に鬼の事を詳しく。




