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辺境伯の長男の俺に王命でお嫁さん来た!~え、悪役令嬢なの! それはつまり、この世界は乙女ゲームだったのか!?

作者: あまのやぎ

思い付きで書いてみました。


長文です。


眠れない午前2時に、ランキングを見ましたら、92位でした。

予想外の高順位にびっくりです。

これも、読んで応援してくださる皆様のお陰です!

ありがとうございます。

 俺の名前は、「ユーリスト=フェル=ランフェリア」だ。

 アウラディア王国の東の辺境を治める「カリスディル=フェル=ランフェリア」辺境伯の嫡男として生まれて今、20歳だ。

 親父は、仕事の都合と俺の次期後継者としての予行練習を兼ねて王都に勤めている。

 因みに、弟と妹が1人ずつ居るが王都の王立学園に通っているから居ない。

 この世界は一夫多妻が認められているが、親父には第2夫人とかは居ない。


 さて。

 ……実は俺、転生者だったりする。

 しかしな、トラックとかにも轢かれていないし、美艶な女神様とかロリな女神様にも会ってないし、俺TUEEEなチートも無いしで、コレは「モブ転生」と悟ったよ。

 それでも、転生特典なのか、魔法は全属性持ちで、一流の部類に入る実力を持っている。


 まあ、辺境とはいえ、嫡男だし「当たり」だと思ったよ。

 それに辺境という事は、国境、つまりは端っこなのだが、お隣さんがエロフ……いや、エルフ国やモフモフ獣人族に、合法ロリ……じゃなく、職人気質(しょくにんかたぎ)なドワーフ国があるんだ。

 上手く交流を続けば交易都市としてお金には困らない事、間違い無しだ。

 身分良し、外見は上中下の上、学業は上位10位以内を維持したまま卒業して、悪友だが友人もそれなりだ。

 しかし、前世が陰キャだった為、彼女無し。


 え?

 貴族な上に嫡男なんだから婚約者は、だって?

 ……居たんだけど、色々な偶然が重なって事故で、な。

 向こうは分かってくれたけど、悪い噂になって未だに婚約の話が来ない。

 実は、この世界は、黒髪黒眼は普通に敬遠される。


 ……泣いて良いですか?


 理由は、この世界には既に滅んでいるが「魔王」が居たのだが、その魔王が黒髪黒眼だった。

 だから、辺境とはいえ、嫡男でお金なら有るのに、俺には婚約の話が来ない。


 ……ハズレで、訳有りなら来るけどな。


 そんな俺だが、転生を自覚したのは、5才の「誕生の儀」での事だ。

 たまに異世界転生ラノベであるだろ?

 その世界では、5才とか7才とか10才とかに神殿とかに行って、水晶球に触れて神様から貰ったスキルを見るアレだ。

 この世界にもソレが有って、俺の場合「全属性魔法」のスキルだった訳だが、この時に異世界転生を自覚した訳だ。

 後頭部の痛みとたんこぶと共に、な。


 ……つまり、驚いて後ろに後頭部を打って気絶して、目が覚めたら「此処は異世界か?」ってなった。


 前世は、ラノベ愛読者の浅瀬のヲタクで、最後の記憶はブラックな会社からやっとアパートに帰った所までは覚えているが、その後は……

 んで、気付いたら、5才の外見の俺と、天蓋付きベッドの横で泣いている美少女メイドのシルビィア。


 その後は、異世界転生を自覚した俺は、俺の魔法SUGEEEや内政チートで暴走しまくった。

 今じゃ、公共にも魔石を使った水洗トイレや泡立ちたっぷりの良い匂いがする石鹸に柔らかい白パンにと、他にも色々とやった。

 お陰様で、生活水準は王都以上だ。

 ただな、王族に睨まれるのは面倒臭いから、功績は親父に背負って貰った。


 そして、俺の母親だが、異世界転生を自覚してからは色々やらかした俺に対して何度も雷を落としていたが、今では、慈愛の笑顔で「ウフフ」とか言いながら接してくれている。

 多分、悟りを開いたのだろう。

 まあ、美肌美容に関する知識を全て提供したのも大きいと思うがな。

 それと、俺が前世の記憶持ちなのを知っているのは両親とシルビィアだけだ。


 後は、政略的な意味で、表向きは俺の侍従をやっている大切な仲間が居る。

 向こう側は、俺の内政チートで力が上がっていくのを見て慌ててお隣さんのエルフ国、獣人国、ドワーフ国から仲良くしましょう的な意味で俺の侍従にどうぞ、と寄越した。

 しかも、俺が嫡男だから、見事にハニトラ狙いで女の子を送って来た訳だ。

 将来エロフ間違い無しなエルフの「サーラ」に、可愛いけど風紀委員長タイプの黒猫人族の「リン」や、合法ロリな職人気質(しょくにんかたぎ)な「カレン」の3人だ。



 そんなある日に、王都に居る親父から手紙が来た。

 内容は、王命で俺のお嫁さんが決まったらしい。

 名前は、「クリスティーネ=ベルガ=ゾフィーリア」で、公爵令嬢だ。

 ……って、あのクリスティーネ嬢か!?

 皇太子の婚約者だった筈だ!

 手紙には、クリスティーネ嬢が皇太子の婚約者としてあるまじき事を繰り返した事が原因で、卒業式の後のダンスパーティーで、婚約破棄の宣言をされた上に、同時に男爵令嬢との婚約を新たに宣言したみたいだ。


 その流れは、悪役令嬢のアレじゃん!


 ……この世界は、乙女ゲームだったのか!


 アレ?

 手紙、2枚目も有った。


 なになに。

 クリスティーネ嬢は専属侍女1人を伴って既に向かっている上に、到着予定日が今日だわ!

 しかも、この事は母さんには報告済みぃ!

 道理で、3日前から母さんが上機嫌でメイド達に、色々と指示していた訳だ。

 母さんには、「クリスティーネ嬢は、理想の貴族令嬢で、皇太子の婚約者として最も相応しい。」と、クリスティーネ嬢の誉め言葉しか言っていなかったからなぁ。

 自分の息子が理想と誉める令嬢が俺と結婚する。

 つまりは、義理とは言え、自分の娘になる。

 そりゃあ、上機嫌にもなるわな。

 しかも、公爵家とも繋がりが出来たから、母さんの実家にも自慢出来る話だ。


 ……しかも、書類系は既に提出済み。


 そういえば、5週間ぐらい前に、母さんが有無を言わせずにサインさせられた書類が有ったな。

 そして、親父と王立学園に通っている弟妹(ていまい)2人は、1週間後に一時帰宅するみたいだ。


 こうして、貴族としての宿命にしみじみしていると、突然ドアが開けられ、次期メイド長のシルビィアが入って来た。


「シルビィア、一応はノックしようよ。」

「ユーリ様相手に、そんな気遣いは無用です。」

「それで、何か有ったのか?」

「手紙は読みましたね?」

「あ、うん。」

「では、準備を始めます。」


 シルビィアがそう言って指を鳴らした途端、数人のメイド達が入って来て、俺はドナドナされ歓迎の準備として風呂から始まり身嗜みを整えられて、紅茶を飲んで待っていると、到着の報せが来た。


「ようこそ、我がランフェリアへ。俺の花嫁さん。」

「お久しぶりです、ユーリスト先輩。この度、ユーリスト=フェル=ランフェリア様に嫁ぐ事になりました、ゾフィーリア公爵家が長女クリスティーネ=ベルガ=ゾフィーリアです。末永く、幾く久しくよろしくお願いいたします。」

「専属侍女のアイラです。」


 この後、母さんの熱い歓迎を受けたクリスティーネ嬢、いや、結婚しているのだから、愛称のクリスで良いか。

 クリスは、旅の疲れと汚れを落として貰う為に自慢の我が家のお風呂(前世の3つ星ホテルや高級老舗旅館を参考)に入って貰い、我が家の自慢の夕食(此方も高級老舗旅館の和食を参考)を食べて舌鼓を打って貰い、今日はゆっくり過ごして貰った。


 俺は自室でのんびりしていると、控え目なノックの音がした。


「どうぞ。」


 今や、我が家の俺の部屋の扉を、こんなノックをする人物は1人しか居ない。


「失礼します。」


 入って来たのは、薄いガウンを着たクリスだった。


「どうしたんだ、クリス。今日は旅の疲れを取る為に自室でゆっくりすれば良いと言った筈だよ。」

「……」


 あれ?

 だんまり?

 ……良く見ると、薄暗いから分かり(にく)いけど、鎖骨より上が赤くなっていないか?


「……嫁いだ者としての務めを果たしに来ました。」


 そう言ってクリスはガウンを脱いだ。

 クリスの今の格好は、黒幕は俺、表向きは母さんが流行(はや)らした前世の洋風下着、つまり、紫色のレースを多用したブラとショーツに透け透けネグリジュを着たクリスが居た!

 クリスの肢体は充分にグラビア雑誌の表紙を飾れるプロポーションだった。


「クリス?」

「ユーリスト様に嫁ぎ、私は妻としての役目を果たす為に来ました。どうか、ユーリスト様も次期後継者としての務めを果たしてください。」


 真っ赤になって震えているな、クリス。

 俺は、寝転んでいたベッドから上半身を起こし、クリスのスペースを開ける。


「おいで、クリス。」

「……はい。」


 クリスは更に真っ赤になって震えながら、ベッドに上がり俺の横に来た。

 俺はクリスを引き寄せ、上掛けでクリスの肢体を隠す。


「……!?」

「クリス。無理をする必要は無いよ。」

「ユーリスト様?」

「クリスの事は、父上から送られた手紙で簡単ではあるけど知っている。そして、クリスと共に学生として過ごした期間は1年間だけだし、その後の空白の数年間もある。

 だけど、それでも、クリスの性格は知っているつもりだ。

 だから、クリスが自身の名誉を自分で傷つける様な事をしないって信じている。」

「ユーリスト様……」

「もう結婚しているんだ。ユーリと呼んで欲しい。」

「ユーリ様。」

「クリス。何が有ったんだ?」


 クリスが話した内容は、(ひね)りの無い普通の乙女ゲームだった。

 そして、クリスも一生懸命頑張った結果、テンプレの悪役令嬢となり、ヒロイン役の男爵令嬢に注意を続けた事で、皇太子と溝が出来て、最後は卒業式の後のダンスパーティーで、皇太子から婚約破棄宣言と冤罪を被され、ヒロイン役の男爵令嬢と婚約宣言をした。


 そして、国王と王妃が居ない隙に、皇太子がクリスに身分剥奪の上に貴族籍から外され、国外追放を言い渡した。

 多分、乙女ゲームのバカ王子を素で演じた皇太子はクリスを便利な下働き扱いをしたんだろうな。


 そして俺は、前世の記憶持ちの影響で同年代や下の年代は、まさしく子供扱いしていた。

 だから、一生懸命頑張っていたクリスには、俺は優しくて、頼りになって、支えてくれる先輩だった訳だ。

 そんな俺と居たから、たった1年しか交流が無かったのに覚えていたのだろうな。


 ゾフィーリア公爵はクリスに対して、上手く立ち回らなかった事には怒っていたけど、それ以外はクリスを大切に思っていたみたいで、クリスに今後の事で沢山出した案の中で俺との婚約も混じっていて、クリスは俺を選んだらしい。


 その後、事情を知った国王と王妃とゾフィーリア公爵で話し合い、クリスの処遇は、辺境でのんびりしている独身の俺に白羽の矢が刺さった訳だ。


「ユーリ様を密かにお慕いしておりました。」

「……そうか。」


 そして、クリスを突き落とす噂が撒き散らされている為に、のんびりと婚約する余裕もなく、ゾフィーリア公爵が国王にお願いして俺との結婚を王命で決めた。


 親父も、俺が公私両方でクリスを誉めていたから、独身の俺にはちょうど良いと思って受け入れた。


「クリス。今日は疲れただろう。一緒に寝てあげるからおやすみ。」

「……はい、ユーリ様。」



 その後は、親父と弟妹2人は2泊して王都に帰り、更に3ヶ月後に領地でクリスとの結婚式を挙げるのだが、その3ヶ月の(あいだ)にエルフ国との国境付近でオークの大量発生が起きてエルフ国の人達と協力して討伐したり、その時に、想像以上の高スペックを発揮したクリスが縦横無尽な活躍をしたり、クリスとピクニック中に、赤銅竜(ブラウンドラゴン)が現れて、クリス姫を守る騎士の俺状態になり、単独で討伐して竜狩(ドラゴンスレイヤー)りの称号を授与されたりした。


 そして……


「汝は、クリスティーネ=ベルガ=ゾフィーリアを妻として愛す事を誓いますか?」

「誓います。」

「汝は、ユーリスト=フェル=ランフェリアを夫として愛す事を誓いますか?」

「誓います。」

「両者の結婚が、神の御名の下、認められました。では、誓いのキスを。」


 俺は、クリスのヴェールを上げ、クリスを見つめる。


「クリス、愛している。」

「ユーリ、私も愛しています。」


 そして、俺はクリスと誓いのキスをした。



 ……「その後、2人は幸せに暮らしましたとさ。」で、終われば良かったのだが、異世界転生系の主人公がする様な困難が訪れるのは近い将来のまた別の話だ。






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