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学校の女の子

 クラス。分からん。

 ……どうしよう。

 私も、てんちゃん達に付いていった方が良かったのかな?


 と、とりあえず、手当たり次第に靴箱を見て回ろう。

 幸い、去年の入学式に出たおかげで、一年の靴箱は分かる。

 だから他二つが、二年生か三年生の靴箱だ。


 ちょっと、駐車場のこんなところに立っていると、視線が痛い。

 私、変人みたいに見えていたらどうしよう。

 いや見えてそうだな。


 まぁ、でも。

 生徒と、同じ方向に行けば、靴箱にはたどり着けそう。

 まず、この生徒たちの流れに乗ってみよう。

 そう思って、歩き出そうとした時、


「君。大丈夫?」

「どひゃっ!」


 背後から、突然声がかけられる。

 びくんと体が大袈裟に跳ねた。


 振り返ると、制服を着た女子生徒がいた。

 めっちゃステルス能力高い人のようだ。

 近づいていることに全く気づかなかった。

 というか、私が考え事をしすぎて気づいてなかっただけだと思うけど。


 あれ? ……てんちゃんとも、こういうことあったような。

 ま、いいっか。


 と、ともかく今は、この人の対応だ。


「だ、だ、だ。だ、大丈夫です」


 緊張しすぎて、ついカミカミになってしまう。

 ……恥ずかし。


「そう? さっきから、すごく周りをキョロキョロしてたから。何か探してるのかなって」


 その言葉で、優しい人だと分かって少し安心する。

 さっきよりかは、少し落ち着いて返答をする。


「く、靴箱を探しています」

「あ。もしかして、一年の子? この学校意外と広いもんね」

「いや。二年です」


 そう言って思ったけど、一年の勉強していないのに、二年になっていいのかな。

 義務教育ってやつだから、留年はしないとは思うけど。

 特別クラスで勉強する、みたいな事になったら、てんちゃんと離れてしまって嫌かもしれない。


 というか、連絡もいれずに急に学校に来て良かったのかな?

 学校に全然行ってない私が、突然学校に訪れて、先生達も困惑したり……。

 本格的に、てんちゃん達についていけば良かったって後悔する。


 ……。

 ……この人に、職員室に案内してもらうことにしよう。


「そうなの? 見たことないかも。名前は?」

「……え、えっと。……姫川、瑞樹です」


 彼女は少し俯いて、おでこに人差し指を当てて考えるポーズをとった。

 やがて、何かに気づいたかのようにハッと顔を上げた。


「あ! 知ってるかも! 空き机の子だ!」

「多分、それです」

「確かに言われてみれば、入学式の時もいたような気がしなくもなくもないような……。……すごい、美人さんですね」


 美人って。

 これはあれか、社交辞令ってやつか。

 私が美人なら、目の前のこの人も美人だ。

 顔は凄く整っているし、髪の毛は私と同じロング。

 まぁ、てんちゃんの方が美人だけど。


「いや。本当に。そんなことないです」

「いや、あるある」

「と、ともかく。私を、職員室とかに案内して欲しいんだけど。いいですか?」

「あ、うん! 全然! ……あ、ちなみに私は、藤崎(ふじさき)桃杏(もあ)ね! 多分、これからよろしくする事になると思うから、これからよろしくね!」


 多分よろしくすることになるって、なに。

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