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涙は止まらない

 数分間、ほっぺたに口付けをし続けた。

 途中で息継ぎをするために、ちょっと離したりしたけど。

 てんちゃんは何の抵抗もしない。ずっと私に寄りかかっている。

 嬉しいけど、なんだか申し訳ない気持ちになってしまうな。


 口を離した瞬間、自分の唾液の匂いがした。ちょっと臭うかも。

 匂い、残らないかな。と少し心配になるけど、キスができたのでもうどうだっていい。


「……ん。終わり。ありがと、てんちゃん」

「うん」

「感想いって」

「えっ! 感想と言われてもな〜。……みっちゃん、変態だなーって」


 くすくすと笑いながら、てんちゃんは言った。


 ……ちょっと待って。私、変態じゃないんだけど。


「……どこが?」

「ほっぺた舐めてきたところ」


 なんだ、そんなことか。

 変態じゃないよ。それは。

 むしろ、それを変態だと思っているのに、顔を離さないてんちゃんの方が変態だろう。


「……普通じゃない?」

「いやいや、どこが」

「だって、口でキスするときは、舐めるらしいから」

「舐めるというか、舌を出すって方が正しくない? ……どこで、そんな情報仕入れたの?」

「アニメ見てたらそういうシーンが出てきた。……というか、てんちゃんも分かるんだ」

「え。えぇまぁ! 私は大人な女性ですから!」


「じゃあ、口でしよ。いま。しようよ。ね?」


 断られることは分かっているのに、なぜか口に出てしまう。

 今の私には、ストッパーがないのかも。


「……。しないから」

「……うん」


 わかっていたけれど。

 こうきっぱり言われてしまうと、心にくるものがある。

 でも、それを顔に出さないようになんとか我慢する。

 だけど。きっと顔に出ているんだろうな。

 この歪んだ顔が、暗闇で隠されていることを切に願った。


「みっちゃん。帰ろうよ。もう真っ暗だよ」

「うん。帰ろ」


 公園を後にした。

 この公園には、もう行かないようにしようかな。なんて考える。

 今は大丈夫だけど、いつかここにきたら、振られたことを思い出して悲しい気持ちになるかもだから。


 家にはあと、五分くらいで着く距離だ。

 きっと。家に着いたら悲しくなる。

 そう思うだけで、訳も分からなく涙が出そうになってしまう。

 なんでだろ。なんで泣きそうになるんだろ。

 さっきので、涙として出る水分はもう枯れ果てたと思ったのに。


 瞬きをしたら、もう、我慢できずに涙が溢れた。

 乾いた肌を撫でるように流れる。

 その涙が乾いたら、うっすら線が見えるんだろうなって思う。

 家に帰ったら、まず顔を洗おう。

 誤魔化すために。

 

 私は、本当にてんちゃんのことが好き。

 心の奥底から、てんちゃんを愛している。

 ……愛している。ってむず痒いな。

 でも、そうやって心の中で言うだけでも、なんとなく満たされた気持ちになってしまう。


 両片想いなら。

 きっと。これからも、一緒にいれる。


 手を繋ぐ。恋人繋ぎで。

 これが、私たちのいつも通りになったらいいなと思いながら。

昨日投稿できませんでした。

すみません。

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