醜美の幽霊/2
好きだった少女が殺されたことから、生きることに絶望した男・ 逆立良太。
過去に悪霊に殺され、逆に喰らうことによってその力を得た守護霊・アリス。
その二人が学園生活の様々な[幽霊]に関する問題を解決していくお話。
時期は夏。
後輩に謝るために教室に向かったが良太は、そこで行われている不思議な光景を目の当たりにするのであった。
「3組の秋?高杉秋か?ブスすぎるって一時期話題になって子のことかな。」
「将君と幼馴染だから助けてもらっている……けど、それが衣絞からすれば嫌なんだろうな。」
しかしやはりおかしいな。周りの人間は全員高杉秋という人物のことを醜い見た目だと思っているようだ。
念のためアリスの写真を見せ、俺の美的感覚が変かを確認したが相変わらず可愛いし見せた相手からも可愛いとのことなので何も問題はないはずだ。
「十中八九悪霊の仕業だろうな・・・・・・。」
たまにある周りとの認識のズレ。それは悪霊のせいだ。
というのも俺には霊感というものは一切ない。
昔はあったものの、アリスに取り憑かれてからは全くと言っていいほど無くなった。
霊感というのは個人によって変わり、沙良となればアリスのような【自ら姿を隠している悪霊】以外ならば見ることが可能となる。
逆に俺のような霊感が一切無い人間は心霊スポットにいるような【自ら姿を見せる悪霊】のことすら分からない。
俺に分かるのはアリスと【悪霊が実体化させた虚像の物質】だけとなる。
つまり高杉秋には他人からの認識を変えるという悪霊がついているのだろう。
物理的に顔を変化させるような場合ならば、俺でも顔が良くないと認識できる。
「さて、どうしたものか。」
俺から関わって変なことになっても困るが見過ごすというのも気分が悪い。
「お困りのようだね。」
「・・・・・・ッ!!!!!」
いきなり後ろから声をかけられ動揺する。
「はっはっは。すまなかった。」
「ジェームズ先生ですか…・・・驚かせないでください。」
外国人特有の高い身長に長い金色の髪を結ぶ顔の整ったイケメンな男。
オカルト部の顧問であり、俺に嫌がらせをする悪質な教師だ。
「すまなかったすまなかった。どうやら考え事をしてたようで驚かそうと思ったんだ。」
「高杉秋が悪霊に取り憑かれてるとしってわざと違う教室を教えましたよね?」
「そうだが何か?」
開き直って答えやがった。
「なら自分で退治すればよいじゃないですか。」
この男は霊感が中々に強く、悪霊を撃退する術をいくつか持っていたはずだ。
「私の霊具は消耗品なのでな。強力な愛霊がついている君にお願いしたいんだ」
「それに、君はもうちょっと交流の幅を広げた方が良い。」
「余計な心配ですね。俺のことを慕って恋してくれる後輩もいるんですよ。」
「だが逃げられた。」
「・・・・・・。」
「私は心配しているんだよ。学校をボッチで過ごし将来このことを思い出し死にたくなるような君の未来を。」
「中々に具体的な心配ですね。」
「私は間近で見てきたからね。」
「就任して4年程度の教師がですか?」
「いや、人生に絶望し後悔の末に彷徨う自死人の霊をね。」
「僕は見えないので。大丈夫です。」
「これは嫌がらせなどではない。本当に心配してるんだ。義兄としてね。」
「安心してください。僕は一生妹さんを愛するので後悔なんてしませんから。」
「・・・・・・まあそれなら良い。では悪霊の退治は任せた。」
ジェームズが俺の返事を聞き、清々しい顔で去っていく。
「いや退治しませんよ。3組は貴方が担任ですよね?虐めを放置していていいんですか。」
「マネーがかかるんだよ。頼むからやってくれ。」
「・・・・・・まあいいです。兄のお願いですからね。」
「分かってくれたか。ありがとう。」
この駄目教師をさっさと解雇した方がいいんじゃないか?。
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