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醜美の幽霊/1

好きだった少女が殺されたことから、生きることに絶望した男・ 逆立(さかだち)良太。

過去に悪霊に殺され、逆に喰らうことによってその力を得た守護霊・アリス。


その二人が学園生活の様々な[幽霊]に関する問題を解決していくお話。


時期は夏。

後輩に謝るために教室に向かったが良太は、そこで行われている不思議な光景を目の当たりにするのであった。




「ああ。やはり来ないか。」

 夏休みの前の期末テストに絶望する時期。夏の頭。

 

 沙良と共に心霊スポットに行き、そこにいた悪霊を退治した翌日の部室。

 僕は当たり前のように部活に来ていた。

 

 後輩の沙良はまだ来ない。いつもは来る時間なのに。


 正直気まずくはあるが来てほしい。

 このまま幽霊部員になって、部室に僕だけしかいなくなるというのは少し寂しいな。


 しかし数少ない話せる、良い人だったのに嫌われてとても悲しい。


 そんな考えをしていたら死にたくなってきた。

 鞄からナイフを取り出し衝動的に切ろうとする。



「・・・・・・!!」

 しかしアリスによって止められてしまう。


 

「・・・・・・!!!!!!」

 言っておくけど恋愛感情のようなものじゃないからな。

 小動物のようなものだ。一緒にいるとなんやかんやで楽しい。


 机の上から移動し、俺の近くにいるアリスへと話しかける。

 昨日は流暢に喋っていたが今日はしゃべらない。

 元々からあまり喋るタイプの霊ではないが・・・・・・できたらもっと喋りたいな。

 

 アリスを見ていると生きる気力が湧いてくる。



「まあここで待っておいても仕方ない。謝りに行くか。」

 昨日怖がらせてしまったことを謝っておこう。

 つい沙良はアリスのことを見えると思い込んでしまい、確認を怠ってしまった僕が悪い。




「沙良なら3組だよ。行くなら早目に行った方がいいね。」

 オカルト部の顧問に沙良のクラスを聞いて1年の教室に向かう。


 しかし早目に行った方が良いとは一体なんだ?。

 いちいちキザでうざいあいつのことだ、何か企んでいるんじゃないか?。



 疑いつつも扉を開けて3組の教室へ入っていく。



「おいブス!何調子に乗ってんだよ!!」

 入ろうとしたが、扉を開けた瞬間にドテンプレのようないじめの場面を見てしまった。


 

「ア゛ァ?あんた何見てんだ?」

 いじめをしている張本人が僕に絡んできた。

 女性にしては結構高い身長に金髪に染めた髪をポニーテイルの形にしている。


 一般的に見れば整った顔を言える部類であり、肌も綺麗だが見るからに不良という見た目が残念だ。



「いや僕は別に気にしないからいいよ」

「それより沙良さんに話があるんだけど・・・・・・いないのかな?」

 周りを確認するもいないために質問をする。



「言っとくけどな!アタイの爺ちゃんは理事長なんだからな!」

「いじめのことを報告したからって簡単に握りつぶせるぞ!」

 言わないと言っているのに。全くなんだめんどくさい。

 話も通じなくめんどくさい。

 

 そもそもこのご時世SNSで流せばすぐに拡散されて、理事長が何だろうが隠蔽できないレベルになるだろ。

 まあいじめをしている時点でその程度の知能の女なんだなとは思うがな。



 そういうのよくないよ・・・・・・

 ああごめんごめん。気を付けるよ。


 僕はどうも性格が悪いようだ。

 なので出来るだけ治そうと努力はしているのだが……特に女性関係は厳しい。アリスに比べると皆愚かな人間だ。



「うん分かった。僕は退学が怖いから逆らわないよ」

「それで?沙良って言う女の子のことを知らない?」

 

「知らねーよ!」

 そう一括されてしまう。

 これ以上話かけて退学にされると厄介なため、仕方なくその辺の一年に聞くことにした。


 

 仕方ないので他のクラスメイトに聞こうとするも、いじめが続いているので見ているだけの生徒でも話しかけにくい。

 話しかけるタイミングを見極めるため聞き耳を立てることにする。



「おいおい。流石にやりすぎなんじゃないか?」

『愛華様がやってんだからいいだろ。』

【なんだお前あのブスに惚れてんのか?】

「んなわけないだろ。金を積まれても抱きたくないレベルじゃねぇか。」

『そうか?俺は金を貰えりゃ行けるけどなぁ。』

【そりゃ美的感覚が狂ってんだよ。俺は見てるだけでも吐き気がするぞ。】

 

 聞いてるだけで気分の悪くなるようなことを言っている。

 見た目悪いというだけで人間はここまで外道なことを言えるのか。


 とはいえ知らん女を助ける意味も無いので、ここはそんな話をしている地味な男たちに話しかけることとする。


「すまない。沙良ってどこにいるか知っているか?」

「このクラスにいると聞いたんだが。」


「沙良?ああ。如月沙良のことか。」

「あいつなら2組だぞ。」

 俺のことを騙して恥をかかせようとしたのか。

 後で顧問には何か嫌がらせをしておこう。



「ああありがとう。助かったよ。」

 仕方ないので気を取り直して2組に行く・・・・・・と思考を切り変えようとするが、どうもこのクラスに違和感を感じる。



 いじめられている女が不自然だ。

 他の男たちの会話も盗み聞きしたが、周りはいじめられている女が本当にブサイクと思っているようだ。


 というのも、不良のご機嫌取りにしては過剰過ぎるほどに罵倒されるにしては見た目が良すぎる。

 やや地味目ではあるが、一般的に言えば美人と言えるレベルだろう。


 もちろん女同士のいじめに置けるブスとは事実ではなく、ただの罵倒ということが多いだろう。

 しかし男が口を揃えてブサイクと言って罵倒している。

 しかも恐怖により出された言葉ではなく、心の底から言っているようだ。



 当たり前のことだが、人間というのは見た目によって全て決まるというわけでは無い。

 しかし現状はどう考えてもおかしいだろう。そこまで嫌われる何かをしたのか? 



 まあ別にいいや。

 美人だろうとアリスより可愛いわけじゃないし、ここで助けるメリットは皆無だからな。


 退学になって行き当たりばったりの人生を送るのも楽しそうではあるが、親が悲しむだろうから無しだ。


 可哀相ではあるが仕方ない。

 そう自分に言い聞かせる言い訳をして教室から出ようとする。



「秋ーーー!!!!!」

 出ようとした所で教室に入ってきた男とぶつかった。

 正確にはぶつかる直前、アリスが男を投げ飛ばた。


 それだけなら良かった(良くはない)が、問題はその男に向かってさっきの不良女が駆け寄ったことだ。



(まさる)!!!!大丈夫!!!??」



 これは中々にめんどくさいことになる予感がしてきた。





ここまで読んでくださりありがとうございます!

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