Lustful Politician
キャシィとフレイラが血塗れの『事務所』で居眠りしそうになりながら待っていると、ローレントが帰ってきた
「目覚ましに一発デカいのをお見舞いしようか?」
と、物騒なセリフを言いながら
「……おう、その必要はねーよ
で、交渉は成功したか?」
キャシィが問いかける
「成功しなきゃここにはいない
しかし実に胸糞の悪い仕事だったよ
愛愛アイアイうるさくってねぇ、おサルの歌でも聴いてる気分だったよ
気が狂う寸前さ」
「気が狂ったらどうなってた?」
キャシィのふざけた質問にローレントは
「死人が出てたよ
そして明日の朝には大戦争ってね」
と、おどけてみせる
「ハハハ、狂わなくて正解だったな」
「……さて、そろそろ『仕上げ』だな
ついてくるかどうかはお前たちに任せる」
「……仕上げ?」
「ヤツめ、人身売買の黒幕の名前をあっさり吐きやがった
ジョンズ・デーリッツ……元愛国革新党員だ
国家規模の革命を掲げながら裏ではローグからガキを飼いまくっていた
まあ要するに政治屋にすら劣る変態だ」
ローレントはそう言ってジョンズの写真をキャシィに渡す
キャシィはその胡散臭い老人の写真を見て、機嫌悪そうに吐き捨てる
「そんなヤツが高級ソファに座る価値はねーな
電気椅子に座らせてやんなきゃ駄目だ
100万ボルトも喰らわせてやりゃあソイツの脳ミソに革命が起きるぜ」
「ああ、全くもってその通りだよ
コイツはジル・ド・レも真っ青の畜生さ
愛なんて押し付けに過ぎない
そのことに気づけないヤツが『善意の悪魔』になるってことだ」
「今何て言った?」
「『善意の悪魔』って」
「違う、その前だよ」
「ジル・ド・レも真っ青の畜生さ……って」
「『青髭』だけに、か?」
「……キャシィ、お前は喜劇だけはやらない方がいい
客の顰蹙を買いたくないならな……」
ローレントはキャシィのギャグに気づいて冷たい反応を返した
しかしフレイラはギャグが分からず、終始眠そうな顔をしていた
「フレイラ、お前って鈍いよな……
殺人鬼サマがギャグやってんのに……カワイソーなヤツだ」
「……ギャグ?」
「嬢ちゃん、キャシィはお前にとっての反面教師みたいだな」




