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空を知る賢者

「不味ったな、かなり時間を浪費した

あんなシスターに手こずるとは予想外も良いところだぜ」


シスターの死によって正気を取り戻したキャシィたちの一行は再び移動を始める


車は、何故か先程より少しだけ走り心地が悪くなっている


「はは、何かお前……それ平気なのかよ?」


バックミラー越しに見えるフレイラの様子を、キャシィが案じる


「私なんか死ぬ寸前だったわ

それなのに抵抗も出来ないし……気持ち悪い……」


首を押さえるフレイラ


あの感覚はどうにも忘れられないらしい


「ヨダレ垂らしてみっともなかったな」


「返す言葉がないわ、でも死んでたらその憎まれ口すら聞けなかったのね」


生きているからこそキャシィは自分に対して暴言を吐いてくれる


それはつまり、死んでしまえば彼女の興味は一切なくなってしまうということ


フレイラはキャシィに対する特別な感情を肯定する他なかった


「とにかくもうアタシら三人を邪魔するボケはいなくなった

神父を見つけ出してブッ殺すぜ!」


「ええ、そうね」


フレイラが笑って横を見ると、ソーニャと目が合い


「……頑張ろうね」


「ウー……?」


曖昧な誓いを交わした




・・・




「『罪』ッ───溢れるほどに……私を埋め尽くすほどに……

ようやくこの大いなる物語の終幕を……私が!!」


大地が浮き上がり、大気が震える


神父の能力はついに完成していた


世界の全てを自由自在に操る能力


まさに禁忌を越えた先にある『罪』の鍵


吸血鬼となり、絶大なる力とそれに伴う虚無を得た神父は考えた


もしもこのまま罪を重ね続けることが出来たなら───


人の欲望は際限なく


神の制裁もまた無限に終わらない


永遠に犯し、永遠に罰せられる


そうすれば───


神の罰は哀れなる彼に力を与えるだろう


背くことでしか信仰を確かめられない神父は


その方法で神との邂逅を願ったのである

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