God Bless You 神は生ける者の為に
「赤旗の者たちは世界の平等を訴えた……
それは理想的だが、叶う筈もない……所詮は理想にすぎなかった
富める者は貧しき者を迫害し、屈服させ、幸福を貪る……
貧しき者は鎖に繋がれ、搾取され、不幸を与えられる
そして人々は問う……
神は本当に存在するのだろうか、と
彼らは哀れなことに、神に救いを求めている……
ルナ……私の愛しいルナよ……
キャシィは必ず来る……その時を待つのだ……」
神父はメイドの頬を優しく撫でる
「私に触れられるのは御主人様ただ一人だけです
私の愛しい御主人様……ただ一人だけです……」
「……あの日、お前は永遠に癒えぬ傷を負った……
あの時、私は永遠に消えぬ罪を負った……
私もお前も同じだ……共に成し遂げよう……
人は神をその目に焼きつけ……真の愛を知るのだ……」
・・・
「……はぁ、クソ……何も楽にならねー……」
ソーニャとの戦闘で負傷したキャシィだが、その応急措置はあまりにも粗雑なものだった
銃弾を取り除いて消毒して包帯でグルグル巻き
……それだけだ
「まあまあ、イライラしてると傷口に響くよ
……あ、ソーニャが撫でてくれてる」
「イデデデデデデデデ撫でるって強さじゃねーよこれイデデデデ
てめ───ッ、やめ……だァァァァ!?」
「フフ、楽しそうで何よりだ
お前が救ったんだからお前が面倒を見ないとな」
ローレントが他人事のように言う
いや、まあ、実際他人事か
「……あのなァ……!
って、アタシの手で遊ぶんじゃねーッつーの!!」
「……ああ、そうだわ……忘れてたわね
キャシィ……私の問題は解決したけど……
そうよね、キャシィに協力するって話だったんだよね……
で、何を協力してほしいの?」
フレイラの問いに、キャシィの顔が急に強張る
それを見たソーニャも、何かを感じたのかイタズラを止めた
「……アタシは殺人鬼だが……そんな理屈抜きで……どうしても殺しておきてーヤツがいる」
「……誰?」
「神父だ」