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Sonya ③

「負け戦……こんなことで死ぬなんて……アホらしくてやってらんねーよ……

なぁ、ソーニャ……お前に……足りねーモンを……教えてやるよ……

ソイツは過去のアタシにも足りてなかったやつさ……」


キャシィはゆっくりとソーニャに向かって歩きだす


ソーニャはその言葉を理解することが出来ず、攻撃を再開する


「ぐッ、おおおッ───!

あ、穴だらけになっちまうぜ……

通気性は……良くなるかもだがなッ!!」


体に傷を負いながらもキャシィは進み続け、


「……お前にくれてやる」


何と


あろうことか


あろうことか、ソーニャに抱きついた


「……何……その行動は理解不能……だよ、キャシィ……」


「キャシィ……お前ッ……ふざけるな

ガキ……だからといってッ

な……情けでも……かけているのか……!?

武装して戦場に立っていれば……ソイツは兵士だ

お前は戦場にいて……今まさに自分を殺そうとしている兵士を……

子供だからと言って見逃すのか……!?」


「……マフィアのアマが……知ったようなこと言ってんじゃねーよ……

フレイラ……アタシらに足りなかったもの……お前も解らねーってのか?

地べたを這いずる……ネズミは……一生そのままだ……

アタシらとコイツは仲間だ……同じネズミなんだ……

この心の中の……言葉にするのも難しいような……理不尽を……

それをどうにかする方法……アタシはこれしか知らねーんだ……

コイツが何万人殺そうが……地球を滅ぼそうが……関係ねーんだよ……

アタシは……殺人鬼だからな……クソみてーな道徳なんざ……マリアナ海溝に捨てたさ」


「正気じゃないわ……ああ、狂ったのね……」


「こうやって抱きついてやりゃあ……良かったんだ、初めから

ソーニャ……人間みてーに笑いやがって……

こっちは傷だらけで……笑えねーってのに……」


ソーニャは明らかに安らいでいた


彼女にはその理屈は分からないが、とにかく安らいでいた


心の穴を塞いでくれるような心地好い感覚


「ア……ァァァァ……」


まるで仔猫のように甘い声をあげるソーニャ


いつの間にか彼女の腕は武器化を解除していた


そしてその体は小刻みに震えていた


「……あー、ホント……柄でもねーこと……やっちまったよ……

お前らなんかと……出会わなきゃ良かったぜ……傷とか痛ェし……」


愚痴を溢しながらも、キャシィはソーニャから離れない


「……そうか……頑なに……語りたがらなかったのは……そういうことか

お前も……フレイラやソーニャと同じ……だったのか、なるほどな……

実に不本意だが、もう何も言うまい……だが手当てが必要だ」


ローレントが立ち上がろうとする


それと同時に


キャシィは膝から崩れ落ち、地面に倒れた

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