Light & Dark
暗闇の中、眠れないフレイラはキャシィに話しかける
ローレントは隣の部屋だ
タバコでも吸っている頃だろう
「ねえ、キャシィ」
「何だよ」
「あっ、反応してくれた」
「……眠れねーから仕方なく、だ
さもなきゃ反応しねーよ」
「……やっぱり、こういう宿は慣れない?」
「ああ、死体の傍で寝てるようなヤツがこんなお上品な宿に泊まってんだからな
だが名前のことはいくら粘っても教えてやんねー」
「……そうだよね、私だってあの話をしたことを後悔してるもの」
「ましてやアタシなんて殺人鬼だぜ
オメーらが感動するような話なんてありゃしない
悪人には悪人相応の過去しかねーってことだ」
「……でも、ローレントの言葉で救われたかな……私の人生……」
「一言で変わるような人生なんて軽いもんだ」
「ま、そうかもね……でもそこは良いでしょ」
・・・
一方、ローレントは───
「ジョンズの邸宅から例のブツが消えた、か……
まずいな、あの変態……死を悟ってとんでもない悪魔を解放したらしい
殺しても死なないというわけか……どうしようもないクズ野郎だ
……ああ、警戒を怠るな
遭遇したら即事退散しろ、ローレントファミリーの名にかけて無駄死にだけはするな」
電話の相手はローレントが最も信頼する忠臣・ゴードン
ローレントファミリーによる調査の結果、ジョンズの邸宅に封印されていたはずの『ソーニャ』が消失しているという
『ソーニャ』の脅威については、ローグもローレントファミリーもよく理解していた
だからこそ、である
「……全く……最近の戦争屋はガキに銃を握らせる趣味があるらしいな」
ローレントは溜め息を吐く
一難去ってまた一難
しかも、今度の一難は特に一筋縄ではいかない
……そのことに対する溜め息
闇の住民は常に自由だ
そして、それに憧れ陽の光の世界からやって来る者は多い
───それこそフレイラのように───
しかし、この世界の最大の悩みは……
「安眠できないな……人相も悪くなるわけだ」