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枕の下に 希望の上に(11)

赤い朝には白い夕方

擦り焦げたゴムの臭い

アスファルトには

黒いラインが

炎天下の中

張り付くように引かれていた

辺り一面

反射する物だった欠片

鉄バットで

好きなだけ殴られたような

シルバーの車が

国道の腋で横転していた



救急車のパトライト

赤色を交互に廻して

音を鳴らした後

猛スピードで走り出す

走行中の車は

路肩に寄せて

その走行を応援している

狭い道では

殆んど真ん中を走り

赤信号を

白い身体で

斬り伏せていた

まかり通すように



街並み突っ切る

ドップラー効果を

通りの人間は片目で見て

日常に戻る

白と赤は

ドクターヘリが待つ

学校のグラウンドへ向かい

そこでバトンを渡す

飛び立つヘリの音を

公園の子供達が

指をさして喜んだ

空を流れる白と

砂場に置いたスコップの赤



平面に流れ込んだ

イヤフォンの音楽は

立体化して映像化する

お気に入りの曲は

いつも何かの形になった

それはフレーズでありながら

フレームで

それぞれの楽器でありながら

登場人物だ

創造された物を

拡張するのは

受け取り手の楽しみだ

だが

何処と無く使命感がある

命が命を授かった時と

同じように感じるからだろう



最初は鼻唄混じりに

サビを口ずさんで

最後にメロを覚えようとする

好きなんだという物を

好きなんだと思う為の洗脳なのか

それとも

感じたからこその共鳴と共振か

考えようとしながら

考えることはしない

失礼に当たるような気がして

楽しめよと言われた物を

楽しむよと返す形だ

きっと

これを除外せずに

もう一本ルートを作れたら

作り手になれるのだろう



午後の烏が鳴いたら

ふと

朝の光景を思い出した

その後どうなったかは

当事者以外は知らない

何かが漏れ出ていた事は

覚えている

あのような作り方をしてみるか

考えが浮かんだが

綺麗さは無いだろうと感じた

ある時に突然であるから

儚さと美しさは生まれる

気が付くこともあるだろう

気が付いたら

形になっている物でもある

窓際の写真立てを見た

その腋に

下手くそな折り鶴の赤



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