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無能な僕の神法擬録  作者: カランコロン
6/10

これから

朝が寒い

あの後、僕のスキル無能には誰も何も言わず粛々とクラスメイトのスキルは確認し終わった。


勿論、基本的に皆スキル数は4を超えていたし無能なんて無かった。


だからか、クラスメイトの大半は兵士が向けてきた視線と同じような視線で僕を見ている。


今は手に入れた大部屋(会議室らしい、先生が無理矢理確保していた)でクラスメイト全員が集まっている。


中心にいるのは先生に佐々目くん、そして春風さん。その三人の向かいにいる僕。その四人だ。


「一応確認するぞ?本当にスキルは2つで無能なんて有ったのか?」


先生がタバコをふかしながら聞いてくるがいつもの様な尊大な態度ではなく心配しているのが分かる感じだ。それは他の二人も同じで少なくとも三人は心配してくれている。それは今の僕には有難い。


「えっと、はい。スキルは2つで片方は料理関係でもう1つは無能って出てます。」


もう一度カードを取り出し「オープン。」と唱えて先生に渡す。受け取った先生は目を通すとそっと目を閉じた。


「兵士から聞いた話ではオープンの後に自分のスキルに知りたいと願うと効果が分かるらしい。試したが確かに分かった。」


先生の話では鞭使いは鞭を使った行動に補正がかかり、威力も上がるとの事。高速暗算は8桁までの掛け算がスラスラ答えられたらしい。


試しに何人か試しているのが分かるが僕はそれどころではない。


口に溜まった唾を飲み込み料理人の方を意識する。すると頭の中に効果が理解できた。


効果は、ありとあらゆるスキルの影響を受けずに料理が作れるらしい。微妙過ぎる。


だが今はそれはどうでも良い。大本命、無能を意識する。願わくば想像と違うのでと願うがすぐに落胆した。


その様子から先生は「…やはりか?」と聞いてきたので頷く。


無能のスキルの効果は自分の起こす行動全てにマイナスの補正を受け失敗ばかりするらしい。


確かに、無能だ。


他のクラスメイトが自身のスキルに夢中の中、自身のスキルより僕を心配してくれる三人の視線がきつい。


ため息が溢れるがしょうがない。これからどうするか考えていたらクラス1の問題児、金切くんがケタケタと笑い出す。


「おいおい、無能とか抱えてどうするんですかぁ?俺たちはこれからいろいろする事があるのに無能くんが一緒じゃ出来ることも出来なくなっちまうよぉ?」


楽しそうに言う金切くん。確かに彼の言う通り、僕達にはやらなきゃいけない事がある。


僕達が呼ばれた理由、スキルの確認が終わった後に王様が直々に話した事は世界の滅亡、ではなく単純にエネルギー問題だった。


この国だけでなく、殆どの国で魔力が尽きかけているらしい。魔力が無ければ魔術は使えないしスキルの恩恵も薄れ、国どころか暮らしすら保てなくなるとの事。それを防ぐ為に魔物や魔人なんかを倒し、その身体の中にある魔結晶を持ち帰る事で魔力を充填しているとの事。そして、今のこの国では弱い魔物などは倒せても大型の魔物や魔人なんかは仮に倒せても熟練の兵士が4桁はいなくなる。それでは次が保たないから勇者や英雄と言った単身で大型魔物や魔人なんかを倒せる者を呼んだとの事で、まぁ最低だ。


更に、帰るための魔力は既に無くて、帰りたければ魔物を狩らなきゃ駄目らしい。本当に最低だ。


当然クラスの殆どが荒れたが先生や春風さん、佐々目くん等の尽力に尽き、何とか収まった。


そして、今の僕達の目標はやっぱり帰る事だから、明日訓練してみて良さそうなら明後日には近場のダンジョン《ウルールクダンジョン》に行く予定になっている。地理が分からないから兵士の案内だけど…


まぁそんな訳で、明日や明後日にはもしかしたら死ぬかも知れない場所に行くのだ。無能なんてある僕は困るのだろう。


だから、どれだけイラつく言い方でも納得して飲み込まなきゃいけない。


金切くんのケタケタとした笑い方に皆んなが顔をしかめるけど殆どは特に何も言おうとはしない。実際足手纏いになると思われているのだろう。


そんな中、佐々目くんや春風さんは何かを言おうとしたが先に僕が立ち上がる。


「あはは、確かに…僕は僕で色々してみるよ。先生、今日は疲れたので先に寝ます。」


その場で頭を下げて部屋を出て行く。後ろから逃げんのかよと金切くんが言っているがどうでも良かった。


元々、向こうもこっちも未練なんて無いのだから…



スキルの簡単な説明


剣士


剣などの武器を持った際に起こす行動に補正を受ける。あとソードウェイブ等の技が放てる。魔力の薄い場所だと放てない。


剣聖


剣などの武器を持った際に補正を受ける。補正は重複する。ソードウェイブ以外にも多様な技が使える。


剣豪


剣を持った行動に補正を受ける。補正は重複する。ソードウェイブ等の技が無いが最も強い補正を持ち、常に身体強化が掛かる。


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