皆のスキルと無能な僕
この程度を描き切る?までに1週間近く…
勇者のスキル、聖剣召喚。少女の言った通りアレが聖剣なんだろう。
見る者の心に安らぎを与えるような淡い光を放つ純欄な装飾の施された剣はアニメや漫画に出てきそうな程に聖剣に相応しい見た目だ。
だが、今はそれが問題になる。
「…俺のせいでみんなを巻き込んだのか?」
爽やかなイケメンな佐々目くんはその見た目通り正義感に熱い男だ。困っている人がいれば助けるし捨てられた動物も飼い主が見つかるまで探す人だ。
そんな彼が自分のせいでみんなを巻き込んだなんて思ったら後悔しか生まない。
「いえ、確かに勇者様となられた貴方様は理由の一つです。ですが、他の皆さんにも強い力があり、私達はそれらを基準に選んでいます。」
だけど少女の口から出たのは否定。佐々目くん一人ではなく皆が責任だと言う。
それを聞いた佐々目くんは納得していないが周りの女子や男子が慰めていた。佐々目くんの人徳の為せる技だろう。
ちなみに僕はまぁしょうがないかと納得していた。
➖➖➖
場所は変わり岩の間(正式には召喚の間らしい)を出てから案内された訓練場。
僕達を取り囲む無数の兵士と奥の方にいる目立つ王冠被ってる王様らしき人。その隣にいるのは先程の少女と女性が二人、あとブサメン一人。
女性二人は身長的には同じ背丈に見えるしお互いが似過ぎてる。絶対双子だ。ただとある部分に差が大きく片方はメロンで片方は崖だ。顔立ちは少女に似ているので多分姉妹。
で、ブサメンは髪色やまつ毛の感じが姉妹に似ているから多分兄妹。なんだけど、何故こうなったと言いたいぐらい脂ギッシュな体型と顔だ。そんな奴が舌なめずりしながらクラスの女子達を見ている。何人か寒気を感じているみたいだ。
「それではお前達の力を調べたい。」
王様達を見ていた僕らの後ろから声が掛けられたので振り向いた。そこには顔に大きい斜め十字の傷跡のある老齢な兵士、とゆうか将軍らしき人がいた。
「お前達にはこのステータスカードを渡す。このカードを持ってオープンと唱えるとスキルとその用途が分かる。では各自始めてくれ。」
将軍の人が言い終わると同時に兵士の何人かがクラスメイト全員にステータスカードを配っていった。
「ふむ、原理は分からんが取り敢えず…〔オープン〕」
渡されると皆んなが戸惑っている中、先生はさほど気にもせずにあっさり唱える。
一瞬カッと光るとカードを眺めていた先生が「おぉ。」と驚いていた。そしてすぐさま近くの兵士が近寄り「確認させて下さい。」と言い先生もカードを渡す。
「…高速暗算、薬物無効、鞭使い、火魔術、水魔術、雷魔術、の七つです。」
騒然となる場、とゆうか兵士と王様達。口々にバカなとか七つも?とか言っているが大半のクラスメイトはどうして驚いているのか分からない。
まぁ多分相当多いのだろう。スキルの数。
「ふむ、素晴らしい。勇者と共に呼ばれし英雄も相当な強さのようだ。」
先程まで口を開かなかった王様が低く荘厳な声で語りかけてくる。それだけでクラスメイトの大半は萎縮するがそこから王様は話しかけてこなくなった。
最初は怪しんだりして誰もしなかったカードのオープン。だけど先生自ら行ったことに皆の警戒が少し緩んだのかポツポツと唱える人が出てきた。
それを確認していく兵士、その声から最低でも四つとゆう彼等からしたらだいぶ多い最低に兵士達のざわざわとした雰囲気は少しずつ高まっていた。
そして、佐々目くんの出番でとんでも無い事が起きた。
「…さ、さすが勇者様。…薬物無効、自己治癒、聖剣召喚、勇者の資格、剣聖、孤軍奮闘、全体指揮、聖魔術、光魔術、火魔術、水魔術、神に愛された者の13です。」
これには兵士どころかクラスメイトの全員が湧いた。それまでの一番多かったのは先生の、七つなのに佐々目くんは二倍近くの13。佐々目くんの周りに人が集まりやいのやいのと盛り上がる。
「こ、こちらも13です!剣聖、剣豪、身体強化、孤軍奮闘、獅子奮迅、背水の陣、アイテムボックス、火魔術、水魔術、雷魔術、精霊魔術、精霊の申し子、精霊剣士⁉︎」
その声に全員が振り向いた。皆の視線の先には春風さんがいて、どうしようみたいな顔で立っている。
またまた湧くクラスメイト。佐々目くんも自分と同じスキル数の人がいて嬉しいのか春風さんに話しかけていた。
ただ、何故か春風さんはチラチラと僕の方を見ている。一応周りに人がいないか確認するが基本的にあの二人の周囲に集まっているのでやっぱり誰もいない。
不思議に思いながらも僕もカードにオープンと唱えた。
「……あれ?」
そこに浮かび上がったスキルの数は今までの人より少なく、そして意味が分かりたくないスキル名があった。
僕がそれに困惑している間に兵士がやって来て半ば引っ手繰るようにカードを奪われる。周りのクラスメイトとの扱いの差にイラっときたが今わそんな場合じゃない。
止めるよりも早く、兵士は言ってしまう。
「…スキル数二つ、影響受けぬ料理人、無能の二つです。」
ちらりと、兵士が僕を見る…
その視線は確実に、侮蔑が込められていた。
乗り物酔いしやすい自分