勇者とスキル
サァ投稿だ
勇者様方、確かに彼女は先程からそう言っている。それはつまり、僕達の中の誰かが勇者で他の人達は巻き込まれたのだろう。
最近の携帯小説なんかでは比較的にメジャーだけど巻き込まれた方は堪ったもんじゃない。
これは勇者様がクラスメイトから吊るし上げを喰らいかねない。そんな案件だ。
だからなのか、皆が皆しんっと静かになった。
ゆっくりと少女は腕を伸ばし、指を一人のクラスメイトに向けた。
「貴方が、勇者様です。」
「…俺が?」
そう返事をしたのは佐々目君で、何となくやっぱりと僕は思った。
皆の視線が佐々目くんに向かう。女子の大半は凄いと目を潤ませ、男子の大半は何で俺じゃないんだと言わんばかりの目付き、流石に佐々目くんもちょっとタジってた。
その視線に耐えられなかったのか佐々目くんは「な、何で俺だって分かるんだ?他の奴かもしれないじゃないか!」と言いながら僕を指差す。……何で僕?
「……勇者様には専用のスキルが複数存在します。中でも有名なのは聖剣の召喚。〔我が手に寄りて来たれ聖剣〕と唱えてみて下さい。」
そう言われて、僕ら全員は唱えてみた。
「「「〔我が手に寄りて来たれ聖剣〕」」」
皆が唱える中一人だけ、佐々目くんだけは唱えた声が何かこう、世界に響くような、そんな風に聞こえた。
そして佐々目くんの右手だけに何処からとも無く光が集まり、弾けて、剣が握られていた。
「それが、それこそが勇者様のスキル、聖剣召喚です。」
少女はその光景を無機質なまま見つめ、そう言った。
銀杏って中身緑だっけ?茶碗蒸しの銀杏って緑じゃなかった気がする。