あとがき 及びおまけのキャラ設定集
今回はあとがきを兼ねて、作品やキャラクターの裏話を紹介したいと思います。
作者は今作のプロットを考えているとき、この作品をもっと読者に媚びた内容というか、最近流行りの俺Tuee小説にするつもりでした。
しかし連載を始めてすぐにその手の有名作品がどんどんアニメ化され、そういうのはあまり読まない自分も目にする機会があったのですが……。
言っちゃ悪いんですが、それらを見てたらなんだかだんだん腹が立ってきましてね。
どこまで男というものを馬鹿にして、どこまで男というものを貶めるのかと。
作中のシャーロットじゃありませんが、男は女より下ということにしたい女性、今の男は情けないってことにしたい女性が書いたんじゃないかと思ったぐらいです。
そりゃ最近は「そういった作品でないと受け入れられない」という人も増えてるのかもしれませんが、世の中には至れり尽くせりのチート能力を与えられ、周りから接待してもらわないと異世界で生きていけないようなタマ無し野郎ばかりだと思ってるのかと。
前にもあとがきで書きましたけど、こちとら本気で異世界に行けたときのために体を鍛え、武術の技を学んでたんだぞと。
そういった作品に対する反骨精神が色々と暴走した結果、この作品はこんな内容になってしまったわけです。
ラストバトルで主人公が魔王に言った「男を嘗めんな!」という台詞、あれなんかまさにその表れですね。
ちなみにこれも最近流行の言葉ですが、私は個人的に『舐めプ』という言葉が嫌いです。
というよりも、多くの人が『舐めプ』という言葉とちょっと勘違いしている気がするんですよ。
仮に自分の力や技に制限をかけ、相手の土俵で戦ったとしても、それが「こいつの自慢の技を破らないと、本当に勝ったとはいえない」みたいなこだわりや相手への敬意からくるものであれば、それはむしろ男らしいフェアプレーというべきではないでしょうか?(世界の命運がかかっているなどの状況であれば話は別ですが)
逆に身も蓋もないような手段や明らかにオーバーキルな力を用い、敵に何もさせずに完封したとしても、それが相手の尊厳や積み上げてきたものを踏みにじり、自分を大きく見せるための噛ませ犬にするようなものであれば、私にはそれこそが『相手を舐めた戦い方』だと思えます。
そういう信念もあり、私は今作の主人公には極力そういった『舐めプ』をさせないようにしました。(完全に酔っ払い相手のお遊びだったヴェナルド戦を除いて)
戦いにおいて使った技の全てに必然性があるとまでは言いませんが、『なぜこの場でこの技を使うのか』ということや、もしくは『どうしてここで以前使ったあの技を使わないのか』といったことに対してなるべく理由付けができるようにしています。
たとえばエドワードに少し恥ずかしい負け方をさせてしまった御前試合の初戦にしても、あれは自分が助かることを優先して全力を尽くした結果であって、主人公である燈真に対戦相手を貶めようなどという意図は皆無です。
むしろ第2戦で自分が卑怯者と呼ばれそうな手口を使うことで相手側の面子を立て、見物していた貴族たちが「あんな下品な野蛮人が相手なら不覚を取ってもしょうがない、もしくは反則みたいなもんだからノーカン扱いしていい」と思ってくれるようにフォローを入れました。
まあ長々と書き連ねましたが、そんな主義主張をふんだんに盛り込んだ結果がこの作品のポイント数やPV数に表れているわけで……我ながら馬鹿なことをしたもんだと思います。
ですが、この作品をブクマも消さずに最後まで読んでくださった人は確かにいるんですよね。この連載を通じ、何よりそのことに一番感動しました。
私はその方々に感謝だけでなく、最大級の賛辞を送りたいと思います。
あなたたちのような人がわずかでもこの世にいてくれる限り、男の誇り、男の尊厳というものは地に堕ちたりはしない――と。
ここからは前作でもやったおまけのキャラ設定や裏話などを載せたいと思います。まずは主人公から――
○神代 燈真 16歳(初登場時)
本作の主人公。
父親に幼い頃からあらゆる格闘技を仕込まれているが、才能自体は並より少し下といったところ。
天性の勘でコツを掴むことができないため、理論から入ることで技を修得してきた。それゆえいい師匠にめぐり会うとグンと実力が伸びるのだが、自分も選手として戦うより人に教えるほうが得意。
性格はかなり暑苦しく、男らしさというものに自分なりのこだわりがある。
実はかなりのボケたがりで、事あるごとに自分の好きな漫画のネタや名シーンを再現しようとする。
○成島 亮 16歳
主人公燈真の親友であり、彼が旅に出るための動機付けとして生み出されたキャラ。名前は昔活躍した空手の有名選手をもじって付けたもの。
性格はどちらかというと控えめで、中学時代にイジメを受けていたという過去を持つ。そのために少々正義感が歪み、悪人を皆殺しにすれば世界は平和になるという思想に囚われてしまった。
当初のプロットでは、彼はトライアンフ軍から逃げる最中に燈真を庇って死ぬ予定だった。(その後ティナが気落ちした燈真を励まして立ち直らせ、彼女の正ヒロインポジションが確定するという構想だった)
ただ、これだと燈真が結局ヒロインに甘える軟弱者になってしまうのと、鬱展開が苦手な読者のことも考えて生存ルートに変更。その結果、異世界人には通じない燈真のボケを拾うツッコミ役として活躍してくれたので正解だったように思う。
○ティナ・ヴォクスター 17歳
本作の正ヒロイン。
性格を控えめに設定しすぎたせいでいまいち目立たなくなってしまったが、本来なら主人公である燈真がどうにもできない人数や強大すぎる魔物が現れたとき、そいつらを魔法というチートスキルで倒すためのキャラでもある。
ただし前面に出しすぎると「もう、全部あいつでいいんじゃないかな」となるため、大規模攻撃には呪文の詠唱に時間がかかり、その間彼女は無防備になるという弱点を付与することで無敵キャラにならないよう調整を図った。
普段は穏やかで優しい女の子だが、燈真が他の女の子とイチャコラしたときにはそれなりに(笑顔のまま静かに)嫉妬する。スケベ行為に対してもラッキーによるものならば怒らないが、確固たる意思に基づいて行なわれたものについてはNG。
ヒロイン争いで彼女が燈真に選ばれたのは、ボツになった亮の死亡~燈真復活エピソードの名残でもある。
しかしそのエピソードをボツにした結果、彼女を『ただ主人公を甘やかすことで好きになってもらう女』ではなく、最後は『燈真にとって自分が本当に見て(評価して)欲しい部分を好きになってくれた女性』にすることができた。
○アル(アルセリア)・スティングレー 13歳
格闘(修行)シーンを増やすため、燈真の弟子&パーティのマスコット的な存在として登場。
ただしそちらの部分ばかりを強調しすぎたため、鍛えられたにもかかわらず戦闘ではあまり役立つシーンがないという矛盾が生まれてしまった。(後述のアンディに使った修行エピソードも本来は彼女のために用意されたものだった)
作者の中では男の娘にするか女の子にするか、さらに性別を作中で明かすかどうかを最後まで悩んだキャラでもある。ただ勇者ガルシアの疑心暗鬼を解く鍵としてちょうどいいと思ったため、結局女の子ということで確定。
彼女の燈真に対する感情は恋愛というよりも尊敬に近く、そもそも燈真のほうが彼女のことをすっかり“弟”と認識しているので、かなり可愛いにも関わらずヒロイン争いには加われなかった。
ラストバトル後は父親と同居。ただし冒険が忘れられず、ちょくちょく家出するお転婆娘になってしまったという設定もある。
○フリージア・テスタロッサ 20歳
異世界で旅をするなら、実際には旅にも戦闘にも慣れた先輩が必要なはず――という作者の考えから生まれたお姉さん。ゆえにヒロイン争いに加わる予定は最初から皆無。
酒乱で怪力というと最近よく見る酒天童子の女体化キャラみたいだが、彼女自身はあくまでただの人間であり、特にオーガや吸血鬼とのハーフといった設定もない。馬鹿力に関しては単なる才能というか、なんらかの理由で筋肉の制御リミッターが外れているだけである。
実は冒険者の中ではかなり強いほうで、作中で描かれた大陸内でなら上位10人に入るほどの腕前。
ラストバトルの後は再びギルドの受付嬢に戻ったが、心配していたとおり魔物討伐などの仕事が減って暇になったため、バイト感覚で剣術道場の指導員などをやり始めた模様。
○シャーロット・アルファード 16歳
最初は主人公の旅を邪魔するライバルキャラとして登場。
男が女より上とされる世の中が許せないフェミニスト。
サーベルを使った剣術を身につけているだけでなく、それに蹴り技をミックスした戦闘スタイルを自ら編み出してしまうほどのお転婆娘。ただし作中の世界は元々あまり格闘技が発達していなかったため、足技は単純な前蹴りのみである。
作者自身も動かすのが楽しすぎて燈真と絡ませまくった結果、一番キャラが立っていたようにも思える。
燈真に対しては『自分の主義に反する男の代表みたいなやつ』として最初は毛嫌いしていたものの、弟のアンディが救われたことをきっかけに徐々に心を開くようになる。
最終的には燈真のことを本気で好きになっていたはずなのだが、それと相反する感情も消えたわけではなく、自分でもよく分からない気持ちのまま半ばヤンデレ気味な行動しかとれなくなっていた。
燈真自身はシャーロットやシルヴィのように強い女性が好き(ティナに対しても心の強い女の子だと思っている)なので、彼女がもう少しだけ素直になれていればヒロインに選ばれる可能性もあったのだが……。
○シルヴィ(シルヴェット) 15歳
作者が執筆中に見ていたアニメのキャラがどストライクだったため、後で援軍に来てくれる存在として獣人たちを登場させたついでについ生み出してしまったキャラ。特に反省はしていない。
彼女が本気で攻撃すれば人間の顔面をザクロのように抉ることができる。つまりはヒグマなみに強い。(燈真に敗れたのはルールのある試合だったからであり、殺し合いになれば彼女が圧勝する)
そのため燈真の遺伝子に固執する必要性はまるでないのだが、ラストバトル後も彼女は燈真を追い続けている。
それは彼女自身も気付いていない純粋な恋愛感情によるものであり、エロスよりもそちらを前面に出していけば燈真に選ばれた可能性もあった。しかし彼女自身が生殖本能と恋愛感情をいまいち区別できない野生児&お子様だったため、ヒロイン争いに敗北。
料理ができないことを除けばいいお嫁さんにはなれそうなのだが、母親になるのはまだ精神年齢的に10年早い。
○リーリア ?歳
元々は異世界の案内役+マスコットとして登場させたのだが、後発の人間キャラたちがそれらの役割を分担してしまったためにいまいち目立たないキャラに。
せめてダンジョンや森の中といったRPGっぽい場所を冒険するエピソードでもあれば、もっと本格的に活躍させられたかもしれないと反省。
ただしおしゃべりという点では亮に次いで燈真と絡みやすく、作中で描写されていない部分では結構仲がいいという設定もある。(図書館回でその片鱗が窺える)
○メリッサ・アイシス 19歳
亮が異世界で生活できるよう導いてきた案内役であると同時に、彼が異世界に残りたがる理由の1つとして生み出されたキャラ。
同じ魔女としてティナと差別化を図るため、ちょっと年上の落ち着いたお姉さんにしてみた。
魔法のネーミングもベタな英語の組み合わせでしかないティナと違い、少しばかり中二病っぽくなっている。
○チェルシー・ショコラティエ 19歳
魔王の城についていく役目をエリオット爺さんにしようと思ったが、絵面的に華がないので急遽創り上げたキャラ。
かなり後期に登場したにもかかわらず、作者が「~ッス」という語尾のお姉さんキャラが大好きなため、解説役としてそこそこ出番をもらう。
性格は明るくて気さくないい人なのだが、何も考えずに悪気なく正論を吐くため、ときにそれが毒舌と化す。
ラストバトルの後は研究所に戻ったものの、練気剣が魔王を倒すのに役立ったことを報告してしまったせいでエリオット爺さんが発奮。さらに魔道具の研究に打ち込むようになってウンザリしているという。
○フレイア・ヴォクスター 69歳
ティナの祖母。
実は魔女の中でもかなりの大物という設定。
それを活かしてエピローグではすでに老衰で死亡→メリッサも含めて大勢の魔女が弔問に訪れ、話が広まったせいで燈真とティナがマローダにいることが発覚→追ってくるであろうシャーロットたちを欺くため、メリッサと入れ替わるように燈真が亮の屋敷を訪問……という流れにする構想もあった。
ただ最後の最後でティナを悲しませるのも不憫だったので、彼女が死んでいたほうが孫も後腐れなく旅立てるだろうと思いつつも急遽話を変更した。
○アリサ 38歳
マローダで鍛冶屋を営む、燈真の武器と防具を製作したドワーフ族の女性。
見た目はまさに幼女だが、フリージアさんのさらに倍近く生きている。
口は悪いが鍛冶屋としての腕前は一級品であり、特にトンファーと釵が彼女の鍛えたものでなかったら燈真は武器ごと斬られて何度か死んでいる。
○ジェラルド・ヴェルファイア 36歳
名前は昔オランダで活躍した強面の格闘家から。
作者の脳内イメージでは格闘家というよりボディビルダーに近い筋肉男。
本来筋肉の量というのはスピードにも直結するため、ムキムキ男がノロマということはない。ただし作中で燈真がアルに言っていたように、硬く鍛えすぎるとしなやかさが損なわれ、単純な瞬発力やスピードでは測れないギクシャク感が動きに表れる。
体格で劣る燈真が彼の攻撃を捌けたのはそういった隙を突いたからであり、彼が黒人ボクサーのようにしなやかな筋肉を持っていたら一方的にボコボコにされていた可能性もある。
○エドワード・ラクティス 16歳
シャーロットの嘘にまんまと騙され、燈真に激しい敵意を抱くようになった青年。
上司であるジェラルドの見立てどおり、本来なら燈真と10戦して10勝するだけのポテンシャルは十分にある。ただしメンタル面のほうが幼すぎたため、そこを煽られて大きな隙を作ってしまった。
ゴツいフルプレートアーマーを着込んで戦いに臨んだせいで、逆に唯一プレートのなかった尻を攻撃されるという情けない負け方をする羽目になった可哀想な子。
○クラウス 23歳
ホウキを逆立てたような髪型をした痩身の槍使い。
手足がかなり長いことで圧倒的なリーチを誇るものの、槍のスピードそのものを燈真の奇策によって鈍らされ、蹴りの間合いに引き込まれて敗れる。
槍を押さえられても手放さなかったのが結果的に悪手となったが、仮に素手の戦いになったところで彼の手足はカマキリのように細いため、ローキックなどであっさりと倒されていたかもしれない。
○アンディ・アルファード 12歳
シャーロットが溺愛する弟。
幼い頃に母を亡くし、さらに自分が彼を守らなければと思い込んだシャーロットに甘やかされて育ったせいで、困難に立ち向かおうとする心を持たない臆病な子になってしまった。
そのため学校で受けたイジメを機に引き篭もるようになるが、燈真と出会ったことで自分を変えようと決意。彼の指導で空手を学び、イジメっ子と対決して勝利する。
そのことで自信をつけ、ラストバトル後は自ら亮の道場に入門するほど積極性のある少年に成長した。
○獣人の族長(シルヴィの父)&獣人s
族長のイメージは古い特撮番組の主人公そのまま。
他の獣人たちは最近流行の動物漫画に出てくるキャラっぽいが、作者がそれを読み始めたのはこの回を書いた後だったので、むしろ書いているときに浮かばなかったイメージが後からついてきてくれた感じ。
シルヴィの項でも書いたが、彼らが亮の救出後に援軍として来てくれるというエピソードは登場時から決めていて、むしろシルヴィのほうがその橋渡し役として生まれたイレギュラーな存在である。
○ヴェナルド・ディアブロ&ヴィアーノ・アルファロメオ
亮との再会から和解というエピソードの中で色々と動いてもらうために生み出されたキャラ。
本来はアクレイムからの脱出時に門を開ける手引きをするだけで、そこで別れて以降は出てこなくなるはずのキャラたちだった。(それゆえ名前も長いこと決まっていなかった)
しかし前作からの反省というわけではないが、今作では極力キャラを大事にしようと決めていたため、2人まとめてとはいえここに名前を載せてもらえるレベルの準レギュラー化。
その結果、王都エスペランサに居を構えた亮の生活が寂しいものにならずに済んだ。
ラストバトルの前に彼らが描いた夢も実現したことで、亮だけがそうなるよりもハッピーエンド感が増したように思える。
○エリオット・ハスラー
燈真たちが魔王の城に行くきっかけとなるエピソードのために生み出されたキャラ。
彼の発明品は適当に考えたもので、元々はメインの練気剣でお遊び回をやるためだけのものだったのだが、結果的にそれが魔王を倒すときの切り札となった。
ちなみにドラゴンの血を浴びたおかげでマグマから生還というのもプロットの段階で考えていたことだが、今作ではこういったお遊びエピソードが思わぬ伏線になったことも含め、冒険した場所や戦った相手のほとんどに意味を持たせることができた。
以上です。
最後にもう一度、ここまで読んでいただいた読者の皆様に謝意を表したいと思います。 2018/04/03 FLAT-HEAD




