エピローグ~毎日騒がしい食卓~
「……で、ですからねぇ」
マイヤーは今日も頭を悩ませていた。
「なんで痩せたのに、また全力で太っていくんですか?」
「ふもっふふへふはふんがふんが」
「食べるか喋るかどっちかにしてください」
「がつがつがつがつ」
デーブは猛然と食い始めた。デーブの体は以前と変わらないように見える、デブだ。
「食べるのやめて喋ってくださいっ!?」
マイヤーは食卓を拳で叩く。
「ごくん。ワシ、あんな恥ずかしい姿じゃ表を歩けんし、せっかく金かけて太ったんじゃからもったいないし」
そもそもの感覚が違うのだった。
「はい、デーブ様、アイス食べましょー」
「おう、ニノンは良い子じゃなー」
マイヤーの頭痛の種と言えばもう一つはこれである。ニノンが『この地方の加護が不安定になったため』という理由で街に留まることになったのだが。決まってからというものデーブに甘い、甘すぎる。
「はぁ、まったく。そう言えば例の魔術師はどうなったんですか?」
「畑を作っとるぞ」
「はぁ?」
マイヤーは首を傾げる。
「あいつは女神の神罰を甘く見すぎたんじゃ。女神は優しいが容赦ない神罰をかける。神罰がかかった結果、あいつの性格の悪い部分が取り払われて……物凄く勤勉になって畑を耕したくなったそうでの。荒れ地を貸したら今張り切って開墾しとる」
「神罰、怖いですね」
そこに、アイゼッツォンとロードフリフが現れる。
「聞いてくれデーブ!! フランティスカさんが、フランティスカさんがもう会わないほうが良いってーーー!!!」
「あの人のことだから問題はないんだろうが問題はロードフリフの方だ。こいつフラれてからというもの仕事が手につかなくてね。どうしたもんかと思って」
二人の言葉をデーブは一蹴した。
「ワシ、食べるので忙しい」
「ホネロック商店、出前持ってきたぜ!!」
ホネロックとロミオが出前を持ってくる、熱々のラーメンだ。
「おお、待ちわびたぞ!!」
「いつ注文なさったんですか!?」
マイヤーが叫ぶと、そこにフランティスカが現れる。
「デーブ、土産を持ってきたわよ、ステーキ!! あら」
「ふ、フランティスカぁ―――――――――!!!!」
「やれやれ、当分騒がしそうじゃのぉ」
「ですね、私はこれが好きです」
デーブはニノンに、アイスを一口食べさせてやるのだった。
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