第六幕 真実と幼なじみ
こんばんは、深川イルカです。
今回自分でも、書いていてよくわからなくなりました。
Q,ヒカゲ今何処にいるでしょうか?
A,地下の牢屋の中に逃げないよう拘束されています
ガチャガチャとなんとか鎖を取ろうとするヒカゲ。
あのとき、ヒカゲは後から来た兵士たちに取り押さえられた。そして兵士の後ろにいたユメは気絶してしまい、すぐ隣にいたシンヤに支えられ、マサシとユウカは連れて行かれるヒカゲから目をそらし、拳を震わせた。
コツコツと誰かがこちらに近づいて来るのがわかる。ヒカゲが近づいてくる光の方に目を向けるとそこには、クスィパスが立っていた。
「何の様だ?王様、いや自分たちが地位を手に入れるため、実の父親を殺した犯罪者」
クスィパスは鍵を開け牢屋に入り、近くにあった監視官用のイスをヒカゲの前に置いて、座った。
「やはり、あの日記の鍵を見つけたは貴様だったか。それでは聞こうか、日記に書かれた真実を」
ヒカゲはしばらくクスィパスを見ていたが、話し始めた。
「この国は確かに戦いに巻き込まれていた。前国王が命を張って冷戦状態にしたことも。だけど、前国王は命は落としていなかった。娘と息子は今がチャンスだと前国王に話した、『召喚魔法を使い、他の国を滅ぼそう』と。しかし国王は首を振った。」
『どうしてですかお父様‼︎』
『いいかい、冷戦に持ち込んだのは我々の方なのだからそのような卑怯な真似はいけない。それにこの召喚方法は他のとは違い、異世界から人を呼ぶ。そのためのに王族の血を引いた一人を犠牲にしなければならない。そんな悲しいことはしていけないのだよ』
『しかし‼︎』
『この話は終わりだよ』
そう言って国王は部屋から出て行った。その後ろ姿を二人は射殺さんばかりの目で見ていた。
また、国民も国王に不満を持っていた。今なら簡単に攻め落とすことが出来る筈なのにと、国王の考えがわからなかった。
『このままではいつかこの国は攻め滅ぼされるぞ』
『何で国王は私たちの言葉を聞いてくれないのかしら』
『早く姫様と王子様が、この国の王にならないのか』
姫と王子はそのことを聞いて、あることを思いついた。
《そうだ、王を召喚魔法の糧にすればいいのではないか。そうすることにより地位を、国民の心を、自分の代わりに舞台に立ってくれる役者を掴むことができる!》
「それでお前たちは国王を殺し、召喚魔法を使った。だけど、一人だけ何も力を持たない人間が現れた。しかも勇者たちはその人間の幼なじみ。だから、」
「だから舞台から降りていただくと同時にあの方々の心から守る対象と見ていて、一緒に元いた場所に帰ろうとする気持ちを奪いたかったのです」
クスィパスの後ろにパルノが入ってきた。
「お父様が亡くなったのはいつか他の種族と共存しあえるという甘い考えを持っていたからです。生き物は必ず奪い合うものなのです。お父様は強者に負けた。だから仕方ないのです。」
ヒカゲはその考えがあちらの世界と同じなのだと、思い知らされた。
「だが、他の人間族が気づかなくても、マサシたちが気づいてくれる」
二人はヒカゲの言葉を聞いて笑い出した。ヒカゲが怪訝な顔でみると、クスィパスは笑いを押さえながら口を開いた。
「一つだけ言っておこう。貴様は実に冷静で、この世界に来た時も余り騒がない。まぁ、周りがそうさせたのかもしれないが、彼らは普通の感情を出す、普通の子供だ。争いがなく、守られてばかりいる子供が勇者となり、頼れるのがこの国だけなら、どうなるだろか?たった一人のためにもし上も下もわからない世界にほっぽり出されたら、どうなるだろう?」
ヒカゲは言葉を詰まらせる。しかし、2人を睨み
「それでも、あいつらは信じてくれる」
「・・・せいぜい頑張りたまえ」
二人は静かに地下から上に戻っていった。
次の日、ヒカゲはマサシたちと牢屋越しに面会した。しかしマサシたちは俯いたまま話そうとしない。
「マサシ、ユウカ、シンヤ、ユメ。俺は、」
「初め、」
マサシが唐突に話し始めた。
「初めヒカゲが図書室にいて、血を浴びて、剣を持っているのは嘘だ、あり得ない!そういった」
ヒカゲは彼がそういってくれことに嬉しかった。
「だけど、」
嬉しかった、のに。
「なのにどうして殺した‼︎」
ヒカゲは何を言われているかわからなかった。
「な・・何言って、」
「ならどうしてあの場所にいた‼︎」
「あそこは立ち入り禁止にされている前の国王の部屋だ!なんであそこの隠し通路を知っていた!」
「ま、待ってくれ。あそこは図書室じゃないのか?俺はお前たちが持ってきた本を返しに」
「ふざけないで‼︎」
ユウカが叫んだ。
「あの本はパルノさんから貰った本よ!確かに貸すとは言ったけど、いつも私かユメがあなたの家に取りに来ていたじゃない!どうしてあの日一回いかなかったとき、いつものように家にいなかったの!」
「っ、あの日俺は心配になって、キノレ、キノフに隠し扉を教えられて、お前らに会いに行った。本はついでだ。」
ヒカゲはあの日あった出来事を話した。
「だから俺は殺していない」
「分かりました」
「それじゃあ、」
「けれど、あの日人目をつかず、部屋に入り、ここの兵士を殺すことが出来たのはあなたなんです」
「俺にそんなこと・・・」
「知ってるよ?ヒカゲは人を憎んでいるんでしょう?私たちのことも」
「何言ってる」
「だってヒカゲは生まれてからずっと不幸で人から暴力や暴言を言われてずっと耐えてきた。だけど私たちといたから無理矢理この世界に来させられて、異世界から勝手な理由で連れてこられて、我慢出来なくなったからパルノさんとクスィパスさんを逆恨みして殺そうとした時、兵士に見つかって剣を奪って殺したんでしょ」
「無力でなにも力をもたない俺にそんなこと出来ないし、恨んだことなんて一度もない!」
ヒカゲは四人に出会って嬉しかったし、心の支えだった。この世界に巻き込まれても、彼らがいるから大丈夫だって、そう思っていたのに。
「剣を奪うくらいなら、柔道や空手を習っていたお前なら直ぐに対処できたはずだし、俺たちの幼なじみと言ったら兵士は油断するはず。
「それに、キノフさんとキノレさんが言ってた。『自分が問題を起こせばマサシたちが俺をかばって、この国から追放される。この国は勇者を失って、マサシたちは路頭に迷う。それが俺にできる復讐』って、言ってたんだ‼︎」
「マサシ、俺の話を、」
「もう‼︎」
ヒカゲが四人の顔を見ると涙を流していた。
「俺たちはヒカゲを信じることが出来ない‼︎頼むからこれ以上失望させないでくれ‼︎」
その言葉にヒカゲは何も言えなくなってしまった。
ヒカゲは初めて彼らが泣いているのを見た。
彼らは見知らぬ世界にきて、それを助けてくれるこの国を信じきった。
力がない、助けられない役立たずな幼なじみを見限って、この国を守ることに決めた。
ヒカゲはそのことにようやく気づいて、気付いたとしても、もうどうしようもないところまできてしまっていた。
勇者たちは糸に操られ、舞台から降ろされた役者は彼らに手を伸ばしても、振り払われてしまった。後ろにいる監督はそれを見て笑っていた。
時間があったら書き直したい。
・゜・(ノД`)・゜・。