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第五十一幕 タマゴ2

五十一幕(^◇^)


今回、タマゴから生まれます!


アモルは考えていた。絶対とされ、忠誠を誓った全能神様の言葉か。

それとも自分の人形を拾い、さらに自分の我儘に優しく乗ってくれた目の前の異世界人か。

二人ともアモルにとっては、大切な人であり、守りたいと思う人。ただ、あった順番が、時間が違うだけ。

けれど、全能神様からは混沌を招く異世界人を倒せと言われた。彼、ヒカゲに会う前なら全能神様の言葉を聞いて、何でもこなすし命さえ投げ出せたのに、何故か彼を倒したくないと思う自分がいる。

そんな自分の中の変化に戸惑う。

今まで考えたことがなく、全て流れに任せてきたアモルにとって、恐らく初めて真剣に考えたときだった。



そして今、アモルはヒカゲと対峙している。しかし、アモルは動く様子がなく、突っ立ったままだった。ヒカゲはアモルの眼を見ると、眠そうなピンクの瞳が揺れていることに気がついた。

そうこうしているうちにカーヌとサロンが追いついてきた。そして立っているアモルに向かって話しかける。

「アモル、早く彼を動けないようにしてください」

「だけど、」

アモルは戸惑いながら、ヒカゲと同じ聖天使エンジオンの二人を交互に見る。

「アモル、そいつを捉えなければ、世界が壊れてしまう。そうしたら全能神様が悲しむよ」

全能神様が悲しむという言葉にアモルは反応した。

アモルは俯いていた顔をあげ、自分の魔法を使った。ここへヒカゲを連れてきたのと同じ魔法を。

「《眠りを祈る唄》」

この廊下を唄が支配する。その唄を聴いた瞬間、この廊下にいる三人関係なく、足が崩れ落ちた。


ヒカゲはここに来る前に聴いた唄と同じように、眠りにつきそうになるのを懸命にこらえた。この前と同じならヒカゲはすぐに倒れて、眠りについていたが、ヒカゲは崩れそうになった身体を何とか倒れず、足に力を入れて、ふらつきながら立ち上がった。

何故なら、今唄っているアモルが余りにも苦しそうな顔をしているのを見て、ヒカゲはゆっくりアモルに近づく。

アモルは目を瞑りながら、歌っていて気づかない。ヒカゲがアモルの前までくると、ガクリと膝が崩れる。しかし上半身だけはまだ力をいれ、アモルと同じくらいの身長になると、ヒカゲはアモルの頭に右手を乗せて撫でた。


アモルは突然温かいものが、自分の頭に乗ったことにより、唄うのを止めた。目を開くと、目の前に今にも倒れそうなヒカゲの姿。

ヒカゲが少し口元に笑みを浮かべ、口を開く。


「俺は大丈夫だ」


どうしてこの言葉が出たのか、アモルは聞こうとしたが、その前にヒカゲが崩れ落ちた。

すると倒れたと思った二人が起き上がる。

「アモルの唄は味方には通じない。だからこそ、捕まえるのに適しているのです」

そう言ってサロンがヒカゲに触ろうとした途端、ヒカゲの持っていた鞄から何か飛び出してきて、サロンのお腹に突っ込んできた。突然のことにサロンはその衝撃に吹っ飛ばされた。サロンは態勢を整え、廊下に着地する。その何かはコトリと倒れているヒカゲの上にあの動くタマゴが乗っていた。カタリカタリとまるでヒカゲを守るようにしていた。


ピキピキッ


タマゴからヒビ割れる音がする。



「ガオオオオオオオォォォーーーー‼︎‼︎」



大きく響き渡る咆哮と共に、タマゴの殻が飛び散り、辺りに刺さる。

三人の聖天使エンジオンは腕で、硬い岩のようなタマゴの殻をガードする。


そして中から出てきたのは黒いタテガミ。

スラリとしているにもかかわらず、引き締まった四肢。

口からは白い牙が見え隠れする。

額には赤いダイヤ型の宝石のようなものが埋め込まれている。

そして深い緑をイメージさせるような瞳は、射殺さんばかり鋭い眼光で、敵だと思う目の前にいるカーヌとサロンを睨みつけていた。

漆黒だと思っていた毛並みは、光が当たると少し青みがかり、藍色よりも濃い色だと気づく。


そう、そこにいたのは見たことがない黒い獣だった。


身体は生まれたばかりのため小さいが、ヒカゲを守るように立ちはだかる威圧された空気に、彼らはたじろいだ。




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