第四十九幕 水色の聖天使
長らくお待たせいたしました。
三ヶ月以上も放置していまい、申し訳ありません
こんな気まぐれな作者ですが、これからもよろしくお願いしますm(__)m
「今ここにいる聖天使に告げます。異世界から来た、混沌の使者を倒し、この世界を守るのです」
ヒカゲは大きな宮殿の中を走り、出口を探していた。
(・・・どうやら、あの神とかいうやつは、俺を異世界人とわかった途端、勇者と考えたらしい。考えたまではいいが、なぜ倒そうとするのかがわからない。まあ、それよりも・・・)
ヒカゲは立ち止まり、前を見ると一人の水色を象徴する天使が立っていた。その天使は少し軽そうな銀の甲冑をきており、メガネをかけた、短い肩までの水色の髪に、水色の瞳、水色の羽根を持った女性が立っていた。
「貴方が全能神様の言っていた、異世界人なのですか?」
「確かに俺は異世界人だが、」
ヒカゲが勇者ではないという前に、ヒカゲの顔スレスレに何かが通り過ぎ、ドカンと何かが壊れる音がした。前では水色の天使が手に、刀身が水色のレイピアを構えており、その先端からは水の玉が沢山宙に浮いていた。恐る恐る後ろを見ると、壁の一点に破壊された跡。
「《突き抜ける水弾》」
水色の天使は目にも留まらぬ速さで、その水の玉をレイピアで突いた瞬間、その水の玉たちは弾丸のような速さでヒカゲを襲う。
しかし、ヒカゲは慌てることなく、その弾丸を見極め、最小限の動きで避けていく。避け続け、一瞬の間を見逃さず、柱の影に隠れながらヒカゲは相手を見る。
《ステータスカード》
カーヌ・クスイ
Level : 90 体 : B 魔: 黄色 防 : B 速 : A
属性 : 水、風、光
職業 : 聖天使
種族 : 天族
能力 : ⁇⁇⁇
異名 : 規律を正す者、秩序を守る者、清流の天使、聖天使のまとめ役、⁇⁇⁇
「よく、避けることができましたね。それも貴方の魔法なのでしょうか。しかし、ただ避けるだけでは終わることはありません」
カーヌは構える。
「さぁ、貴方の魔法をお見せください」
ヒカゲはそんなカーヌ見て、どうしようかと悩んでいた。カーヌは、ヒカゲが魔法を使えると思い込んで、攻撃を仕掛けていた。
(なぜ魔法があるということに繋げるんだ。やはり、魔法が重視されているからか)
ともかく、フィロスがいない今、ここを突破しなければとヒカゲは柱の影から様子を伺う。しかし、水弾は柱など関係なく突き抜けて、容赦なくヒカゲを襲う。
何回か柱を変えて、攻撃を防いでいると、先ほどより攻撃がゆるまった。カーヌをチラリと見ると、水色の瞳はしっかりとヒカゲを見ていたがら、怒りが見え隠れしていた。
「どうしたのですか、早く反撃をしなさい。その眼は契約精霊と契約した証。精霊にも力を借りたらどうです。それとも怖気付きましたか」
一方、カーヌは目の前の人物について考えていた。初めて姿を見たとき、直ぐに全能神様の言っていた、異世界人だと感じた。
感じただけで、あとは始末すればいいと思った。そうすればまた、秩序が守られると。
しかし、魔法を使わずに私を相手していることに不満を感じた。こいつは魔法を使わなくても勝てると、馬鹿にされてるようで。
だから、煽った。煽って、少しだけ攻撃を緩めた。
すると、異世界人のため息が聞こえてたあと、柱から飛び出し、こちらに突っ込んできた。
「“銀月鎖”」
ヒカゲが呟いた言葉とともに、右側にあった刺青が消えて、右手に三日月がてっぺんについている杖が姿を現した。
「やっと魔法を使う気になったのですか。しかし、真正面から飛び込んでくるなど、」
カーヌはフッと笑い、用意していた水弾を突く。無数の水弾がヒカゲを貫こうとすると、ヒカゲは杖を軽く振る。三日月の部分が意志を持つかのように動き、銀の鎖が何十にもヒカゲの周りを囲み、水弾をはじき返した。
「何!」
カーヌは驚き、目を見開く。その隙をついて、ヒカゲは一気に加速して、瞬時にカーヌの目の前に来た。ヒカゲは杖の後ろで、カーヌを貫こうとしたが、カーヌは体を横にずらし、レイピアでヒカゲを狙う。するとヒカゲは“銀月鎖を自分の方へ引っ張ると、後ろから三日月の部分が飛んできて、カーヌのレイピアを弾いた。
「な、!」
そのままカーヌの腕を掴んで、ひねり上げ、カーヌはそのまま床に倒れこみ、ヒカゲが上に乗る状態となった。
「ぐっ、」
ヒカゲはとりあえず気絶させておこうと、“銀月鎖”で殴ろうとしたとき、
「《粘つく編み蔓》
後ろから何かが自分を目掛けて飛ぶ風の音。
ヒカゲはカーヌの腕を引っ張り、自分の方へ抱き寄せ、ヒラリと宙を舞う。そして、今までいた場所を見ると網状の蔓がベタリと地面に張り付いていた。
廊下に着地し、反射的に一緒に避けてしまったカーヌから距離を置き、再び前を見るとそこには、黄緑のつなぎを着た黄緑の髪に、黄緑の瞳、黄緑の羽根特徴的な男の子の姿があった。