第三十九幕 屋敷の中へ
さんじゅうきゅうまくめです!
今回は屋敷内捜索です( ̄^ ̄)ゞ
フィロスは中に入ると困惑していた。
中は随分と荒らされていると思っていたのだが綺麗に掃除されていた。床や壁や窓などははピカピカと磨かれていて光り、カーテンや絨毯などはホコリやチリなどは一切なく、外見からは予想できない、まるで今も誰かが住んでいるような雰囲気が感じられた。
「こいつは二重幻結界だな」
「何だそれは」
ヒカゲはフィロスの呟いた言葉に疑問をぶつけた。
「光魔法には二重幻結界という防御魔法がある。先ず一つ目の結界は誰でもそこにある物が認識できて、入ることができる。だが、二つ目の結界との間にはその認識しているものを錯覚させることが出来る。まぁ、長時間いれば慣れて、さらに奥の二つ目の結界の中にある物がボヤけはするが、本来の姿が多少認識できるようになるんだよ。で、二つ目の結界の中に入ると本来の姿が完全認識できるってわけだ」
ふとフィロスはヒカゲが余り驚いていないことに気付いた。
「そういやお前何でそんなに驚いてないんだ?」
「・・・あぁ、見えていたからな。この屋敷の本来の姿が」
「あ?」
「どうやら俺の右目は幻が効かないらしい。まぁ、左目だと幻覚通り見えていたから少し気持ち悪かったが、ローハさんやお前やティナには荒れた屋敷に見えたみたいだから、取り敢えず様子を見てみようと思ってな」
「ますます不思議だな、その目は」
「まぁ、これから色々知っていけばいいんだ」
「ぱぱすごいね!てぃなはわかんなかったよ?」
「ありがとうな」
まずは二手に別れることにした。フィロスは二階を、ヒカゲとティナは一階を調べることになった。
フィロスは二階を調べたが部屋が五つくらい寝室とお風呂場と図書室があるくらいだった。
もしかしたら図書室に何かあるかもしれないと図書室に行くと、様々なジャンルの本が揃えられていていた。
「あのジイさんの祖父は余程本が好きだったんな」
そんなことで暫くあった本を取ってはペラペラと巡り、本を取っては巡りを繰り返しているとゴゴゴゴと音と共に少し屋敷が揺れたのでフィロスは慌てて、一階へと降りていった。
さてフィロスが二階を調べている頃、ヒカゲとティナは一階を調べていた。一階には暖炉がある談話室とキッチン、風呂場に二つの空き部屋があるだけで特にこれといって不審な物はなかった。
「おかしいな、これだけ部屋があれば何かあるはずなんだが」
ヒカゲが玄関の方を向いて考えていると
「ぱぱ!」
ティナがヒカゲの服を引っ張り、ヒカゲがティナの方を見てみると丁度T字に差し掛かっている廊下の方を指差していた。
「どうしたんだ?」
「いまね、あそこをなにかがとおったよ!」
「本当か」
ヒカゲはティナを連れて、すぐ様談話室の方に向かった。
談話室には大きなソファが向かい合わせになっていて、真ん中に低いテーブルが置いてあり、そのセットの丁度横には暖炉があった。
ヒカゲはもう一度くまなく探すと暖炉の上の石が一つ、1cmくらい飛び出ているのがあった。
「さっきまでなかったはずだが、」
ヒカゲは取り敢えずガガガと少し引いてみるとゴゴゴゴと暖炉の奥が開いて地下へと続く階段を見つけた。
「わぁ、ひみつきちだ!」
ティナはキラキラした目で地下に続く階段を見る。ヒカゲはティナをしっかりと背負いゆっくりと地下へと降りていった。
ヒカゲは地下に一つだけあった木製のドアを、ゆっくりとドアノブを回すとガチャリと開き、そこにはレンガで作られた部屋があった。そして部屋には何冊か置かれている簡易イス、机セットが置かれているだけであとは何もなかった。
「ティナ、一回下りてくれるか?降りても余り動いちゃダメだ」
「は〜い!」
ヒカゲはティナを下ろし、机の上にあった本を見ようと持ち上げると下に何やら小さな文字が書いてあった。ヒカゲは不思議に思い、良く近くで見てみた。その間にティナは少しヒカゲから離れ、少し空いている空間に立っていた。
「光が、照らす道・・・空、に舞う踊り、子・・・いざ、参る・・・天の愛しき、子に、繋ぐ、言葉」
そこで終わっている言葉に首を傾げた時、
「ぱぱ‼︎」
何とティナが立っている場所に黄色い魔方陣が浮かび上がった。ヒカゲは考えるよりも早く足に力を入れてバッと走り、目にも留まらぬスピードでティナを掴み入れ替わるようにして陣の中へとたおれこみ、丁度地下への道を見つけたフィロスの方を見てティナを投げた。フィロスは咄嗟にティナをキャッチし、慌ててヒカゲに手を伸ばしたときブワリと風が吹き、光が一番強くなった次の瞬間ヒカゲがフィロスとティナの目の前で消えた。
「ヒカゲーーーー!」
「ぱぱーーーー!」
そこに残ったのはヒカゲが咄嗟に倒れ込んだ時に力を入れて割れた地面の魔方陣だけだった。
離れ離れになったヒカゲとフィロス、ティナ。
ヒカゲはどこへ行ったのでしょう?