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第三十二幕 新しい服とギルドへ

三十二幕★


服を言葉で説明は難しい。

「もういいですか?」

「ああ、大丈夫だ」

シャッとカーテンが開く。ヒカゲはあのボロボロの服を着替え、黒の長袖のTシャツとズボンを着た。そしてその上にキラキラと星が散りばめられたフードが付いている、藍色のひざ下まであるロングパーカーを着て、前は下にジッパーが二つ付いていて上のジッパーは閉め、下はおへその下あたりまで開けていた。靴は動きやすいスニーカーの様なものを履いていた。

「似合っていやすよヒカゲ様!」

「ありがとう。しかし、本当にこんないい服を貰ってしまっていいのか?」

ヒカゲは申し訳なさそうにウルアを見る。

「いいんですよ、お礼なんですから。あ、ちなみにその上着には内側にも外側にもジッパー付きのポケットがありやすから物を入れても落ちやせんよ。しかもこの上着は知り合いのつてから譲って貰ったんすけど、とあるモンスターの毛を使って編んでいるため、ちょっとやそっとじゃ破れないらしいんですよ。とあるモンスターは企業秘密だって言われて教えてもらえませんでした」

「すごいな」

ヒカゲは隣のカーテンの方に声をかけた。

「ティナ、大丈夫か?」

「いまあけるよ!」

もう一つのカーテンが開く。ティナは肩出しの水色のラメが入っている膝までのワンピースに少し濃い青色のカーデガンを羽織り、白の足首までの靴下に脱げないようにボタンが付いた黒い靴を履いていた。頭にはハートが付いている黄色いカチューシャをつけていた。

「このふくかわいい!」

「その服は昔、父から貰ったんですがあっしは着ることなく仕舞ってあったんで気に入って頂けて嬉しいです。あと、そのカーデガンは暑い時は風通し良く、寒い時は暖かくなる優れものなんですよ」

「ありがとう、うるあさん!ぱぱどう?」

「ああ、かわいいよ」

「ぱぱもかっこよくなった!」

ティナを抱え、ウルアの方を向く。

「なんか、何から何までありがとう」

「いいんですよ、あっしをここまで護衛してくれたお礼です」

店の奥から出るとフィロスがタマゴを持って暇そうに店を物色していた。

「終わったぞ」

「お、良くなったじゃねぇか」

フィロスはヒカゲにタマゴを渡す。するとウルアがポンと手を叩き、近くにあった木箱から布の大きめの袋を取り出した。

「ずっと手で持ってると大変なので、肩からかけるこのカバンにいれるといいと思いやす」

「いいのか?」

「へい!」

ヒカゲはさっそくタマゴをカバンに入れ、肩に背負った。

「フィロスさんはなんかいい物ありやしたか?」

「俺は特にねぇよ」

「いいんですか?」

「俺は別に不自由してねぇからいいんだよ」

「そうですか」

フィロスはドアの方に向かう。

「服も見つかったことだし、そろそろギルドに行こうぜ」

「そうでした!ギルドに行きやしょう」








「あそこがギルドです」

歩いて数分の表に並ぶ店より少し歩いたところに大きな建物があった。

「ここがギルドか、大きいな」

「へい、ここには多くの方々が訪れため大きい方がいいんすよ。それよりも・・・」

ウルアはチラリと周りを見た。

「どうした?」

「ヒカゲ様はこの視線が気になりませんか?」

「視線?あぁ、フィロスは精霊族プロセーオで人型だし、ティナも人魚でかわいいからな。珍しいのだろう」

「ぱぱ?」

「どうした?」

「おんぶがいいの」

「分かった」

そう言ってヒカゲはティナを背負い、ギルドの方に歩いていく。

「いや、違うと思いやすけど」

ウルアの声にため息ぐ混じる。それにフィロスが気づく。

「仕方ねぇんだよ、あいつは訳ありでな。自分に無頓着な上、鈍感だ。分かるわけねぇよ」


そう一番注目を浴びているのはヒカゲなのだ。

月の髪で、目の色が違って、顔に刺青があって、人型の精霊族プロセーオが浮いていて、その契約印が目の中にあって、人魚の子供にパパと呼ばれている明らかに人間族ヒュームの青年。

誰であろうと目を引く姿。どれほどの注目を浴びるかヒカゲは知らない。


「だが、あいつはあのままでいいんだよ」

「え?」

ウルアは首をかしげる。

「あいつは例えどんなことがあっても、自分の道を切り開く。周りの目なんか気にせずにな。だからあのままでいいんだよ」

ウルアはヒカゲをみる。

「そうですね、あの人はしっかりと自分の心を持っていやすからね」

「そういうことだ」

フィロスはすいっとヒカゲの隣に飛んで行った。ウルアも慌ててヒカゲたちを追いかけていった。









「思ったんですけど、何でフィロス様は浮いているんですか?」

「あぁ、そのことか。俺も罠が無いとこなら大丈夫だと思って試しに歩かしたら、何もないとこでコケて、丘から転げ落ちそうになってた時俺の腕を掴んで一緒に転がってそのまま下の池に落ちた」

ウルアは口をヒクつかせる。

「それは、大変でしたね」

「そんなことが何回かあってもう必要な時以外歩かせないようにしている」

「そんな理由が(フィロス様にヒカゲ様を守れるんですかね)」

少し不安になったウルアだった。

あれ?ギルドに入れなかった。

なぜだ。・゜・(ノД`)・゜・。


次回こそ入ります、絶対入りますm(_ _)m

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