第二十八幕 シープラビット
二十八幕目ぜよ☆
今年最後の更新となります。
年末は忙しく次の更新は出来たら31日、出来なければ年明けとなります。
その頃ヒカゲたちはというと、何故かヒカゲの体にモコモコとした耳が生えている生き物が抱きついてキラキラとした目で見ており、ヒカゲは無表情ながら嬉しそうな雰囲気を出し、木の馬車の中には耳が付いている冒険者たちからはビクビクした、しかしどこか畏敬の眼差しをヒカゲに向けられていた。その周りでは、フィロスはヒカゲを守るようにその間に座ってその者たちを睨みつけ、ティナはヒカゲの周りにいるもこもこを触り、その様子をウルアは顔を引きつらせながらとにかく急いで黙々と馬車を走らせていた。
理由は二日前のことーーー
ヒカゲたちが国境から出た後は、多少魔物に襲われただけで特に問題なく進み、少し休んでいた。
「なんかいつもより静かな気がしやす」
「そうか」
ふと横を見てみると何やら白いモコモコとしたものがたくさんピョンピョン跳ねて移動している生き物がいた。
「フィロス」
「何だ?」
「あれは何だ?」
ヒカゲが見ている方を見る。
「あぁ、あれはシープラビットって言って魔物だが跳ねて集団で移動する。特に害はないし懐きやすいぜ」
「あっしもかわいいんで好きなんすよ」
よく見るとモコモコとした綿が丸くなり、ちっちゃく出てる手足に長い兎のような耳が生えていて、つぶらな小さい目があった。
「「かわいい」」
「あ?」
一人の声はティアだと分かったが、もう一人を見るとヒカゲが表情を変えずにそれでも目を輝かせながらシープラビットを見ていた。
すると一匹が恐る恐るヒカゲに近づいてきたので、ヒカゲはゆっくりと片手を出す。
「触ってもいいか?」
シープラビット はしばらく手の匂いを嗅いだ後、擦り寄ってきた。
「てぃなもさわっていい?」
するともう一匹今度はティナに近づいてきた。
「きゃー、かわいい!」
ティナはシープラビットにぎゅーっと抱きついた。それを見ていた他のシープラビットも近寄ってきた。それを見ていたフィロスも触ろうとひかげの所にいるシープラビットに近づくとシープラビットはピュッとヒカゲの後ろに隠れた。
「「「・・・」」」
「?」
ヒカゲとウルアは黙り込み、フィロスは固まり、ティナは分かっていないようで首を傾げた。フィロスは他のシープラビットは大丈夫だろうと近づくが、全部に逃げられヒカゲやティナ、ウルアの後ろに隠れていた。
「「「・・・」」」
「?」
今度こそウルアは同情の目でフィロスを見て、ヒカゲはフィロスの肩に手を置き、悲しそうな目で見てきた。
結果、フィロスは落ち込んだ。もうズーンという音と共にキノコが生えていた。
余りに可哀想だったので馬車の中から何かピンクの液体のビンを取り出した。
「それは何だ?」
ヒカゲは怪しげな液体を見つめた。
「これは懐いてほしい魔物を頭に浮かべて一口飲むと少しの時間だけその魔物が懐いてくれやすよ」
「大丈夫なのか?その液体」
「まぁ、見ててくださいよ。フィロスさーん‼︎」
フィロスはチラリとこちらを見る。
「なんだよ」
「これを一口飲めば大丈夫‼︎」
しかしそこで運悪く、
「君たち!そんなところで何をしているんだ!」
灰色の耳と尻尾がついて甲冑を来た男三人が出てきてしまい、ウルアが駆け寄ろうとしたが横を向いていたため、石に躓いてビンがフィロスの方に飛んで行った。そこでフィロスがビンを掴めば良かったのだが、フィロスは風を使い、有らぬ方向に飛ばしてしまった。
パリンッ バシャッ
ティナを守るようにして立っているヒカゲ。ポタポタと髪からピンクの雫が垂れ、フィロスとウルアがゆっくりとビンの飛んだ方を見るとヒカゲに全部掛かっていた。
「・・・」
「「「・・・」」」
ヒカゲは右手に“銀月鎖”を取り出して、その男たちの方を向いた。
「おい」
ビクリッと男たちの体が揺れる。ヒカゲはゆらりと男たちに向かって歩く。右手にある“銀月鎖”の月の部分の鎖を円を書くように回しならが。
男たちはヒカゲの威圧にもうガタガタと体を震わせ、地面にペタリと座り込む。
「おまえら、俺の大切なティナが怪我したら」
ヒカゲの目が男たちを捕らえる。
「どう責任取るつもりだ」
ーーしばらくお待ちくださいーー
しばらくして、
「「「申し訳ありませんでした」」」
シープラビットに囲まれたヒカゲと土下座をして謝る、ボコボコにされた男たち。
ちなみにウルアとフィロスはそうそうにティナを抱えて避難していた。
この物語を読んでくださっている方々、本当にありがとうございますm(_ _)m
これからも頑張って更新を続けていくので、来年もよろしくお願いします。
それでは良いお年を( ´ ▽ ` )ノ