第十九幕 勇者たちと捕まった男たち
十九幕でそのころの勇者たちです。
幕間は止めました。
マサシたちはヒカゲが居なくなってからも変わらずに生活をしていた。変わった事といえば、マサシたちがあの世界よりこちらの世界にいたいと思い、しかもこの国を守ろうとさらに力が上がったくらいだろうか。
もともとマサシたちはヒカゲと一緒に帰るために言ったのであって、元の世界に帰りたいと思っていなかった。どちらかと言うとこの世界に残り、勇者として頼られたいと思っていたのだ。
だからヒカゲが自分たちを裏切ったのだから居なくなっても気にしなかった。ちなみに今の彼らのステータスは、
《ステータス》
マサシ・サカタニ
Level :69
体力 : B
魔力 : 黄
防御 : B
スピード : A
属性 : 全
職業 : 冒険者、剣士、リーダー
能力 : 危険察知クービリノス、正義の心ディケオア
異名 : 異世界者、剣の勇者、全能の正義、みんなの中心、頼られてる存在、成長者
ユウカ・スズキタ
Level : 68
体力 : A
魔力 : 黄緑
防御 : A
スピード : B
属性 : 土、火
職業 : 冒険者、格闘家
能力 : 身代わり、敵の無力化ニヒタ
異名 : 異世界者、力の勇者、信念を貫く者、ツンデレ、突撃少女、行動派、成長者
シンヤ・ムラカミ
Level : 69
体力 : B
魔力 : ピンク
防御 : A
スピード : C
属性 : 風、木、闇、雷
職業 : 冒険者、魔法使い
能力 : 魔法の心メギディア、二重の痛み分け《ドゥオルノ》
異名 : 異世界者、魔の勇者、心強き者、腹黒
パーティーの参謀、頭脳派、成長者
ユメ・ハセガワ
Level : 65
体力 : C
魔力 : ピンク
防御 : C
スピード : C
属性 : 水、氷、光
職業 : 冒険者、治癒遣い
能力 : 神への祈り《ゼオロセフ》、移し鏡カスレフルム
異名 : 異世界者、癒の勇者、ふわかわいい子
天然乙女、優しい癒し役、成長者
となっており、着実に力をつけていった。
ちなみに、成長者とはLevelが50越えるとつく。
そんなこんなでヒカゲたちが夜の内に急いで国境まで走って大分離れた頃、勇者たちはクスィパスとパルノに頼まれ、非道な生き物売買をしている男たちを捕まえて欲しいと依頼され、城の裏にある崖の向かい側の崖へ氷魔法で橋を作り渡る。しばらく歩くと馬車が見えたが、中はすでにもぬけの殻になっていた。
「逃げたか・・・」
マサシが悔しそうに呟いた。しかし茂みの方から男の呻き声が聞こえ、かき分けて行くと五、六人の男たちは縄で縛られて木に吊るされて逆さずりになっていた。
マサシは剣で吊るされている方の縄を切り、男たちを下ろすが男たちは気絶したままだった。
「一体誰がやったのかしら?」
「わかりませんが、とりあえず彼らを連れて行きましょう」
男たちを馬車に乗せて橋を渡り、城の方へと戻っていった。
今、マサシたちはクスィパスとパルノの玉座の前にいた。
「なるほど。だとすると他の誰かは不明ですが、何らかの目的があったのか、それともたまたまだったのかは定かではありませんがもう捕まえていたのですね」
「しかし一体誰がやったのだろうか?」
マサシたちの話を聞き、首を傾げる二人。すると丁度一人の兵士が男たちが目覚めたのを知らせにきた。
「ならばそいつらのリーダー格をここに連れてこい」
「はっ!」
兵士はしばらくして、リーダーらしき男を連れてきた。男は頑丈な鎖で繋がれ、さらに魔法が使えないようにする装飾具も耳に取り付けてあった。彼らは兵士を下がらせ、男に面を上げるように言った。
「貴様に問いたい。本日彼らが貴様らを連れてきたのだが、彼らが来た時には貴様らはもう縛られていた。なぜだ?」
「・・・俺たちはいつものように商品を運んでいたら一匹が逃げ出したんだ。捕まえようと追いかけたら、あいつにあった」
「あいつ?それは誰だ?」
男は首を降る。
「わからない。最初は殺すつもりだった。あいつを殺して商品を奪えばいいと思っていたのに、あいつの目を見た瞬間死ぬんだと感じた」
男はさらに喋り続ける。
「あいつは次元が違う。あの月の髪と紅と空の目を見たとき、後悔した。なぜ殺そうなどと考えてしまったんだろうってな。あいつこそが真の王なんだって思い知らされた。誰も逆らえない、絶対なる支配者。今まで聞いたことないのが不思議なくらいだ。」
男の目は尊敬と畏怖の色に染まっていた。
「正直、あいつになら殺されていいと思った。見たことがない武器で息苦しくなったとき、こいつに殺されるならって柄にもなく悟った」
男は王、女王、そしてマサシたちを見る。
「そいつを探すなら気をつけろ。あいつはおそらく王とか地位とか誰とかそんなの関係ない。自分に、いや他の奴らに手を出したらキレる奴だ」
男はゆるりと自嘲気味に笑う。
「あんたたちもあいつに会えばわかる。あいつに会うときは気をつけな、飲み込まれるぞ。深い深い闇にな」
男は兵士に連れられて王の間から出る。
「ふむ、月の髪か」
「あの、月の髪って・・・」
「月の髪とは銀色の髪という意味です。この世界では珍しい色なんので噂になると思うのですが・・・」
王女は首を傾げる。
「なんにせよ、会ってみたいなその人に」
マサシたちはどんな人物なのか胸を踊らせている横で、クスィパスとパルノは何か良からぬことを考えていた。
マサシたちが出て行った後、二人はその銀髪の者のことについて話し合っていた。
「どう思います?お兄様」
「そうだな、この国に月の髪を持つ者がいたら把握してあるはずなのだが」
「そうですね。しかも国境を越えてきても気づくはずです」
「そいつは誰か知らないが、もしかしたらあの勇者たちより価値があるかもしれない」
クスィパスはそう言って、キノフとキノエを呼ぶ。
「「お呼びでしょか」」
「貴様らに命ずる。その月の髪、そして瞳が紅と空の色をした者を連れてこい。もちろん生きたままだ、抵抗するなら多少手荒にしても構わん」
キノフとキノエは頭を下げ、部屋を出て行くのをクスィパスとパルノはほくそ笑んだ。
彼らはまだ知らない。この道を選んだことにより、彼らの運命が大きく変わることを。
監督は新たな役者を探し始めた。他の何も知らない役者たちは戻れない所まで落ちていき、糸絡めとられていく。
監督はいつ気づくだろうか。この舞台のシナリオがおかしくなることを。
〔おまけ〕
「くちゅん」
「おい、大丈夫か?」
「ぱぱ風邪?」
「いや、誰かが噂したのかもしれない」
するとティナがチョイチョイと手招きをしたので、ヒカゲがしゃがむとコツンと額をくっつけた。
「おねつないね」
「そうだな。心配してくれてありがとな」
ヒカゲはティナの頭を優しく撫でた。ティナはニパッと笑い、釣られてヒカゲも少し微笑んだ。
「・・・あいつらの周りになんか舞ってるように見える俺はおかしくなったのか?」
そんなことを呟きながらも、フワフワしている雰囲気に癒されるフィロスだった。
昨日書けなくてすみませんm(_ _)m