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第十八幕 涙と母親

十八幕目だよ( ´ ▽ ` )ノ


今回はちょっと悲しいかもしれません


時間も夜になり、星々が様々な色に輝き、銀の月が登っている中、フィロスは困っていた。

「おら、もう泣き止めって」

先ほどヒカゲから預かったはいいが、フィロスは勿論“小さい子”の面倒なんてものは一度も見たことがない。フィロスどうすることも出来ずにため息をつくとガサリと枝が揺れ、見るヒカゲがいた。

「ヒカ、」

フィロスが喜んだのつかの間、フィロスの横を凄い勢いで青い風が横切りヒイロに突っ込んで行った。

「うわっ」

下を見ると透き通るような海の色で短くウェーブをしている髪が見えた。

「子供?」

「そうだよ。お前の背中にいた奴」

ヒカゲはしゃがんで、子供を抱き上げて近くに座りその子を自分の膝の上に座らせた。よく見ると耳には青いひれがあり、目には綺麗な黄色の星が描かれていて涙で歪んでいた。

「この子は一体?」

「そいつは海に住んでいるはずの〈人魚〉だ」

その人魚の女の子はポロポロとずっと涙を流している。ヒカゲはその子の頭を撫でて落ち着かせる。

しばらくして、少し落ち着きを戻したが女の子はヒカゲの服を離さなかった。

ちなみにフィロスは怖がらせるため少し離れた所にいる。


「大丈夫か?」

女の子がコクリと頷く。

「良かった。そうだな、まず俺の名前はヒカゲ・アカツキだ。君の名前は?」

「・・・ティナ」

「ティナか、いい名前だ」

女の子、ティナは手をぎゅっと握りながら話し始めた。

「ティナとままはね、海からでて〈せんとらる〉にいくところだったの。でも、あのこわい人たちがきて、ティナたちをつかまえようとしてはしってきたの。それではしるはこのなかに入ったの。でもさっきティナにはしってって、」

「待ってさっきだと」

「うん」

「それはどっちだ?」

ティナは左の方を指差した。ヒカゲは急いでティナを抱き抱えて、その方角に走った。

「おい何処に行くんだ!」

「まだこの子の親が生きてるかもしれない!」

フィロスは慌ててヒカゲの後を追いかけた。






馬車が見え、近くには一人の女性が倒れていた。

「まま‼︎」

ティナは急いでヒカゲから離れて二人に駆け寄った。

「まま、」

ティナが必死に呼びかけ、体を揺らす。ヒカゲは近づくとピクリと女性の体が揺れた。

「ティ、ナ、にげ、て」

ヒカゲはしゃがみこむ。

「ティナは無事だ。待ってくれ、今手当を・・・」

しかしヒカゲの手を掴み、引き寄せた。

「お願い、します。こんなこと、初めて会った、方に、頼むのも、変かと思いますが、ティナを、ティナを守って、下さい、」

「何言って、」

「私はもう、助かりません。無茶をして、しまい、ました。だからお願い、します。」

ヒカゲは母親の片手を握った。

「俺が悪い奴かもしれないぞ?」

「いいえ、あなたは優しい。そう、目を見れば、わかります。」

「まま、」

女性はティナの方を向く。

「ティナ、ママはね、お空に行くの」

「おそら?」

「そうよ。姿は見えないけど、ママはあなたをずっと見守ってるわ」

「消えちゃうの?」

「それは違うぞ、ティナ。ママはなティナの心にいる。だから、消えたりしない」

「ほんとう?」

「えぇ、本当よ」

そして母親はもう一度ヒカゲの方を向く。

「この子の父親は、この子が幼い頃に、なくなり、父親を知りません。だからこの子に世界を、教えてほしい、のです。私はこの子に教えることは、出来ません、でした」

ゴホゴホと血を吐く女性。

「まま!」

「はぁ、はぁ、ティナ。この方に、たくさん、教えてもらいなさい。この方はあなたに大切な、ことをたくさん教えてくれるはず、ですから」

ヒカゲは上半身を抱き抱えて、聞く。

「あなたの名は?」

「アーナ、といいます」

「アーナ、約束しよう。この子のことは任せろ。必ず守り、たくさんの世界を教えてやる。だからアーナは見守っていてくれ。」

アーナはヒカゲの約束に嬉しそうに涙を流し、静かに目を閉じた。





ヒカゲはそのあと、フィロスに手伝ってもらい、アーナを木の近くに埋めて花を置いた。ティナはヒカゲの足にしがみつき聞いた。

「ままは行っちゃったの?」

「あぁ。お空に行ってお星様になったんだ」

空を見上げると、流れ星が通り過ぎた。

「ティナ」

ティナはヒカゲを見上げる。

「俺はこの世界のことをたくさん知りたくて旅をするんだ」

「たび?」

「あぁ、世界を自分の足で歩いて見て回るんだ。だけど俺といると危ないことがたくさんあるかもしれない。しかも俺は君のママを助けることができなかった」

ヒカゲが悲しそうにティナを見る。

「ままね言ってたの。いろんなひとのためにとってもがんばったり、かなしんだり、おこったりするひとはやさしいひとなんだって!」

そう言ってティナはヒカゲに抱きついた。

「ティナもぱぱについていく!」


「「は?」」

ティナが言った言葉に固まるヒカゲとフィロス。

「ティナもぱぱといっしょにせかいをみたい!」

「待てティナ。俺はパパではないぞ」

「ぱぱなの!」

「いや、少し待て」

するとまたティナな目が潤む。

「だめ、なの?」

「うっ」

ポンッと肩を叩かれ、見るとフィロスが諦めろと言われたような顔をしていてイラッときたのでティナに気づかれないように腹を殴った。

「うしろのおにいさんどうしたの?」

「少し疲れたらしい。そうだ、こいつはフィロス。旅を一緒にしている俺の家族だ」

するとティナはヒカゲとフィロスの間に入り

「ぱぱはティナのだもん!」

と叫んだ。





ヒカゲは新たな家族を見つけ、嬉しそうに笑った。





「そういや、あいつらはどうしたんだ?」

「あぁ、あいつらは気絶さして自分たちが持っていた縄で木に縛っといた」

「そうか、なら良い」



良かった。ヒカゲにかわいい家族ができて。


ヒカゲをパパって呼ばせたかっただけです

すみませんm(_ _)m

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