第十六幕 隠されたものと外へ
十六幕目です。
十五幕目がちょっと微妙だったかもしれません。
すみませんm(_ _)m
扉の向こうに行くともう一つ部屋があり、その部屋の中央に大きな細長い木の箱が置いてあった。二人はその木箱に近づくと木箱がガダッ、と揺れた。
「これがあの子達の言っていた“隠されたなにか”が入っているのか」
「生き物か」
ヒカゲは木箱の側にしゃがみ蓋に触れると、蓋が吹っ飛んだ。
「開けるだけだぜ。あんま力入れんな」
「いや、触っただけだ。何もしてない」
ヒカゲが少し離れるとカタカタと箱が揺れ、中から銀の光が飛び出してヒカゲの前に止まった。
ヒカゲがその光を掴むと形を変えていき、光は一本の杖の様なものに変わった。
それは上が銀色の三日月の形をしており、三日月の上には青色のひし形の宝石がぶら下がり、月の背には歯車の外側を思わせる部品がつき、杖の一番下の部分にもう一つ赤いひし形の長い宝石が埋め込まれていた。
「杖か?だがあいにく俺は魔法が使えない」
ヒカゲが杖を眺めている間、フィロスは箱の中を覗いた。そこには四つ折りにされている紙も入っていた。それを取り出し開く。
「この武器の使い方ぁ?」
ヒカゲもフィロスの声を聞き、覗きこむ。
『この武器について
まず一つ、この武器は魔法を使う杖ではありません。何故杖のような形をしているかと言うと、ただの遊び心と私の趣味です。だってその方が敵が間違えてくれるから、油断します。(あと、面白いし)
二つ、この武器の名前は“銀月鎖”と言います。この武器は普通に殴る方の杖として使えますが、本来の使い方は杖を持ち、月の方を上に振り上げる。そうすることにより、わかると思います。あとは自分がしたいように頭のなかで念じるだけ。簡単・・・かも。
三つ、ここが一番大事です。
私はこの場所に、私が作った武器を隠しました。なぜならこの武器は扱いが難しく、また素材にこの世界で一番貴重なあるものを使い、狙われていたからです。
本当は誰かに使って欲しかったけど、この子をただの殺すためだけの道具にして欲しくなかった。
だから、本来ならば手が届くことのないこの狭間に遺跡を作り、封印した。
しかしここに来られたということは、彼女たちがあなたを認めたということ。
ならこの子を託すにふさわしい方が来たのだと私は思う。
どうか、この子を大切にしてください。
殺すためだけに使わないで下さい。
武器職人 アスレ・テルージュ』
「アスレ・テルージュだと?」
「知ってるのか?」
「あぁ、って言っても噂程度だがな。アスレ・テルージュは武器に息を吹き込むことができると言われているほどスゲェ武器商人だったが、ある日を境に突然いなくなった。今ではもうそいつが作った武器はこの世界にあるかないかって言われる程だ。まさかこの目で見ることができるとはな」
ヒカゲはその武器を見て言われた通り振り上げた。
「お、続きになんか書いてあるぞ」
『追伸 : この武器を初めて使うなら広いところがいいよ。刺さるから』
ザグッ
月の部分が取れて天井に刺さり、その月の部分と持っている棒が鎖で繋がっていた。
「どうやらこの鎖が本来の武器らしいぞ」
ヒカゲはフィロスに話しかけたが、フィロスは脱力して地面に降りた。
「早く戻せ」
フィロスはもうないか、紙を見ながら歩いたとき、
ガゴンッ ゴゴゴ
「「・・・」」
『おまけの追伸
最後に水が流れる罠仕掛けたからね(笑)
頑張って』
「フィロス」
「何だ?」
「これからは必要なとき以外降りるなよ」
「了解」
「それじゃ、急いであの階段を登るぞ」
こうしてフィロスとヒカゲの初めての旅と遺跡攻略は無事(?)に終わった。
「このアスレ・テルージュは遊ぶことが好きなんだな」
「そいつは完全におちょくってるだけだ」
「きた奴が楽しくなるようにしてるんだよ」
「・・・」
このあと、しばらくフィロスは拗ねた。
今回は主人公が武器を手に入れました。