第十五幕 BOSSと生きること
十五幕目。
バトル書くの苦手です。わかりにくかったらすみませんm(_ _)m
「どうやらここが一番上らしいぜ?」
二人が罠の階から抜けて五階まで来た目の前に今まであった階の入り口にはなかった大きな扉が閉まっていた。
「ここが最上階か。確かここにはBOSSがいたはず。それとそのBOSSが守っている“なにか”もここにあるはず」
ヒカゲはゆっくりと扉に手を置き、フィロスはそれを見守る。ヒカゲはフィロスの方を振り向いた。
「大丈夫か?」
「あぁ、いつでもいいぜ」
「行くぞ」
ヒカゲは重く、威圧的な扉を両手で強く押し開けた。
そこにはゴブリンに似た容姿をした背丈が5メートル以上ある巨大な魔物が突っ立っていて、手にはその巨体に合う棍棒を担いでいた。
「大きいな」
「そいつはオーガだ。気をつけろ、そいつは何も考えずに自分の力を振り回すから攻撃をまともに受けるとマズイぞ。しかも体に似合わず意外と早い」
「分かった」
ヒカゲが前を向いた時、オーガはもう腕を上にあげ、振り下ろそうとしていた。余りの速さにヒカゲは動くことができなかった。
「危ねぇ!」
フィロスはとっさにヒカゲの腕を思いっきり引っ張った。
ドゴンッ
「びっくりした。本当にびっくりした。まさかこんなに速いと思ってなかった」
ヒカゲは自分がいた所を見ると棍棒が振り下ろされ、さっき開いた石の扉が粉々に砕け散っていた。オーガはゆっくりと棍棒を持ち上げ、また肩に担いでこちらを向いた。
「だから言ったろ、速いって」
「助かった、ありがとう」
「いけるか?」
「ああ、だが何か弱点があるのか?」
「攻撃あるのみだ」
「なら俺が攻撃するから、援護してもらえるか?」
「任せとけ」
ヒカゲは頷き、走り出した。
ヒカゲが真正面から来ると、オーガは直ぐに手で掴もうとする。それを体を捻って避け、オーガの腕に乗り走る。オーガはもう片方に持っていた棍棒を離し、捕まえようとしてくるが、
「《氷凍》」
フィロスが魔法でオーガの右腕を凍らす。氷を壊そうとしているうちに、ヒカゲはオーガの肩まで走り、オーガの顎を思いっきり殴った。オーガは頭を揺さぶられ倒れこむ。フィロスは微風を使い、オーガが倒れる前に浮かせて地面まで運ぶ。
「取り敢えず顎を殴ったんだが」
「油断するな」
オーガは頭を揺さぶられ意識が朦朧としていたが、横にあった棍棒を掴んで立ち上がり本気で投げつけた。ヒカゲもフィロスもまさか投げてくるなんてことをオーガが考えるなんて思わず、ヒカゲは腕をクロスして防御したが、オーガが武器として使い、純粋な力のみで戦うオーガの力もさらに加わって投げられた棍棒をヒカゲは受け止められずに吹き飛ばされ、壁に当たり土埃が舞う。
「ヒカゲ⁉︎」
フィロスが駆け寄ろうとするが、
【ガグォォォーーーー‼︎‼︎‼︎】
オーガが吼えて意識を覚醒させ、凍らされた腕に力をいれて砕いた。そして床を抉り取り、その瓦礫をフィロスに向かって投げつけた。
「チッ、《強風壁》!」
フィロスは風でバリアを作り防ぐが、オーガは瓦礫を投げることを止めず、フィロスはヒカゲの近くに行くことができない。
しかし後ろからガコッ パラパラと音が聞こえ、音の方を見ると壁に刺さっていた棍棒が動き、ヒカゲが棍棒を抱えていた。ヒカゲは服がボロボロで所々汚れていた。
「無事か?」
「大丈夫だ。怪我はしていない。少し強すぎたが、ギリギリで抑えることができた」
するとヒカゲはオーガと棍棒を交互に見た。
(この棍棒、持ち手が持ちやすいように細くなっている。しかもオーガの握力にも耐えられているなら・・・)
ヒカゲは棍棒をしっかり両手で持ち上げる。
「フィロス!」
「何だ、いま手が離せねぇんだよ‼︎」
「俺が合図したらそこをどけ!」
「はぁ?何言って、」
「いいから!」
ヒカゲが真剣な表情で叫んでいたので、フィロスは頷いて前を向く。オーガは投げるものがなくなったとわかると、こちら側に突進してきた。フィロスは魔法を止め、オーガを見据える。
「今だ、上にどけ!」
フィロスはすぐに上に上がると、後ろからすごい勢いて棍棒の持ち手の部分がオーガの方へ飛んでいった。またオーガも突進しようと思いっきり足に力を入れたので、その棍棒が迫ってきても止まることができなかった。
グザリッ
【ギャガガガーーーーーー‼︎‼︎‼︎】
棍棒がオーガの体を貫き、悲鳴を上げ、そのまま壁に激突し、瓦礫に埋もれて倒れていった。
「スゲェ」
フィロスはまさかヒカゲがあの棍棒を腕力、脚力だけを使って投げられたことに驚いていた。
「よく投げられたな」
「・・・大変だったがな」
フィロスは下におり、ヒカゲを支える。
「大丈夫か?まだ無茶するな」
「あぁ、こんなすごいバトルをしたから疲れた。それに」
ヒカゲはオーガを見る。
「ちょっと堪えるな。命を奪うということは」
「・・・」
「だけど大丈夫だ。生きるためにこれからもしなければいけないこともあるんだから」
フィロスは黙って、ヒカゲの頭を不器用ながら撫でた。
それは落ち込んだ弟を慰めている兄のようだった。
「さぁ、あそこに扉が現れた。多分あっちに出口があるはずだ」
ヒカゲが先に歩き、フィロスは浮きながら後を追った。
命の重みは難しいですね。