第十三幕 戦い方と成長
十三幕目です。
今回は初めて戦闘を軽く書きました。
変だったらすみません。
二階に上がった二人が見たのは三体の水色の狼のような姿をしている魔物だった。
「そいつはウェントウルフ。風を手足に纏わせ攻撃してくる。スピードがとにかく早いぞ」
そういったフィロスの前にヒカゲが出る。
「今回は手を出さないでくれ」
「あ?」
「まだ、力加減がわからないから、早く力のコツを掴みたい。このままじゃ生活に支障をきたすしな。」
フィロスはヒカゲの気持ちを汲み取り、手を引っ込めた。
ヒカゲは三匹のウェントウルフと間合いをとる。暫く見つめあっていると、一匹のウェントウルフがヒカゲに向かって飛びかかってきた。ヒカゲは瞬時に足を上に思いっきりあげた。ウェントウルフは蹴り上げられ、頭が天井に突き刺さる。
二匹のウェントウルフは数歩後ずさり、距離をとる。それから二匹は風を纏い、一匹が風を使い瞬く間にヒカゲの背後に周り、二匹一気に首に噛みつこうとした時はもうヒカゲは少しずれて、横から首を掴み床に叩きつけた。二匹は脳を揺さぶられそれからそのまま動かなくなった。
「なるほど、この力の使い方が分かってきた。」
ヒカゲがフィロスの方へ振り返る。
「魔法のようなものらしい。自分が力の使い方を願い、望めばいいんだ。この世界では自分の願いが力になるんだから」
フィロスはヒカゲの戦いを呆然と見ていた。
前にも言った通り、フィロスは強い魔力を持つ精霊だ。魔法を使わなくてもウェントウルフのスピードくらいなら簡単に目で追えていた。しかし一匹目のウェントウルフは襲いかかった時はすでに天井に刺さっており、直ぐに二匹が風を纏い、前後から襲いかかったときには咄嗟に手を出そうとしたがそれよりも早く真ん中に居たはずのヒカゲが、すこし横にずれた所に立っていて、二匹の首根っこを掴んで地に沈めていた。
余りの早さに、目で追うことができなかったフィロス。しかもヒカゲは直ぐになんとなくコツを掴み、予想以上の急成長をしていた。
(コイツ、身体能力だけで魔法より早く動いて戦いやがった。それだけじゃねぇ、今の一瞬の戦いで力の使い方を身につけた。俺の想像を遥かに超えてコイツは成長している!)
フィロスは感心しながらヒカゲに近づいていった。
「コツは掴めたか?」
「まだなんとなくだが、さっきはコントロール出来た気がする」
フィロスは頷くとウェントウルフに近づき、懐から小さなナイフを取り出して軽く触れた。するとウェントウルフが消えて、そこには毛皮と肉と牙が残った。
「それは?」
「これは素材切断ナイフだ。その生き物の素材や食料となる所を自動的に魔法で分けることができる一般的な道具だ」
フィロスはそれらを腰に着けていたポーチに入れた。
「これらは買い手に売ることが出来る。簡単なお金儲けだ。さっきは床ごといっちまったからできなかったがな」
フィロスは残りの二匹も同じようにして、分けていった。
「そういやテメエ、Levelどうなんだ?少しくらいあがってんだろ?」
ヒカゲはそういえばと、自分のステータスを見た。
《ステータス》
ヒカゲ・アカツキ
Level : 15
体力 : S
魔力 : 透明
防御 : A
スピード : S
属性 : 無
職業 : 冒険者、旅人、真眼使い
能力 : 鑑定眼
異名 : 元・異世界者、巻き込まれた者、生き返りし者、優しき心、精霊契約者、妖精フェアリーの加護を受けし者、不老者、見透かす者、真実を見破る者
「真眼使い⁇」
新たな力の予感。
何かはお楽しみ。