第十一幕 別れと遺跡へ
十一幕目です!
神殿→遺跡に変えました。
そのほうがなんか古代って感じがします。
ヒカゲは妖精たちとフィロスが看病してくれたため、ゆっくりと傷を癒していき、十日間で傷は完璧に塞がった。
「古傷や傷痕は残っちまったが、まぁ大丈夫だろう」
ヒカゲがタンクトップを着ると、妖精たちが集まってきた。
「もう行っちゃうの?」
「寂しいね」
「会えないの?」
「イヤだな」
ヒカゲは彼女たちを見て、話し始めた。
「今までは、こっそり貰った薬や包帯を自分で塗ったり巻いたりしてた。だけど、今はお前達やフィロスが一生懸命見てくれていて、とても嬉しかった」
ヒカゲは本当に嬉しそうに微笑み、
「ありがとう。助けてくれて。一緒にいてくれて。家族のように接してくれて。だから、また会いに来る。ここに戻ってくる」
「絶対?」
「ああ、必ず会える」
妖精たちは目に涙を堪えながらヒカゲに向かって笑う。
「じゃあ待ってる」
「また来るんでしょ」
「だから待ってる」
「このあなたが始まった場所で、あなたが来る日を」
彼女たちはヒカゲとフィロスを遺跡まで案内した。森を少し歩くと妖精たちがフィロスに近づき、ヒカゲが聞こえないように話した。
「彼のことお願いね」
「無茶させないでね」
「絶対だよ」
「彼は優しいくて、何かと巻き込まれそうだから」
「約束よ」
フィロスは妖精たちの心配ように、少し笑った。
本来、妖精とは気まぐれな生き物だ。
例え誰が傷ついても、余り気にしない。自分たちに関わらなければ放っておく。
そんな彼女たちがこの狭間に彼を入れて、助けて、あまつさえ心配している。
フィロスは彼女たちの心配した顔を指で軽く弾く。
「当たり前だ。あいつは俺の契約者で家族になったんだからな」
妖精たちは満足そうに笑った。
「ここが遺跡か」
そこには石のレンガを組み合わせ、その周りを蔓や苔がおおい、正しく某夢の国にあるあの光るドクロのアトラクションに似ていた。
彼女たちは扉のほうに寄っていって、軽く触れるとゴゴゴと石の扉が開いた。
「私たちの案内はここまで」
「一番上には何かを守るBOSSと外に出る入り口がある」
「大丈夫。外に繋がる場所はあの国から離れたどこか」
「だけど気をつけて。まだあの国から出ただけで人間国の国境は自分で越えなきゃいけないから」
ヒカゲは彼女たちの方を振り返った。
「何から何までありがとう」
彼女たちはフィロスの方を向く。
「約束守ってね」
フィロスは振り返らず、手をふる。
二人が遺跡に入るとゆっくりと扉が閉まっていく。彼女たちは二人の姿が見えなくなるまで見送っていた。
「行っちゃったね」
「寂しくなるね」
「大丈夫だよ」
「だってあの子言ってたじゃない」
「うん。戻ってくるって言ってた」
「じゃあ待ってよう」
「あの子のこと、今度あの方に教えてあげよう」
「そうだね。きっと気にいってくれるよ」
「あの優しく、暖かな願いを持つあの子を」
妖精たちはそう言って森の中へと消えていった。
今回は妖精たちがメインになりました。