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イベントは突然来る!

目を止めて頂きありがとうございます。

作者は説明が足りてない気がするんですが、何が足らないのか解ってません。足りてるのだろうか?

 まだ日も昇りきらない空白む朝、街を走るセイジの姿があった。



 早朝から準備運動、ランニング、柔軟体操をするのが昔から日課になっている。俺にとっては環境が変わっても体力や肉体は毎日の積み重ねが大切だろうと思っている。

 ちなみに、ゲームとしてもトレーニングというシステムがある。ユーザーが毎日ログインする様に一日一回トレーニングをしないとステータスが下がっていくシステムだ。

 そんなゲームしたくない?

 逆にこれの良さはやればやるほどステータスは上がる事だ。

 トレーニングは八時間毎に行える様になっている、毎日三回こなしていけばレベルは低いがステータスは殆ど最高値なんて事も出来るらしい。きっと何ヵ月も掛かるだろうけど。

 運動を終え宿に戻って汗を流して朝食を食べ終わる頃にはもう外も明るくなって8時を過ぎれば街にも人が多くなっている。

 今日は試験の日である。


「いってらっしゃ~い」


 ミルさんに見送られ宿を後にする。

 大金相当を持っているとはいえ一月(60日)金貨十枚、1日大銀貨二枚で週まとめで払うと金貨一枚に負けているらしい。

 単純計算で一年で金貨60枚だろう、その分稼がないといけないのだ。

 まだゆとりは有るのだが。


 宿を出てハンターギルドのある南に向かったがまだギルド内が慌ただしかった為少し散策する事にした。

 その訳は、昨日から街の領主つまりアルファスさんがゴブリン集団の討伐にハンターの募集を始めたからだ。


 〈ゴブリン〉…ファンタジー系のゲーム等で定番の邪妖精や小鬼、亜人等と呼ばれる生物だ。

 この世界のゴブリンは鬼系だ。体長1m程で緑色の肌に醜い容姿が特徴で、それほど強い魔物ではない、基本的に五匹以上で群れて行動する上、好戦的な魔物だがEランク相当の魔物だ。

 単体の場合はFランクくらいらしい。

 今回の集団は少なくとも五百以上と目され、街の騎士や兵士の多数が南方にオーク討伐に出て居ない為にハンターギルドに募集がきたとの事。

 残念ながら俺はFランクの為対象外となっている。


 ハンターギルドより南に暫く向かうと脇の路地には人が目立ち始める、といっても路地を歩いてる訳ではない、隅に座り込んでたり布切れを敷いて寝ている人達だ。

 貧民や不労者、賊崩れにハンター崩れ、俗にスラムと言われる一廓に足を踏み入れた俺は急に鳴り響いた警報に体を強張らせると周囲を見るが辺りの人達に変化は視られない。


 あれ?回りの人達には聞こえてない?


 と、その瞬間、後頭部に強烈な衝撃を受け崩れるように倒れるとそのまま意識を手放した。












────────────────





 ゆっくりと覚醒する意識の中、地に足がつかない感覚と拘束感を感じて一瞬考えを巡らし気を失っていた事に気づく。


 そうか、殴られて気絶したのか…

 今は吊るされてると…

 時間は、13時か…四時間くらい経ってるな。


 俺はステータスで時間を確認した後、周囲を見渡すと其処は森の様だった、鬱蒼とした木々が立ち並び地面には草が無節操に生えている。どうやら俺はロープで縛られ脇の木から吊るされてる様だ、更に口には猿轡を噛まされている。

 そして斜め前に人影がある。


 彼奴らが犯人か?と思いよく見るとしゃがむ三人の足元に俺の服や装備が落ちている、それを見て初めて自分が素っ裸である事に気づいた。


「うー、んんう~(おまえら、服返せ)」


「あぁ?気付いたのか」

「だな、猿轡してっからな~に言ってっかわっかんね~けどな」

「たぶん、なんだお前らとか言ってんじゃない?」


 俺の一言で目を覚ました事に気付いたハンター風の三人は口々に言い合ってニヤニヤした顔つきをして俺に近づいて来る。

 三人は揃って革の装備をしているが男Aは癖のある緑髪に長剣を持った優男といった感じで、男Bは短い茶髪に槍を持ったがっしりした体格の様だ、もう1人の女は長い赤髪を後ろで纏めて杖を持ったボンッキュッボンな感じだ。

 三人の内の一人、男Aが口を開いた。


「な~小僧、金持ちなんだよな?貧乏な俺達にくれね?おまえの荷物漁っても銀貨三枚しかなかったから、どっかに隠してんだろ」


「う~うんっん、んっんうううん~ん(誰がやるか、さっさと服返せ)」


 俺が男Aを睨むと男はニヤケ面をしかめた瞬間、セイジの腹を殴り付けた。


「あぁ?、睨んでんじゃね~よ。おまえ、立場解ってんのか?何とか言えよ!」

「うう、う~」


 くそが、自分達で猿轡しときながら喋れとか言ってコイツらバカなんだろうか、そういえば高校や中学にもこういう輩が居たな。


 俺はそう思いながら何とか逃げる事が出来ないか辺りを見回す。


「まぁ、待てって。猿轡してるから喋れないんだ」

「アハハ、カルマばっかだ~」

「うるせえレール」


 女がカルマと呼ぶ男Aを男Bが諭すとレールと呼ばれる女がカルマを冷やかす。

 男Bが俺に近づき猿轡を外すと再び聞いてくる。


「少年、状況は解るな?おまえは此処で金を出すか、死ぬしかない」


「それで?金を出した後、俺を殺さない保証は無いだろう?」

「あぁ?まだ自分の立場が解ってない様だな」


 男Bの言葉に俺が反論するとカルマが再び俺を威圧してくる。


 まぁ、理解はしているさ、流石に10日もこの世界にいるんだ、此処では人を殺す事を躊躇うヤツは少ない。人が死ぬ事や人を殺す事は当たり前、もしくは日常的と言える環境なんだ。


「ポーチを返せ。そうすれば金をやる」


「最初からそういえばいいんだよ!レール、ポーチを返してやれ」

「ハイハイ」


 俺の言葉にカルマがレールに指示するとレールがポーチを拾い上げセイジの元に来てセイジの腰に巻く。


 男にされるよりはいいんだけど…

 足下に穴が空いてるから完全に抱き付かれる感じになってるのがいかん。


 この世界に来てからそういう事をしてない俺がレールの行為に変な考えをしていると


「終ったよ。アハハ」


「あぁ?なんだおまえレールに欲情してんのかよ」


 俺にポーチベルトを巻き終えたレールが笑いながら少し離れるとカルマが俺の下半身を見て冷やかしてきた。


「アハハ、でもカルマよりデカイと思うよ」

「俺のを見たことないおまえが言っても信憑性無いんだよ」


 二人のやり取りを聞き流しながら俺はアイテム欄を表示すると今朝の状態と変わらない事を確認する。


 状況を考えるとポーチは俺専用みたいだな。

 さて、少しくらい意趣返ししないと気が収まらないな。


「白金貨」


 俺が呟くと手の内に小銭入れ程度の布袋が現れる。

 徐に手を開くと布袋は俺の頭に落ちてヂャリっと音を立てた後、足下の暗闇に吸い込まれる様に落ちていった。

 それを見ていた男Bが叫ぶ。


「あ!今の財布じゃね~のか?」

「何!?どこだ」


 それを聞いたカルマが辺りを見渡すがそれらしい物は見当たらない。


「何も見当たらないぞ。ラダ」

「こいつの足下の穴に落ちていったんだ」

「マジかよ!

 でも、縛られたままで取り出す事出来ないぞ。それにあのポーチは俺達も調べたが空っぽだっただろ?」


 カルマがラダと呼ぶ男Bにさっきまで物色していた荷物の事を確認する。

 ラダは少し思案し口を開く。


「おそらくだが、空間収納の魔法か魔術の類いだと思う」


「魔法か、厄介だな」

「この手の魔法は確か使用者が死ぬと消失して中身をぶちまける、という話だったが…」


「じゃあ、殺すか」

「待って待ってよ。それで中身がそのままだったらどうするの?」


 三人はなんのかんのと言い合い始めた。

 程無くして、カルマは俺に言ってきた。


「じれってぇ!おい、ガキ!

 王金貨を出しやがれ、おまえが大量に持っていることは知ってんだ」


「それで?お前達はそれに見合う対価をくれるのか?」


「対価だぁ?…

 いいぜ、お前の命が対価だ!

 おとなしく出せば殺さないでやる。

 出さないなら殺してどうなるか確かめてやる」


 そう言うとカルマは腰に下げた剣を抜く。


 まぁそうなるよな。

 それなりの判断くらいできる様だ。

 どうしょうもないな、助けると言うがどうせこのまま放置だろう、かといって渡さないと確実に死ぬな。




「わかった。

 おとなしく渡してやる、動かせないから頭に手を乗せろ」


「ラダ、受け取れ」


 言われたラダが俺の頭に手を乗せた。俺が呟くと王金貨が入った布袋が手の内に現れ、俺が手を開くと王金貨が入った布袋はラダに渡る。ラダは中身を確かめカルマに渡した。


「すげぇな。何枚あるんだ?間違いなく王金貨だ!」


 カルマは中を見て驚喜する。


「じゃあ帰るか、カルマ」

「ああ、っとその前にこいつを」


 ラダに促されたカルマは徐に俺が縛られているロープを剣で切り裂いた。


「てっめぇぇぇ…」

「生き残るか、死ぬかはお前次第だ。

 殺しはしないが、がんばれよ」


 俺がカルマを睨むと、カルマは俺を侮蔑の眼差しで見下しながらそう言った。


 次の瞬間、俺はそのまま足下の暗闇に吸い込まれる様に落ちていった。




────────────────



 一方、セイジが気絶していた頃の街のハンターギルド。

 いつもより混雑していた朝を乗り越えた頃。


「やぁ、カエデ。来たぞ」


「いらっしゃい、ルグ。まだセイジくんは来てないからゆっくりしてて」


「なんだ、まだ来てなかったのか」


 受付に一番近いテーブルに腰掛けながらルグリスはぼやく。

 それを横目にカエデは用紙を取り出し記入を始めた。


 暫くそれを眺めていたルグリスだったが何を思ったか立ち上がると


「カエデ。修練場使っていいんだよな?」


「?いいわよ。今は誰もいないし」


「先にちょっと体慣らしとくぜ。セイジが来たら教えてくれ」


「わかったわ」


 ルグリスはカエデの返事を聞くと奥に姿を消して行った。


 更に一時間程が過ぎ。

 流石にカエデもおかしいと思い始めた頃。ギルドの奥、修練場からルグリスが顔を出して問いかけてきた。


「カエデ。セイジはまだ来ないのか?」


「ええ、流石に遅すぎると思うわ」


「んじゃ、ちょっとミルさんの所まで見に行ってくら」


「そうね。お願いするわ」


 ルグリスが手を振ってギルドを出ていくが、この更に30分くらい後にセイジが居なくなった事を彼らは知ることになる。

読んで頂けた事にありがとうございました。


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