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イベント発生!的な?


「さて、ファイターのスキルはどれがいいかな…

 まず〔片手剣熟練〕は確実として、〔ソードウェイブ〕か〔ソードダンス〕がいいよな?

 両方を2レベル取って後で考えようかな」


 チュートリアルを終了して脇腹の傷みが無くなった所で上がったレベル分のスキルを取得する。

 …と、


「きゃ~~~…」


 どこか遠くから微かに悲鳴が聞こえてきた。


「悲鳴だな…

 なんだろ、テンプレ的だな。

 いっそ無視してみるのもいいかな…」


 俺は聞こえてきた悲鳴をゲーム序盤のイベントとしてお約束ともいえるお助けイベントだろうと判断する。

 しかし、現在地が解らない(エリアマップはエリア外と表示され、ワールドマップで辛うじて西に向かえば街だろうと解る)俺にとって出来る事はやった方がいいだろう。

 声が聞こえた方に駆け出し草原の端の森の脇、轍のある街道らしき場所を見ると一台の馬車があり囲む様に二十人くらいの人垣が見えるし応戦してる人もいる。エリアマップも表示され馬車の周りの人達がCPU(以降NPC)の緑色、それを囲む一団が敵CPU(以降CPU)の赤色でエリアマップに表示されている。

 どうやら馬車を賊が襲っているみたいだ。

 何やら言い合ってる様だが何を言っているのかは解らない。

 装備を確認して、盗賊の一人の背中を斬りつける。


「手助けしてやる!!

 4、5人は任せろ、そっちは何とかしろ!!」


「!助かる、盗賊だ気を付けろ!!」


 返事は返さず続けて二人目の首を薙ぐと血飛沫が舞い押される様に倒れる、漸く盗賊達に動揺が走り何事か喋りながら二人が向かって来る。


「《ソードウェイブ》!!」


 衝撃波を発動して向かって来る一人を攻撃し


「《ソードダンス》!!」


 もう一人が斬りかかって来る前にスキルを使用してその攻撃を避けると持っている剣が盗賊の脇腹に引かれる様に突き刺さる。

 こんな感じなのかと思いながら剣を引き抜くと衝撃波を受けたヤツが向かって来るのが視界に入る。

 脇腹を刺したヤツの襟首を掴んで向かって来るヤツに向かって投擲すると二人がぶつかり縺れ合う様に倒れる。

 続けてその脇に立っている盗賊に走り寄り斬りつけ、そのまま縺れ合っている二人に当たる様に剣を薙ぐ、二人のうち上になっている一人の頭がかち割れ辺りに二人分の鮮血が飛び散ると縺れ合っていたもう一人の顔が真っ赤に染まる。

 その時、エリアマップで俺の背後に盗賊がいる事に気付き振り返りながら剣を振る、剣を振りかぶっていた盗賊の腹が裂け蹲る様に倒れる。

 頭が割れた盗賊の下にいる残った一人は恐慌状態なのかヒーヒー言って這い出ようとしてるが全く抜け出せなさそうだ。

 向かって来る賊がいなくなったところで残った一団に声を掛ける。


「大丈夫だったですか?」


「あぁ、助かった、ありがとう」


「一匹残ったけど、どうしますか?

 見たくも無いなら始末しますよ」


「そいつは縛り上げて街まで連れていく、住処なんかを喋らせないといけないからな」


 街と聞いて進展したことにホッとすると共に、

 NPCである人物と普通に会話が成立する事を不思議に思う。


「Arre your all riht?(貴方は大丈夫ですか?)」


 馬車の脇から現れた人影が俺に話し掛けてきたが理解できない為、先程話した男に目を向けると


「あなたは大丈夫ですか?…って言ってるんだ」


「あぁ…大丈夫でしたよ」


 教えて貰いその人物に微笑みながら返事をした。

 声の感じから若い女性と思われるが目深に被ったフードでよく解らない。


「おまえ鬼人族なんだろ?何でこんな所に居たんだ?」


「え?…いやいや、一応種族は人族なんですけど?」


「そうなのか?

 その格好で鬼人語を喋ってたら鬼人族と思うぞ。

 人族語は話せないのか?」


「人族語?鬼人語?

 普通に日本語で話してるんですが?…」


 男の言葉に違和感を覚える、どうも変だ。

 普通ゲームで複数言語は使わない、言語は統一しないとユーザー側の知識を求められる事となりどうしても受け入れられづらくなるからだ。

 

「え~っと、ちなみに言葉ってその二種類だけですか?」


「そんなわけ無いだろ、言葉ってのはその種族の個性、言えば種族の歴史とも言えるんだから種族の数だけ言葉も在るのが普通だろ?

 俺が知ってるのは七種だな、俺が喋れるのは三種だけだが」


 俺が言語が多数存在する事の不自然さに頭を悩ませてる間に謎人物と男が話をした後、俺に向かって


「とりあえず、街まで俺達とくるか?

 俺達は西のイーストレイルまで帰る途中なんだが」


「あ、はい。

 そうですね、連れて行ってくれると助かります」


「わかった。

 助けて貰ったんだから馬車に乗ってていいぜ!

 俺はルグリスってんだ、よろしくな」


「ありがとうございます。

 俺はセイジって言います、よろしくお願いします」


「おぉ!


 depert litlle byt letar(少ししたら出発する)」


「「「yes leader!!(了解しました)」」」


 ルグリスが他の人に号令を掛けるのを見ると集団のリーダーであると理解できるが、謎人物がどんな位置にいる人物か解らない(一人だけ馬車に乗ってるんだから偉いんだろうなとは思う)上に言葉が通じないという状況の為、馬車の中で二人っきりになると沈黙したまま馬車は西へ向かって進み出す。

 話す事が無いのでいろいろ考えてしまう。

 言語の事を考えると現実感があるが視界に映るステータス表示はゲーム感がある。

 現実ならば先程の盗賊達を殺した事は、と考えると不安感とも罪悪感とも違う感情とともに胃がせりあがる感覚に襲われ馬車から飛び出すと脇の草原で吐き出してしまう。

 吐き出した吐瀉物を見て更に吐き出す事になった。

 現実感に襲われ蒼白になってるとルグリスが声を掛けて来た。


「おい、大丈夫か?

 気分が悪いのか?」


「あ、いえ…

 ちょっと馬車で酔ってしまったみたいです。

 此処からは歩いて行きますよ」


「…そうか、わかった。

 馬車の後ろが日陰だからな、俺も近くに居ると思う何かあったら声を掛けろ」


「はい、ありがとうございます」


 馬車の後ろを歩き始めると程なくしてルグリスが再び近寄ってくる。


「ところで、街に着いたらどうするんだ?

 当てはあるのか?

 人族語が解らないと会話も出来ないぜ」


「そうですね…

 当ては無いです、言語を学べるなら何とかなると思いますが…」


「そうだな…

 鬼人語を使えるヤツを二人は紹介出来るんだが、俺も街に着いたら色々仕事があるからな…

 そうだ!came'n lurke!」


 声を上げて呼び手で集団の一人を呼ぶと何やら話をした後、俺に聞いて来た。


「今日は宿を紹介するから、明日の朝改めて紹介するって事でどうだ?」


「いいんですか?何か仏頂面で戻って行きましたよ、あの人」


「いいんだよ」


「そうなんですか、ならお言葉に甘えます。

 よろしくお願いします」


「助けて貰ったお礼だと思ってくれ」


 そう言うとルグリスも戻って行く。

 それから一時間くらい歩いただろうか柵の様な囲いを抜けると麦畑が視界いっぱいに広がり遠くに壁と左右の森が見える。

 麦畑の中を進んで行くと徐々に街壁と思われる壁に近づく、そんなに高くない街壁は3Mくらいだろうか攻めて来られたらすぐに乗り越えられそうだな、等考えながら兵士の様な二人が立つ門を通り抜ける。

 其処は中世の西洋等を題材にした映画でよく見る石材の街並みだった。

 門から真っ直ぐ伸びる大通りは日本の高速道路や六車線道路くらい広く、街と聞いていたがかなり大きい、都市と呼べる大きさはあるだろう街門を通るまでは左右にある森のせいでは認識出来なかったのだ


「セイジ、此方だ」


「あ、はい」


 ルグリスに連れられ着いたのは街の中央、街門からの大きな通りが東西南北に交わった場所から少し北に歩いた宿だ


「yar mile」


 ルグリスが入るのに続いて星児も入る。

 宿は入って正面の奥に階段があり左側にカウンターが見える、広く二十畳くらいありテーブルと椅子が並んでいるどうやら此処は食堂の様だ。


「yar luge」


 カウンターから女性が声を掛ける。

 二十代半ばだろうか、緑色の髪を首の後ろで一つに纏めた御胸様の大きい(Gはあるな)女性はルグリスと少し話すと星児を見て


「この宿を経営してるミルよ、よろしくね」


「あ、はい。

 セイジです、よろしくお願いします」


「何でも聞いてね、ちなみに結婚してるから求めちゃダメよ。フフフ」


 ミルさんは挨拶と一緒にからかい気味に微笑む。どうやら俺の視線に気付いていたようだ。


「ミルさん後お願いしますね。

 セイジ、明日の朝来るからな。

 言葉が通じないんだあんまり出歩かない方がいいと思うぜ」


「そうですね、ありがとうございます。

 疲れてもいるんで部屋でゆっくりしますよ」


 ルグリスはそう言うと宿を出ていく。


「セイジくん、夕食はどうする?

 準備中だからもう暫くしたら出来るわよ」


「はい、頂きます。

 それまで部屋で休んでいいですか?」


「そうね…はい、これが部屋の鍵ね。

 階段を上がって二つ目の部屋よ」


 ミルさんはカウンターの中から鍵を取りだし渡してくれた。


「ありがとうございます」


 鍵を受け取り部屋に向かう。

 部屋に入ると広さは十畳くらいだろうか在るのはシングルくらいのベッドとテーブルにソファーの様な椅子がある、部屋の端には暖炉も付いている実にシンプルな部屋だ。

 装備を脱いでポーチに入れるとTシャツにトランクスという格好でベッドに横になる。


「間違いないんだよな…

 これは現実なんだ…

 どうして俺なんだ?

 何でこんな目に遇うんだ?

 どうしよう…」


 微睡みの中、自問自答をする。


「ゲームじゃないの?…

 死んだらどうなるの?…

 セーブもないんだよな…

 HPが無いと判断が難しいんだよ…

 くそ!ぜんっぜん、楽しめねぇ!!」



 そのまま微睡みに身を任せていると、不意にノックが響いた。


「セイジくん、夕食出来たけど食べる?」


「あ、はい。行きます」


 ステータス表示を見ると一時間くらい経って外は暗くなっていた。

 そそくさとパーカーとジーンズを着ると部屋を出て階段を下りる。


「あ、テーブルに座って待ってて」


 階段の近くのテーブルに着くと


「何か飲む?」


 木版で作られたメニューらしき物を受け取り目を通すが


「え~っと…、ハハ…

 何があるか教えて貰えます?」


「そうよね、ゴメンね。

 エールと果実水のストロとオラン、ペリーが在るわよ」


 説明されるがそれが何なのかが解らない為苦虫を噛み潰した顔になる。


「え~、オラン?をいいですか」


「じゃあちょっと待っててね」


 と言って奥(厨房?)に入って行く

すぐに戻ってきてオレンジ色の飲み物と料理を並べてくれた。


「今日は牛フィレの焼き肉と生野菜にクズ肉のスープよ、後オランね」


 出された料理は、牛フィレの焼き肉と言うけどはっきり言ってステーキと言う感じだ。それに生野菜のサラダにオニオンスープの様なスープにパンだった。

 ステーキは野性的な味で牛肉に塩胡椒、何かの香辛料での味付けだろう。サラダは大根と人参に胡瓜にレタスだろう、ドレッシングが無い事が悔やまれる。オニオンスープには挽き肉が入っている感じか、パンはバケットの様な感じのパンだ。

 食後にオラン水を飲んでみかんジュースを薄めた感じの飲み物だなと思いながら


「ミルさん、あの~お風呂ってありますか?」


「お風呂?使う?」


「はい。できれば入りたいんですけど…」


「分かったわ。タオルもいるでしょう?」


「はい。ありがとうございます」


 ミルさんが奥からタオルと鍵を持って来てくれた。


「はい。タオルはあげるけど鍵は出るときにちゃんとかけて持って来てね」


 タオルと鍵を受け取り場所を聞く。


「階段の脇から奥に進んで右の戸を開けたらお風呂よ」


「分かりました。ありがとうございます」


 俺は礼を言って階段の脇に行く。脇と言うより裏側から廊下が伸びていた。廊下を進み右側の扉を開く。中は脱衣場だろう三つの籠が並んで置いてある。服を脱ぎ浴室と思う扉を開く。浴室はかなり広く五人くらいは余裕をもって入れるようだ。


 一頻り心の洗濯を終わらせミルさんに鍵を返して部屋に戻った。

 やはり風呂はいい。悩んでたモヤモヤが綺麗に流れた、解決した訳ではないから先送りと思われても仕方ないけど。

 とにかく頭はスッキリした。

 夢だろうと現実だろうと事実として元に戻る方法がない以上、この世界で出来る限りの生活を送らなければいけない。ここがゲームと同じ世界なら魔物が出るだろう、パーティーやLV上げ、装備品の強化をしていかないと。


 俺はそのまま深く眠りについた。





 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

     ステータス

キャラ名〈セイジ〉

ベースレベル LV5

職業 〈冒険者〉  LV1

  〇〈ファイター〉LV8

サブ職業〈錬金術師〉


          〔職業補正〕

能力値〈SP〉225

   〈MP〉289

   〈筋力〉 13  +1

   〈知性〉 13  -1

   〈体力〉 11

   〈守力〉 13

   〈瞬発力〉 9

   〈器用さ〉13

   〈精神力〉 9

ボーナスポイント20


自由スキル〈危険探知〉〈索敵〉〈識別〉

     〈鍛冶〉〈採掘〉〈投擲〉


ファイタースキル

     〈ソードウェイブⅡ〉

     〈ソードダンスⅡ〉

     〈片手剣熟練〉 練度20


装備           〔性能〕

    武器〈ファルシオン〉500

     頭〈鉢金〉     80

     体〈無し〉

     腕〈手甲〉     80

     脚〈靴〉      50

    衣服〈袴&陣羽織〉  10

アクセサリー〈無し〉

      〈無し〉

読んで頂きありがとうございます。


次からはステータスを表示する事は少なくなります。

レベルはちょこちょこ書きますが、これくらいって感じで表現出来ればいいのですが…

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