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北の洞窟で!その1

目を止めて頂きありがとうございます。


だんだん前書きと後書きに書くことが分からなくなってきました。何を書けばいいのか、何を書いていいのか。

 取り敢えず、全員の手枷を外して身体を洗い流して貰う事にした。

 俺はその間に服の代わりくらいにはなるだろうと三枚だけ持っている毛布を取り出したり、お湯を出し直したりしていた。


「あ、あのう」


 そんな時だった。

 最初の二人の片方で茶髪でウェーブが掛かったロングヘアーの人がミスリル製の全身鎧を着けて声を掛けてきた。


「はい?何ですか?」


「服はもう無いんですか?」


 当然ながら彼女達早く済ませた者から服を着ている為、毛布を入れても15人は裸のままだ。


「ええ、残念ながら服はそれで全部です。全員が終わったら俺は食べ物と着る物を探しに行きます。先程俺が言った事は覚えていますね」


 俺は現状、食べ物がない事を諭しつつさっきの言葉を確認した。


「はい。私も衛士の端くれです。武器があれば戦えます」


「それは良かった。全員が無闇に移動しない様に見ていて下さい」


 どうやら彼女はルグリスさんの衛士隊って部隊の一人の様だ。まぁ、今はそんな話をしてる状況ではない為その事はスルーする。

 ルグリスさん達がゴブリン討伐をする事は判っている。とすれば、この場所にもやって来るだろう。

 しかし、いつまで待てばいいのか判らない。今日は難しいと思うから、明日か明後日だろうか?先程の窶れた二人には〈初心者用ポーション〉を飲ませたが、ゲームアイテムがどう作用するか判らないのでスープ等が作れるといいんだろうけど。


「じゃあ、俺は行きます。戻って来た時は声を掛けますよ」


「あ!私ルーイン。ルインって呼んで」


「解りました。俺はセイジって言います。宜しくお願いします」


 俺はルインに手を振って、横穴に近づいた。

 この夜営布団(W)を展開した時の守護結界にはアクティブモンスターに認識を阻害させて攻撃して来ない様にする作用が在ったはずだ。しかし、ゲームの作用が効果無い可能性もある。

 案の定というか、横穴の所は棍棒の様な物を持ったゴブリンがたむろっている。強行突破するか?


 と思ったが、マップを確認していると、ゴブリンは左右を行ったり来たりしている。

 どうやら認識阻害の効果はあるみたいだけど、此処に入る場所が判らなくて右往左往している感じだ。この布団を置いて行けば彼女達は大丈夫だろうけど、俺が危険になった時がどうしようもない。

 仕方ないな。


 俺はファルシオンを抜くと守護結界を通り抜け、目の前に居たゴブリンの一匹に斬りかかる。

 容易く首を切断すると隣に居たもう一匹を袈裟懸けに切り裂く。


 二匹のゴブリンが倒れると他のゴブリンが俺に気付いて向かって来る。

 左に六匹、右に九匹。ちょっと多いな。


「《盾突撃》(シールド・チャージ)!」


 俺は一番近い左の一匹にシールドチャージを使い吹き飛ばす。

 突撃を受けたゴブリンは五メートル程吹き飛んだ所で別のゴブリンにぶつかり共に倒れる。俺は即座に右から来ていたゴブリンを逆袈裟に斬り裂いた。

 続けてその後のゴブリンを斬り倒した所で左から来ていたゴブリンに殴られる。棍棒で良かったと言いたいところだ。

 殴ってきたゴブリンを盾で殴り返し、別のゴブリンを斬りつける…。


 何とか十五匹のゴブリンを倒しきる頃には俺の身体には服で見えないが幾つかの殴打痕が出来ていた。


「いてぇ、ポーション。ポーション」


 俺はポーチから初心者用ポーションを取り出し煽る様に飲み込む。身体の痛みが消えていき殴打痕も無くなっていく。

 ゴブリンの死体をポーチに突っ込む様に入れていき、周囲に血の跡を残すのみとなったのを確認して、改めてエリアマップを見る。


 大きな部屋はさっき居た場所と後一つだけで、それの半分くらいのが…六つ程ある様だ。おそらくもう一つの大きな部屋はゴブリンを統率しているボス的な奴が居るのかもしれない。

 とにかく、先ずは出口を探した方がいいだろうけど、エリアマップにはそういう表記は全く無い。自分で探せということなんだろう…。


 取り敢えず行き止まりの様に見える三ヶ所のどれかが出口である事と想定して一番近い所に向かう事にした。


 途中に在った二つの小部屋でゴブリンと遭遇したが正面から相対した為こちらの被害は無かった。認識している攻撃は守力による防御膜で防ぐ事が出来る。


 たどり着いた場所はマップの通り行き止まりになっていた。

 こんな感じで全て見て回るとなると埒があかない…。

 此処まで来るのに二時間以上かかっている。ゴブリンを合計五十匹倒すのに時間を取られたって事もあるが、歩いて来るだけでも一時間くらいだろうか。

 ステータスの時計は既に16時を回り17時になろうかとしていた。


「不味いな。魔物が強くなるとヤバいかもしれない」


 俺にも何となく解ってきた。

 この世界とゲームの世界、共通点と相違点が存在する様で全てが同じという事はなさそうだ。どれが同じで何が違うかはまだ判らないけど…。

 ゲームでは18時から6時の間はモンスターの能力が20%アップする仕様だったからこの世界でも同じなら囲まれると厄介極まりない。


 という事で食糧も衣服も手に入れて無いが戻る事にした。一度戻って衛士の彼女、ルインにその事を聞いてから判断しても大丈夫だろう。

 そう思って来た道を引き返す。


 来る時にゴブリンが居た最初に確認した部屋に近づいた時だった。僅かに声が聞こえて来た、明らかな人の声だ。

 俺は誰かがあの部屋の外に出たのかと思いながら慎重に声がする方に近付く。声はやはり小部屋の中からの様だ。

 俺が通路から小部屋を覗きこむ。

 俺が出たときの血の跡、その奥にゴブリンが三匹何かに群がっている。

 良く見るとゴブリンが群がっているのは人だ。女性にゴブリンが群がっている。

 ゴブリンが何をしているのか解ったその瞬間、俺の頭の血管が三本程ぶちギレた事が解ったのと同時に即座に小部屋の中に走り込んでいた。


「うおぉああぁぁぁ」


 俺は雄叫びと共にゴブリン共に走りよりその首を、身体を、手を足を斬りつける。三匹のゴブリンが動かなくなってからもその身体に剣を突き立てた。


「はぁ、はぁ、はぁ」


 俺のその姿にだろうか、ゴブリンに襲われた性だろうかは判らないが女性は青ざめ震えていた。


 俺は何をやってるんだ。彼女は〈彼女〉じゃないんだ。

 俺はファルシオンを鞘に納めながら彼女に近付く。


「あ、大じょ…「いやぁぁぁ、ご免なさい。ご免なさい。ご免なさい」ぶ…?だった?…」


 彼女は俺の言葉を遮る様に言葉を被せて謝り何度も頭を下げる。地べたに座って居たものだから土下座に近い謝り方になっている。まるで俺が悪かった気になる。ハァ……。


 そこで俺は気が付いた。彼女は、いやコイツはあの時の女だった。

 たしかレールとか言っていたな。

 つまりコイツは何故かゴブリンに捕まってしまってこんな事になった所に、俺が来たもんだから仕返しされると思った。って感じだろうか…。

 俺が辺りを見回すとやはりあった。コイツが着ていた服を拾い上げ放る。


「服を着て着いてこい。このまま別のゴブリンに襲われたいなら、そのまま座ってろ」


 レールはローブだけ羽織るとイソイソと俺の傍に来た。


「ご免なさい。見捨てないで」


「まぁいい。コイツらが女性の天敵って事は知っている。他の人がいる所まで行くから着いてこい」


 俺はレールを連れて小部屋を出ると先程の女性達の元へ戻って来た。


「ルイン!戻って来たから入るよ」

「あ!はい。どうぞ」


 言った通り部屋の出入口に居たルインに声を掛けて中に入る。

 女性達は一ヶ所に集まりしゃがみこんでいた。


「レールだっけ?お前も身体洗って服を着とけ。お前には聞きたい事がある」


「解った。ありがとう」


 レールは俺に感謝すると俺が指差した浴槽の方に行った。俺はルインの方に向き直り声を掛ける。


「ルインに聞きたいんだけど?」


「は、はい。何でも聞いて下さい」


 な、何でそんなにキラキラした目で見てくる。俺は当たり前な事をしただけだ。止めてくれ、俺はそんな存在じゃない。


「あぁ~。聞きたい事は、魔物についてなんだけど。夜になると強くなったりする?」


「?ええ、夜は魔素が濃くなるため魔物が強くなるのが当たり前じゃないですか?」


 俺にはその当たり前が当たり前じゃないんだよ。まぁ、言っても無駄に混乱させると思うから言わないけど…。


「そ、そうだったよね。一応、確認しておこうと思っただけだから。一応ね」


 どうやらその辺りはゲームのままの様だ。今の防御力は基本値225に装備の210で435だ。ゴブリンの攻撃力がどのくらいか判らないが二割増した程度で突き抜けるとは思えないけど、ゲームとして革製の防御力で張り合える感じと想定すると、300くらいだろうか?二割増し360くらい?

 いや、もしかしたら400の二割増しで480くらいかもしれない。


 あ~~~。考えれば考える程悩む。

 取り敢えず、食べ物は無いが今日は此処で一夜を明かして明日行動した方がいいだろう。


「今日は食べ物を見つけ……」


 そういえば、錬金術はまだ試して無いな。どうだろう、錬金はゲームの特性のままだろうか?素材はまぁゴブリンの死体を使えばいいだろう、土壁全体に生えてるヒカリ苔もあるし……。

 いや、ヒカリ苔は薬草と調合して回復薬を作る方がいいかも。


 俺は部屋の隅まで来ると、土壁に生えているヒカリ苔を一株毟り取る。

 ポーチから錬金用魔方陣を取り出し、地面に魔方陣(錬金術には五芒星と円状に文言が描かれた羊皮紙を用いる。大きさは半畳くらい)を広げると五芒星の五点にゴブリンの死体を一つづつ並べた。


「我、理の女神に願い奉らん。我が前に並べし贄をもちて、我に新たな贄を与え賜え。我、理の女神に願い奉らん」


 俺が文言を唱えると五芒星が輝き光を発する。光は一瞬で収まり、魔方陣の五点に置かれた死体が消えて真ん中に手頃のビンが三つ置かれていた。


「なるほど、錬金術はちゃんと機能する。ただ、錬金術自体使い勝手がいい物じゃない事も同じって事か」


「どうしたんですか!何ですか今の光は」


 唐突に背後から声を掛けられる。

 しまった…。流石に目の前でこんな事をしたら、何があったか気になるのも頷ける。さて、どうしよう。誤魔化すか?正直に言うか?……


 声を掛けて来たのは、革製の鎧を着けた女性。最初に戦える事を言ってきたもう一人の方だった。


「あ~、気にしないでいいよ。今ちょっと実験ついでに、みんなの食べ物を用意しようとしてただけだから。え~っと……」


「あ!私はミレイルです」


「わかった。ミレイル、そういう事だからまだ用意出来るか判らないけど、取り敢えず待ってて」


「はい。解りました」


 俺は誤魔化す方にして当たり障りのない事だけを伝え、彼女の気を食べ物で反らした。他の女性達も気にはなっているが彼女に任せて地面に座り込んでいる。


 まぁ確かに、この子とルインは一応元気そうだな。因みにルインは十代後半から二十歳くらいの見た目で、ミレイルは十代中頃くらいだろうか。他の女性も下は十代前半から上は三十代前半くらいだろうか。女性でも誰でもいい訳じゃない様だ。全く、この世界のゴブリンや鬼種とされるオーク、オーガは駆逐しないと我慢ならんな。

 俺はそんな事を考えながら錬金術の続きを始めた。


読んで頂きありがとうございました。



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