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59.クランは試合よりも、食べ物に興味を抱く

 

 そして、第二戦目……の前にサンウェン様、ユーリお兄様に捕らえられた。


「何でしょうか?」

「あれはどういうことだ?」

「私も一緒のことが聞きたい」

「どうと言われましても……水を、高く飛ばした、それだけよ?」

「いや、なんであんなに長く飛んでいるんだ? どれくらいの高さまでいった?」

「さあ……わたくしには分かりかねますわ」

「サンウェン様、クランは多分、本気で分かっていません」

「そうなのか? だが‥‥聞きかじった知識だが、空にも風は吹いているんだろう? その影響とかは受けないのか?」

「風? そんなもの、水がちゃんと風の影響を受けないようにしているに決まっていますわ、ねえ、お兄様?」

「いや、私は魔術は得意ではないからな……分からん」

「そうでしたね。じゃあ、誰に聞けばよろしいのでしょう?」

「知らん」


 サンウェン様はそう言って去っていって下さった。

 それくらいの分別を持っているならわたくしに関わらないで欲しいのだけれどね。



「いらっしゃーい、食べていって」


 首都アスナウィアンを一人……ではなくユーリお兄様と2人で歩く。昼食を探しに。

 ここにはフィメイア王国にはない食べ物も多くある。しかし、昨日、目新しいものはたいてい食べてしまったのよね……

 そんなとき、とある一軒の店を見つけた。


 ”海の幸”で作りました


 そう書いてあった。俄然興味が湧いてきた。海……まだ見たことがないわ。だけど、本によると、昼も夜も綺麗だそう。そして、獰猛な魔物もいるが、美味しい食べ物もある。

 きっとこの店はその美味しい食べ物を扱っているのだろう。

 そう思って、入ってみることにした。


「らっしゃい!」


 場所を見つけて座る。


「注文が決まったら、手を上げて知らせてください!」


 頷き、メニューを見る。


 ……。

 よく分からない海の生き物の名前が羅列されているだけであった。


「お兄様、分かります?」

「いいや、わからないな。すみませーん!」


 そして店員を呼んでくれた。さすがお兄様。細かいところで気が利くじゃない。


「はい」

「おすすめは何ですか? どれも始めてで分からないので……」

「そうですね……これなんか如何でしょう? 日替わりメニューですが」

「ふむ……毎日一番いいネタを使う、と。ネタが何だかよくわからないけれど、良さそうじゃないか? クランはどう思う?」

「わたくしもそれで構いませんわ」

「分かった。では日替わりメニューを2つ」

「へい! お待ち下さい!」


「一体どんなやつが来るんだろうな」

「楽しみですわ。うーん……お兄様は海の生き物を見たことがありますか?」

「私もないな。サンウェン様だったら知っていてもおかしくはないが……フィメイア王国もジャネル皇国も内陸にあるからな……」

「そうですわよね……一体どうやって仕入れているのでしょう?」

「お待ちー!」


 その時、店主がやってきた。先程までの疑問は聞きたいが……店の営業にも関わるから聞けない。


「うん? さっきの質問のやつでも気になっているのか?」


 あぁ……確かに聞かれていてもおかしくはないわね。


「はい」

「内緒だ! だが、海は面白いぞ! 今度行ってみるといい!」


 やはりそうなりますか……まあもともと諦めていたから特に何もないわ。


「では、食べましょうか」

「そうだな」


 目の前には見たことのない生き物が焼かれて置いてあった。

 メニューにも似たような物があり、食べ方が書いてあったので、それをもとに食べてみる。


「!  美味しいわね」

「美味しい」


 お兄様も同じみたい。そして、あっという間に食べ終えてしまった。

 今日は当たりを引けたわ。明日も……こんな時間があるのかしら? 

 でしたらまだ楽しめそうね。


 そうして、さらに観光して、ジャネル学園に戻った。

 午後は破壊実験なのですが……わたくしもゼノイド様もきっと一番強いやつを壊せるでしょうし、さっきの勝ちのお陰でわたくしの勝ちになるわね。


 ……そして、その通りになった。


 残るは一種目。明日の魔物退治だ。

 そこにおけるもので、決まる。……そう思っていたのですが。


「え? 行われないのですか?」

「あぁ。お前たちを見ていたら、これくらいで勝敗はつかないだろう……というか魔物をただ虐殺しているだけとなってしまうからな」

「それは……そうかも知れないわね。ではどうするのかしら?」

「普通に一対一で行うそうだ」

「一対一? 危険じゃないかしら?」

「まあ気にするな。ルールでちゃんと縛られている」

「ふうん。まあいいわ。どうとでもなるでしょう」

「その意気だ」

「わたくしよりもサンウェン様はどうなの?」

「余裕だ」

「そう、つまんないわね」


 たまには普通じゃないものも見せてほしいのだけれどね。

 それでも、アナは引き分け、サンウェン様は全勝ち。


「あはは……すまんな」


 あら? 別にサンウェン様が謝ることではなかったのに。

 王族のくせしてこういうところは腰が低いわよね。

 そう思うのだった。


 現在フィメイア学園は、先程よりも差を広げている。

 行きの道の途中で、クランに手ほどきを受けた、効果であった……


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