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57.ゼノイドは、クランに対して闘志を燃やす

 

「「「「「ようこそ! ジャネル学園へ!」」」」」


 さあ、今年も交流戦が始まる。今年も1位をかっさらいたいところだが……

 ふふふ、今年は初見のメンバーがいるんだ。どうなるか……


 例年通り、生徒会長が、開会を宣言する。


「お待ちしておりました。私がジャネル学園生徒会長ゼノイド・ガステリアです。またよろしくお願いします」

「私がフィメイア学園生徒会長サンウェン・リルトーニアだ。お招きいただきありがとう。今年も楽しみにしている」

「では、明日から交流戦を始める。今日は歓迎会を行う。皆、存分にお金を使い、存分に食べてくれ」

「「「「「おお!」」」」


 うん、流石ジャネル学園だ、ノリが良くて素晴らしい。

 今年はきっと盛り上がるだろう。


 そして、サンウェン様を見つけた。


「やあ、サンウェン様」

「ゼノイドか……今年の対戦相手を見たか?」

「あぁ、見たよ。君が2位と3位に落ちていたね。去年まではどちらも一位だったというのに」


 はじめて対戦相手の表を見た時は目を疑ったよ。



「仕方がないんだよ。どちらでも一位になったクランは異常だ」

「そうなのか? それで、2位を奪われたアナ・セントニアはどんな子なんだい?」

「彼女は努力家だよ。きっと活躍してくれるさ」

「ふうん」


 まさかこのサンウェンが手を抜くなんてことはないだろうから、きっと本当に負けたんだろう。それは楽しみだ。


「クランはどの子だい?」

「あそこにいる人だ」

「そうか、ありがとう。今年は去年よりも楽しみにしておくよ」


 サンウェンの相手はとうに飽きている。


 そして、クラン・ヒマリアという少女に声をかけた。


「こんにちは」

「こんにちは。あなたがゼノイド・ガステリア?」

「そうだ。クラン・ヒマリア」

「何か用かしら?」

「いや、顔を見ておこうと思ってね。あなたは魔術部門でも剣術部門でも一位となったらしいじゃないか。しかもサンウェン様を抜いてね」

「あら? あなたもどちらも1位ではないの?」

「そうだ。だから相手の様子を見に来た。去年までは毎回サンウェン様で少し飽いていたんだが……今年は楽しくなりそうだ」

「あら、それは良かったわ。わたくしを是非とも楽しませてちょうだいね」


 おや? 思っていることが同じだ。


「そちらこそ期待しているよ」

「うふふ……」

「あはは……」

「「楽しみね(だ)」」


 なんと! これは気が合いそうだ。生まれて初めてともいえる仲間かもしれない。

 今日は彼女はよきライバルであることを信じて、乾杯としよう。


「ゼノイド、調子はどうだい?」


 ザステラ・フィーセルが声をかけてきた。


「上場さ」

「それはよかった。去年は不機嫌だったからねぇ。こちらとしても助かるよ。いったいどうしたんだい?」


 去年は確かに不機嫌だったかもしれない。だって毎年戦う相手が同じだったから。それは飽きるだろう。


「クラン・ヒマリアがね、同じことを言ってきたんだ」

「ふうん、何て?」

「戦いが楽しみだってさ」

「お前もそう思ったのか?」

「そうだな。彼女も私と同じで本気を出したことがないんじゃないかな? 私と一緒だ。予想だけど。だけで、だからこそ信頼できる」

「そうか……面白そうだな、話しかけてみよう。誰だ?」

「あそこにいるクロッカス色の髪の毛の少女だ」

「おう、話しかけてみる」


 ザステラも彼女に興味を持ったのか。

 面白い少女だな。


 それにしても暇だな。

 アナ・セントニアにでも話しかけてみようか?


「こんにちは、アナ様。1年ぶりですね」

「そうですね、ゼノイド様。……そういえば、今年もどちらとも1位らしいわね?」

「運のいいことにね」

「おめでたいわ。お陰でわたしはあなたと戦わずにすむもの」

「そんな、謙遜でしょう? もし、クラン様がいなかったらあなたと私が戦うことになっていたんでしょうから」

「そうね…‥そう考えるとクランには感謝しないと。……一つだけ助言をしてあげましょうか?」

「助言? 私にそんなものは必要ありませんが……もらえるならもらいましょう」

「クランはね、サンウェン様にも余裕だったわよ。あなたも、そろそろ化けの皮が剥がれてくるんじゃない?」


 化けの皮、ねぇ。面白い表現だ。


「もしそうなるのなら非常に面白いと言わざるを得ませんが……一応心に刻んでおきますよ」

「それは良かったわ」


 それにしてもセントニア姉妹……平民出身らしいがかなりちゃんとしたものだよな。

 この学園の奴らにも見習ってほしい。


 それからはふらふら歩いていた。


「やあゼノイド。主役が一人でいるなんてダメではないか」

「別にいいだろう。いったい何の用だ?」


 そこには、ザステラがいた。


「クラン・ヒマリアから伝言を貰ったよ。明日を楽しみにしている、だってさ」

「そうか。それはこちらも一緒だな」

「あと、勝てるだろうと言っていた」

「そうか……」


 勝てるだろう? それは、こちらの言い分だ。君みたいな5年も学年が下のものに負けるつもりはいささかもない。

 最後に笑っているのは、サンウェン様よりもはるかに強い、俺だ。

 ……いくらあちらもサンウェン様よりもはるかに強い、としてもね。


https://www.i-iro.com/dic/wp-content/uploads/crocus.png

クロッカス色はこちらです

簡単に言うと……青みがかった薄紫みたいな感じです。

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