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43.クランは、王宮で驚きの事実を知る

 

「放課後、王宮に行け。兄上と同じタイミングでいいから」


 クランは第4王子に声をかけられて、戸惑っていた。

 先ほどサンウェン様と話したときは別に、王宮まで来い、という話ではなかったのにどうしたのかしら?何か変わったのかしら? それなら……まずはカナンに伝えないといけないわね。ああ忙しい忙しい。

 そして第4王子が出てきているということは、サンウェン様が指示したわけではない可能性が高いということだ。もしかしたらサンウェン様が、わたくしが目立ちたくないのを考慮して、第4王子に託したのかもしれないが、可能性は低そうよね。だって、本人が来るもの。


 そうなればわたくしがなぜ呼ばれたのかしら? ……分からないわね。


 もう一つの方の話、兄上……つまりサンウェン様と同じタイミングというのは、放課後に生徒会室の前で待っていればいいということよね。


「あら? クランも?」


 アナはもう先に生徒会室の前にいた。


「えぇ、そういうことになりました」

「そう、仲間がいてくれて嬉しいわ」


「なぜお前がここにいる?」

「あら? サンウェン様。遅かったわね」


 わたくしだって呼ばれているのよね〜

 まあ、予想通りだったわ。やはりサンウェン様は関係なかったのね。


「私は今理由を聞いている」

「理由なんてわたくしが聞きたいわ。わたくしは第4王子……名前は覚えられていないけど……彼にに言われて来ただけですもの」

「そうなのか? ……デスマールだからな? 弟の名は。覚えろよ?」

「デスマール様ですね。覚えたわ、多分。……それで、わたくしが嘘をついて何になるとでも?」

「それもそうか、では王宮に向かおう」

「はい!」


 最後に返事をしたのは、やはりと言うかアナだったわ。


「クランはデスマール様に呼ばれたの?」

「いえ、デスマール様はただの連絡役ではないかと。サンウェン様に同行するようにと言われましたので。ですがきっと使節団に関係する話でしょうね」

「そうだな、私もそう思う」


 サンウェン様も話に加わってきたわ。


 サンウェン様だけとの会話だったら大変なのだけど……アナがいるとやりやすいわ。アナのおかげね。

 そのアナは……緊張しているわね。まあ聖女様って現在でも7人……でしたっけ? 少ないもの、仕方ないと思うわ。


「二人は王宮に入ったことがあるのか?」

「いいえ、ないわ」

「わたくしは少しだけ」

「アナは初めてなのか。初めてなのにその場が姉との再会……気まずいだろうな。すまない」

「サンウェン様が気にすることではないわ」

「そう言ってもらえると助かる」

「クランはどこに入ったことがある?」

「そうですね……普通に庭と、あの大きいホールなら入ったことがあるわ」


 もちおん部屋の名前なんて覚えていないわ。もともとそういうものに興味がないのに、最近は舞踏会などは行っていないもの。仕方ないじゃない。


 王宮についた。


 サンウェン様がいるからか、すんなりと通されたわ。

 こんな簡単に王宮って入ることができるのね。便利だわ、身分って。

 まあ、王宮なんて滅多に行かないでしょうけど。



「ただ今連れてきました」

「アナ!」

「メリーナ!」


 アナとそのお姉様と思われる方が、感動の再開を果たしたのね。見ているこちらまで、嬉しくなってくるわ。……ただ、既視感があるわね。ふたりとも顔がそっくりだもの。来ている服が同じだったらわたくしも区別がつかないかもしれないわ。

 多分、二人は……


「双子ですの?」

「あら? 言っていなかったかしら? そうよ、双子なのよ」

「そうなのですね。初めて見ました。あ、初めまして、わたくしはクラン・ヒマリア。公爵令嬢ですわ」

「丁寧な挨拶をありがとう。こちらこそ初めまして、アナの双子の姉の、メリーナ・セントニアです」


 和やかな出会いだったわ。


「陛下、一体何の御用でしょうか?」


 そう言えば、これがわたくしにとっての初のお目通りなのね。楽しいわ。

 やっぱり、初めてすることって楽しいものよね♪


 それにしても、さすが陛下ね。強者感が満載だわ。

 どうやったらそうなれるのかしら? いつか、教えてもらいたいわ。


「メリーナ聖女が、聖女の存在をフィメイア学園に感知した」

「それがどういたしました? わたくしには関係ありませんよね?」


 もちろん事実よ。わたくしが聖女であることと、学園に聖女の存在を感知したことは、なんの関係もないものね。

 それに……「約束」したもの。守らなくては。


「我は関係があると見ている」

「それは……どうしてでしょうか?」

「あの聖女の騒ぎがあったとき、デルメイア学園所属で、戦闘技術を持ち、かつ学園外に出たのはお前だけであった」

「はぁ……けれどわたくしは違いますわ。そもそも、わたくしは魔術を使えるのですよ。なれるわけがありませんわ」


 何おかしなことをこの国王は言っているのかしら?


「クラン様、口を挟んでしまい申し訳ありません。差し出がましいかもしれませんが、わたくし、実は少しだけ魔術も使えるのです」

「それは……」


 驚きね。常識が覆されてしまったわ。どうしましょう?


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