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29.クランは意外と、注目されている


 はぁ……生徒会長のせいで大変な目にあってしまっているわ……

 あの発言……恨んでも恨みきれないわ……


 そう、生徒会に正式に入ったのは昨日。そして今日の木曜日。

 朝からヒソヒソヒソヒソ。まぁなんと目障りなこと。


 しかもわたくしをチラチラチラチラ見てくるのよ? いったい何なんでしょうか? 噂話は本人がいないところでしてほしいものよ。

 そして、そのチラ見さえなければ……これはわたくしのことではないと信じることができるのにそれができないなんて……。チラ見というのは存外効果的なのかもしれないわ。今度試してみましょう。



「「おはようございます!」」


 そして今日もまた、挨拶が来るのであった。


「おはようございます……もうお父様の法令はないのですよ? わざわざわたくしに挨拶する必要はありませんわ」


 明確な意思表示。これって重要なはずよね? だったら効果あるわよね?


「クラン様! とうとう生徒会に入られたのですね! やはりクラン様は崇拝すべきお方。最近サンウェン様がいらっしゃっていたのもクラン様を誘うため……! さすがとしか言えません!」

「ノア、しつこいわ」

「ほら、クラン様もそう言っているじゃない。落ち着きなさい」


 あら、またクリーナが味方についてくれたわ。


「クリーナは優しいのね」

「え? いえ……滅相もないです……!」


 慌てられてしまったわ。公爵令嬢なのを忘れて普通に接してしまったからかしら? けれど、クリーナとは仲良くしたいのよね。


「いいえ、わたくしの味方についてくれるのは貴方くらいよ」

「しかし私はノアを止めることがかなわず、ご迷惑を……」

「ここは学園よ。無礼な言葉は控えるべきでしょうけど、そんなに堅苦しくなくていいわ」


 まったくね。まあこれくらい謙虚な者はわたくし嫌いではないわ。度を過ぎていないのだし。


「それでは今度からは失礼させてもらいます」

「また堅苦しくなっているわ」


 ふふっ。思わず笑ってしまった。

 あーあ、クリーナが欲しくなってくるじゃない。わたくしの気に入る態度を無自覚にとってくるのはやめてほしいわ。


「あ……気をつけます」

「えぇ、そうしてね。少なくとも学園では」


 これが「約束」になってはいけない、と思い、慌てて付け足す。

 これで公の場では彼女は堅苦しくわたくしと接することができる……はずよね?


「ずるい! なんでクリーナが好かれてるの!?」

「ノアの態度が悪いんでしょ」

「え〜。喋っているだけじゃん」

「だからそれが嫌がられているんでしょ?」


 ノアとクリーナは仲良しね。

 そう思いつつ、話は終わったし、頭を切り替える。

 今日は……たしか特別授業でしたっけ? 神殿の方が来られるんでしたよね?


 誰が来るのかしら?

 ここは国唯一の学園だから……まあまあ地位が高い方が来られるはずですけど……

 つい先週くらいにあの記憶を思い出して、急にこれがあるなんて……最近はとても忙しいわ。


 1時間目は飛んで2時間目。

 あらら……魔法薬の授業でしたわね。確か。

 あの「約束」のあと、わたくしは手を抜くことができないままになっていた。

 最近、手を抜けない機会が増えているのですが……しかも、だんだんわたくしの実力がバレていません? 少しだけ頑張って、隠し通していましたのに、無駄になっているわ。

 返してほしいわね。わたくしの半年を。


 まあそんなわけで、わたくしの作る魔法薬の質は、難しいものでなければかなり高い方ですから、手を抜けない今となっては調合後に先生に褒められ、非常にいたたまれないうえに大変目立つ時間となってしまっているのです。


 だれかわたくしの事情をちゃんと考えてくれる方はいらっしゃらないのでしょうか?


 早く授業終わらせて……と祈っているうちに授業は終わり、さっきの祈りがいまだ残っているのか、次の時間も早く終わった。



 昼食。わたくしは忌々しい生徒会室に向かっていた。


「失礼します」

「ほお、ちゃんと来たんだな」

「そりゃあ来ますわ。サンウェン様に教室に来られては迷惑ですもの」

「おい! この!」

「落ち着け。我慢ならないんだったらこいつに頑張って理解させてみろ。ちなみに私はやりたくない。それでもやるのか?」

「いや……やりません……」


 サンウェン様とヨハン様が何やら話しているわ。わたくしが聞いてもいいことなのでしょうか?


「クランちゃん! よく来たわね!」


 ソラレーラだ。


「いらっしゃい!」


 アナもいる。

 さっきの男子軍団を見てしまったせいか思わずほっこりしてしまった。

 彼女たちは親切だったもの。心を開いてもきっと害は無いはず。だけれど、半年間、人を拒否してきた結果として警戒心だけが残っている。


「女の子で良かったわ〜」

「何がですか?」


 わたくしのことなのでしょうか? しかし文脈が分からないわ。


「新しい役員、まあクランちゃんのことよ。これで男の子が入ってきていたら……ねえソラレーラ?」

「本当よ。気まずいことこの上なかったもの」

「大変だったのね」

「「そうなのよ!」」


 今日は特に議題はなかったようなので、ずっとこんな感じの普通の会話をしていた。「約束」に関係することは出なかったから、密かに息をつく。


 この二人といるのは、存外気が楽かもしれないわ。

 今度からはもう少し歩み寄ってみようかしら?

 そう思えるほどに、彼女たちはクランにとってよい仲間だったのだ。


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