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24.クランは呪いを、濫用し始める

 

 なぜ、学園長がわたくしが「神々のいたずら」にあったことを知っているのでしょうか?


「どうして……でしょうか?」

「儂もあったんじゃよ。子供の頃に」


 まあ! なんという偶然!


「学園長は、なぜ今神殿にいないのですか?」


 いたずらにあったのなら神殿に取り込まれるはずではありませんでしたっけ? フルーエが嘘でもついたのかしら?


「儂もそなたと同じじゃ。親切な人によって見逃された」

「そうなのですね。ちなみに呪いは……?」

「知識」


 知識を呪われたということですよね? 覚えられなくなったということでしょうか? しかし、それなら学園長などなれるわけがないわ。どういうことでしょう?

 それに……呪いの内容を言うことが出来るのね。便利だわ。


「それはどういった呪いでしょうか?」

「知る知識を制限されるのじゃ。一週間で知識を完全に忘れる。その代わり、1日一つ、知りたいことを知れる。まったく、あの神め、忌むべき存在じゃ」


 それは……不便であり便利なものね……

 けれど、心たちも呪い、なんて言っておきながら少しは優しい所あるじゃない。

 やるなら、記憶が残らない、それだけにするかと思ったわ。


「心は優しかったわよ!」

「あなたにはそうだったようじゃの」

「なぜそれを……」

「今日知れる事実をそなたについて、としたのじゃよ」

「……それで、私に関して何かわかりましたか?」

「呪いの内容が分かった」

「それだけですか?」

「そうじゃ。そんなに便利なものではないのじゃよ」


 そうなのね。大変そう。よくそれで学園長をやっていてるわね。凄いわ。


「なら、協力していただけませんか?」

「いいぞ。口の堅さには忘却力と同じくらいの定評がある」


 それは都合がいいわね。

 サリアに頼もうと思っていたけれど、学園長に頼も……


「やめておきますわ。学園長に手伝ってもらうなんて申し訳ないです」

「今更じゃと思うがのう」

「そう言われてしまってはそうですが……」

「心配せんでよい」

「じゃあ、お願いしますわ。わたくしと『約束』していただけませんか?」

「いいぞ」

「今から言うことを教えてほしいのです。わたくしに何の原因があって、あのような魔物がやってくることになったのか、15秒以内にお答え下さい」


 1,2,3,4,5,……,14,15秒!


「それはお前さんの魔力のせいじゃ」


 あぁ、納得しましたわ。わたくしの魔術の威力的に、一般よりは多く持っているはずですもの。それを狙ってやってくるとは……そんなことをしているから返り討ちにあってしまうのですわ。馬鹿な魔物ね。


「学園長、ありがとうございました。感謝いたします」

「どういたしまして。ところで、今日の魔物の話にいったん戻るぞ」

「はい」

「まず確認する。来た魔物はラーネカウティスクで間違いはないのだな?」

「間違いありませんわ。水で攻撃しており、火に弱く、また回復力も強かったので。外見だけでなく能力も普通のラーネカウティスクと考えてもいいかと」

「ラーネカウティスクが深奥から、君の魔力の多さにつられてやってきたということでいいか?」

「そうだと思われます」


 あぁ……退屈だわ。確認も重要だとは思うのだけれど……早く終わらないかしら。


「対処方法は、火で燃やした」

「はい、仲間の方が消化してくださったので、火事には至りませんでした」

「それをそのまま国王に伝えてもよいか?」


 え? あぁ、そういう話に繋がるのね。


「できれば、魔物が来た理由は伏せたいのですが……多分それが一番伏せれない案件ですよね?」

「そうじゃ」

「でしたら、生徒の名前を伏せていただけないでしょうか?」

「それだけでいいのか?」

「えぇ。全員が名前を言わなければ、伝わることは無いと思うので。みなさんにお願いしてみます」

「『約束』はせんでもいいのか?」

「しようと思っています」

「分かった。『約束』するなら心配ないだろう。また何かあったら来るといい」


 学園長には感謝してもしきれないわ。というか、また来ると良い……って、覚えているのは1週間なのよね?だったらこれから行くことはなさそうね。


「失礼しました」


 学園長室を出る。そこが見慣れたところで安心してしまった。

 あぁ……公爵家で豪華なものは見慣れているほうだと自負していたのだけど、自信がなくなってしまったわ。


「何の話をしていたんだ?」

「ラーネカウティスクの話でしたわ」

「そんなに長くなるわけがなかろう」

「長くなるのです。先生、今日、わたくしが魔物を倒した生徒であることを隠すことを『約束』していただけないでしょうか?」

「そんなものでいいのか。いいぞ。言わなければいいんだな?」

「えぇ。ありがとうございます」


 良かったわ。これで一安心ね。あとはクラスメイトか……あぁ……早く口止めしておけば良かったわ。もしかしたらもう広まっているかもしれない……けど、わたくしと別のグループの人は基本的には知らないはずよね?


 心配する必要はそこまでないでしょう。


 そう、安心した。


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