表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/37

ホルルドの街⑥

今回の作品は、他の方の作品と、極力被らない様に、オリジナルティーを重視して、書き上げて参ります。

異世界ものではありますが、主人公は、1作品目、2作品目とは、立ち位置が違います。

予定では、かなりの長編になる予定ですので、読み応えがあれば良いなぁと、思う次第です。

少しでも、多くの方に、読んで頂ければ、ありがたいです。

誤字脱字等、あると思いますので、ご指摘もお願い致します。

早速、ギルドマスターと共に、解体場に、レッサードラゴンの死骸の納品に向かったルーシュ。

2人が、解体場に向かうのを、サーシャは、不思議そうに見送った。


「ゴウン、いいですか?」


「おう、ギルマスか。それに、例の坊主も。」


「では、ルーシュくん、お願いします。」


「前回と同じ所で、いいですか?」


「はい。」


「おい、ちょっと待てっ!何が何だか・・・。」


「ゴウン、見てれば分かります。」


「それじゃあ、出しますね。」


ゴウンの困惑を無視して、再び、レッサードラゴンの死骸を、〈インベントリ〉から、取り出すルーシュ。

ギルドマスターの希望通り、前回の物より、ひと回り大きいレッサードラゴンを出した。その為、かなり、解体場を圧迫している。


「なっ!?また、レッサードラゴンっ!?しかも、前回より、デカくないかっ!?」


「これで良いですか?ギルドマスターさん?」


「はい、ありがとうございます。しかし、本当に状態が良いですねぇ。」


「確かにな。前回もそうだが、全く痛みが無い。まるで、ついさっき、狩って来たみたいだ。」


「本当ですね。これは、どう言う事なんでしょう?」


「僕のは、ちょっと特別性で、時間の流れが遅いんです。」


「ふむ、そうなんですか。」


「まぁ、良いじゃねーか。良い状態の物を持って来てくれるんだ、ギルドとしては、ありがたいじゃねーか。」


「確かにそうですね。では、ゴウン。査定をお願いしても?それが終わったら、早めに解体を。」


「分かってるぜ。こっちを優先してやるよ。確か、グラン侯爵の依頼なんだろ?」


「ええ、正解には、まだ受注していないので、私はこれから、領主邸に向かいます。」


「順番があべこべだな。まぁ、良い。俺は、俺の仕事をする。」


「ええ、宜しくお願いしますね。それでは、ルーシュくん。明日には、討伐報酬と買取り料金の用意が出来る筈なので、それまで、お待ち下さい。」


「分かりました。」


「ところで、坊主。」


「なんでしょう?」


「坊主の頭にへばりついているのは、もしかして、ドラゴンか?」


「ええ、使い魔(ペット)のプリムです。」


「初めて見る竜種だな?」


「ホワイトプリムドラゴンです。」


「ふ〜ん、やっぱり知らない竜種だな。」


「ゴウン。後で説明しますから、今は、レッサードラゴンを。」


「おっと、そうだったな。じゃあな、坊主。」


取り敢えず、レッサードラゴンの納品を終えたルーシュ。

もう、ギルドには用事は無いと、サーシャに挨拶してから、帰宅したのだった。



一方、その頃、ギルドマスターは、領主邸を訪れていた。正式に、レッサードラゴンの討伐依頼の受注と、指名依頼の件の為である。

領主邸の応接室に通されると、すぐに、領主がやって来た。


「待たせたな。」


「いえ。此方こそ、突然、お伺いして申し訳ありません。」


「構わんよ。例のレッサードラゴンの件だろう?」


「はい。正式に、指名依頼を受けてもらえる事になりました。」


「そうか、助かる。」


「はい。それで、レッサードラゴンですが、既に、ギルドに納品済みです。」


「何っ!?まだ、正式に依頼を出していないぞっ!?しかも、昨日の今日ではないかっ!?」


「事実です。本人に話をしたところ、既に、討伐済みとの事で、納品して頂きました。

グラン侯爵様のご希望通り、前回の物よりも、ひと回り大きく、状態も良く、一級品です。」


「流石に驚いたな。そもそも、レッサードラゴンは高位の魔物では無かったのか?しかも、それを、単独で2体も討伐しているとは。」


「そうですね。レッサードラゴンは、魔物の強さでは、A +。限りなく、 Sランクに近い。それを、ソロで討伐となると、本人の実力は、間違い無く、 Sランクです。」


「なるほど。では、近い将来、我が国に、Sランク冒険者が、誕生するわけだ。」


「それについては、一つ懸念が。」


「何だ?」


「どうやら、当人は、他国から来たようです。なんでも、竜山を越えて、此方に来たと。」


「何とっ!?竜山を越えたのか!?命知らずだなっ!」


「ええ。ですか、そのおかげで、レッサードラゴンの素体を、手に入れる事が出来ましたので。」


「確かにな。ゲイン、それで、その冒険者は、どんな人物だ?」


「そうですね。実力は間違い無く、それでいて、礼儀正しく、教養もあり、気遣いも出来る。何より、お金に執着していない。

そもそも、正式な依頼の前に、何の担保も無く、現物を納品する冒険者など、私の記憶には、おりません。」


「非の打ち所が無いな。よほど、高潔な者なのだな。名を何と言う。」


「ルーシュと申します。年齢は、10歳です。」


「ん?わしの聞き間違いか?今、10歳と言ったか?」


「いえ、間違いでは無いです。10歳の少年です。」


「何と・・・。その様な、幼な子が、 Sランクの実力を秘めているなど、過去にあったか?」


「まず、無いかと。間違い無く、最年少記録になります。」


「益々、興味深いな。当人、ルーシュと言ったか、一度、会ってみたいが、可能か?」


「そうですね。本人に話をしてみます。」


「宜しく頼む。それで報酬だが、確か、マモスキーは、金貨750枚だったな?」


「はい。ですので、今回は、大きさも含め、指名依頼となりますので・・・。」


「分かっておる。ならば、金貨1000枚で、どうだ?」


「妥当な報酬かと。」


「良し。では、それで頼む。

しかし、他国の生まれか。何とか、我が国に居着いてくれれば良いのだが。」


「ええ。あと、これは余談ですが、かの者は、使い魔(ペット)を従えております。」


「まぁ、それだけの力があるのだ。不思議では無いな。それが、どうした?」


「その使い魔(ペット)が、始祖竜の幼体であってもですか?」


「何だと!?それは、誠かっ!?」


「はい。確認済みです。」


「そうか。あまりにも、規格外過ぎて、その者を表現する言葉が、思い浮かばんな。

ん、そう言えば、竜山を越えたと言っていたな?まさか、始祖竜が住み着いているのか?」


「いえ、当人曰く、始祖竜の成体は、居なかったと。」


「しかし、あの山は、古代竜(エンシェントドラゴン)が住み着いていると、されていたはずだが?それは、どうだ?」


「いえ、それについては、話を聞いておりません。」


「気になるな。もし仮に、古代竜(エンシェントドラゴン)が居た場合、何事も無く、此方に来れるものなのか?」


「普通に考えるなら、不可能ですね。」


「では、居た場合、討伐した可能性もある訳だ。」


「そうなりますね。」


「そうなると、もう、我が領だけの問題では無くなるな。陛下にご報告せねばならんな。」


「しかし、まだ仮定の話ですが。」


「いや、どの道、報告はしないとならん。現時点で、既に、 Sランクに届く実績があるのだからな。早いに越した事は無い。」


「そうですね。世界で7人目の Sランクになるかも知れませんから、しかも、最年少で。」


ルーシュの知らないところで、話がどんどん進んでしまった。

冒険者の最高ランクである Sランク。

現在、世界で、6名しか存在していない、超越者達である。彼らは尊敬の対象として、6賢人と呼ばれている。

その頂きに、既に、手が届きそうな場所にいるのが、ルーシュだ。



所変わって、冒険者ギルドでは、ゴウンが、レッサードラゴンの査定を終わり、サーシャのところに、報告に来ていた。


「サーシャの嬢ちゃん、今、良いか?」


「ゴウンさん、どうかしましたか?」


「あの坊主、ルーシュに指名依頼が入る事になった。」


「ルーシュくんに、どなたからの依頼ですか?」


「グラン侯爵だ。」


「領主様ですか。どんな依頼ですか?」


「レッサードラゴンの討伐と納品だ。」


「えっ!?また、レッサードラゴンっ!?」


「ああ、前のレッサードラゴンの討伐依頼をした、何たらって貴族いたろ?」


「マモスキー子爵様ですね。」


「そうそう、そのマモスキーだかホモスキーだかのせいで、領主様から、指名依頼だ。」


「どう言う事です?」


「なんでも、領主様の派閥に、ホモスキーがいるらしくてな。ようは、貴族の見栄ってやつで、ホモスキーのよりも、大きいレッサードラゴンが、欲しいらしい。」


「なるほど。あと、ゴウンさん。ホモスキーでは無く、マモスキー子爵様です。」


「ああ、そうか。まぁ、それはどうでも良い。そう言う訳で、坊主に指名依頼が入る訳だが、坊主の奴、既に、レッサードラゴンの討伐終えていてな、現物を置いていった。」


「まぁ、ルーシュくんなら、あり得そうですね。」


「まぁな。前回、納めた時も、レッサードラゴンの事を()()()()()()って、言ってたからな。一応、魔物の最強種だぞ?」


「ははは・・・。」


「それで、さっきまで、査定してたって訳だ。で、これが、査定結果だ。」


「・・・また、随分と多いですね。」


「前回より大きいって、言ったろ?だから、その金額だ。状態も前回同様、死にたてホヤホヤの一級品だ。坊主の魔法は、どうなってるんだ?正直、意味不明だ。」


「う〜ん、昨夜、ルーシュくんから、魔法の話を聞いたのですが、知識が凄かったです。まるで、偉い学者さんみたいでした。」


「そうか。あの歳で、これだけの実力を持ってるからな。知識も豊富なんだろう。

そう言う事だから、これ、宜しくな。

今、ギルマスが、領主様の所で、正式な依頼を受けている筈だ。」


「分かりました。」


「にしても、嬢ちゃんもツイてるな。坊主の担当になったおかげで、次の給金、3倍以上になるんじゃないか?」


「・・・そうですね。」


そこで、隣で、聞き耳を立てていたビッチュが、こりもせず、絡んできた。


「ちょっ!3倍って、本当ですかっ!?」


「なんだ、ビッチュ、聞いてのか?そんな暇あったら、仕事しろ。」


「そんな事より、サーシャ先輩ばかりズルいじゃないですかー!私なんて、減給なのにっ!!」


「そりゃ、お前の自業自得だろ?それとも何か?お前の担当している冒険者が、レッサードラゴン討伐して、死体、丸ごと持って来れんのか?」


「うっ、それは・・・。」


「文句ばっか言ってないで、仕事しろ、仕事。ちゃんと仕事してりゃ、いつか、お前も、稼げる様になるさ。」


「仕事してますよー!」


「してねーだろ、今だって。」


「うっ・・・。」


「ったく、学習しねぇな、お前は。」


完膚なきまで、叩きのめされるビッチュ。果たして、彼女に挽回のチャンスは訪れるのか?



そんな話の中心人物であるルーシュだが、サーシャの家に帰って来たはいいが、またしても、暇を持て余していた。


(参ったな、本当にする事が無い・・・。

・・・。

・・・。

・・・おっ!そうだっ!!アレを作っておこうっ!!)


何か閃いた様で、〈インベントリ〉から、次々と、道具と材料を取り出す。

ルーシュが作ろうと思ったのは、魔法薬である。

昨日、爆買いしていた時に、訪れた魔法薬店で、品定めをしていたが、ルーシュの求めていた物が無かったのだ。いや、物自体はあったのだが、品質が良く無かった。なので、無いなら、自分で作れば良いと、道具と材料だけ、購入してきたのである。

ルーシュには、技能(スキル)〈状態異常無効〉があるので、別段、必要の無い物だが、あっても困らない物なので、作成しようと言う訳だ。


(まずは、基本のポーションだな。)


鍋に水を入れ、火にかける。その間に、すり鉢で、材料となる薬草をゴリゴリと、粉末になるまで、砕いていく。薬草の効能を高める為、魔力(マナ)を流し込んでいくのも忘れない。これをお湯に溶かして、冷ませば、ポーションの完成だ。

まだ、冷めていないが、魔力(マナ)を十分含んだ、高品質の物が出来た。


(良しっ!取り敢えず、ちょっと、味見してっと。

苦っ!!うん、品質が良くなると、苦味が増すんだよね。う〜ん、飲みたくないなぁ・・・。あれを加えてみるか。)


今度は、果実をすりおろし始める。そして、それを、ポーションに加えて、よく混ぜる。


(どれどれ・・・、おっ、ほんのり甘い感じになったな。品質は・・・。うん、落ちてい無い。)


このルーシュのポーション作成。はっきり言って、邪道である。

本来、ポーションに、果実のすりおろしを入れたりはしない。

ポーションは、薬草と水と魔力(マナ)と言うのが、一般的だ。そう、それでしか出来無いと思われているだけで、ルーシュの様に、試した者がいないだけだ。

当然、全ての魔法薬に、同じ事が出来る訳では無いが、これも皆、固定概念に囚われているから、やらないだけで、今、ルーシュは、その壁を壊した。

魔法薬を作る者、研究する者は、その効能の方ばかり気にして、味にはこだわらない。

だが、ルーシュは、研究者では無いので、その枠に入らない。考え方の違いである。

まぁ、実は技能(スキル)の恩恵で、結果が分かっていたからでもあるのだが。


そうやって、次は、魔力(マナ)ポーションや、毒消し薬など、次々と作っていくルーシュ。

本来、魔法薬は、時間とともに劣化していくが、〈インベントリ〉があるので、その心配も無い。

その作業は、サーシャが帰って来るまで、続けられ、帰宅したサーシャは、部屋の床一面に広がる魔法薬の瓶を見て、仰天したのだった。

ビッチュが再び、登場です。相変わらずの残念ぶりですが。ルーシュは、魔法薬も作れるようです。多才ですね。さて、領主とは会う事になるのか?

ブックマーク、いいね、☆評価も頂けると、励みになります。宜しくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ